人間関係で悩んだときに役立つ非言語的パワー

 

ある種のコミュニケーション能力が社会統合を形成できるのは、

コミュニケーションの実践が社会性としての

人間の根源的な活動であるからです。

だからこそ、人間関係の悩みは、いつも深刻になる傾向があります。

現代に生きる私たちの適応すべき対象は社会(他者)であると言えます。

人間関係の悩みとは、ある意味では、自分にとって異質なものを

取り入れること(自己受容)でもあります。

 

しかし、人間関係の悩みは、不合理で非論理的です。

そこには、経験、知性や理性では解決できない矛盾があります。

なぜなら、そこで起きていることが、自分自身の「負の感情」とどう向き合えば

よいのかという問題だからです。

エリスは感情に論理的解釈で乗り越えることを説きましたが、

感情が暴れ馬のように興奮(大脳辺縁系の興奮)しているときに、

効果があるとはいえません。

 

人間関係を乗り越えていくためには、他者との関わり方が重要になります。

それは、「あらゆる関わりの中心は自分自身」という自覚です。

 

人間関係は相互関係で互いに依存関係にあります。

相手に依存すれば(相手を否定したり相手の変化を求める)、

コントロール不能になります。

自分や相手が存在しなければ、そもそも悩みは発生しません。

そこで、心(自我)を心でコントロールすることではなく、

心を体(無我・非我)からコントロールすることが必要です。

例えば、生理学的なリラクセーション状態は、

脳幹に存在するドーパミン駆動の神経核(A10神経)により,

適応に必要な活力を再生します。

脳幹部により、前帯状回(ぜんたいじょうかい)が活性化して、

「快適」さ「やる気」「意欲」が高まっていきます。

また、「感情」や「心の働き」に深くかかわっている側坐核(そくざかく)、

偏桃体系(へんとうたいけい)、「幸福感」と関係する楔前部(けつぜんぶ)

の回路網のニューロン活動を調整して、

精神的安定を作りだすことができます。(2017.ニューロサイエンス.BTU

たくましく生きるために、客観的に自分を捉え、あるいは感じて

(メタ認知「自己」を「自己以外」から区別する能力)、

適応させていこうとする態度は、

本来、人間が持っている進化に必要な強さなのです。

脳幹部の働きは、「自分の中にある正しさ」と「外の世界の不合理や矛盾」を

統合して受容する力の根源でもあるのです。