ノンレム睡眠と呼ばれる脳を休める眠りがある。
睡眠時でもとりわけレム睡眠時(眼球運動)には、
大脳皮質は覚醒時よりもむしろ強く活動していることが最近の研究で知られている。
レム睡眠中は脳機能のメンテナンスのために脳が活動する必要があり、
そのときに生じるノイズこそが夢であるという仮説も成り立つ。
夢の展開やストーリーを思い出せるものが多く、他人に説明しやすい内容である。
ノンレム期の夢は、はっきり思い出せない傾向があるらしい。
レム睡眠中の脳は覚醒に近い状態だが、
筋肉の緊張が抑制されているため、筋肉は動けない。
このときに何らかの要因で覚醒状態になると
「脳は起きているのに身体は動かない状態」になる金縛りが起きる。
睡眠中、筋緊張は低下し、レム睡眠で最低となることが分かっている。
レム睡眠は、眠っていても本能的に外敵に対応できるよう、
脳の覚醒状態を継続させる原始的な眠りである。
また、圧縮されたバネ(緊張)が解き放たれるように
筋が収縮(痙攣)する現象(ホメオストレッチ良導反応)もレム期である。
ノンレム睡眠後におこるレム睡眠状態の時は脳が一見浅い睡眠のようであるが、
同時に外部からの刺激を遮断する機能も働いて、
物音など、外部からの刺激で目が覚めやすいということはない。
基本的に交感神経の活動は、睡眠が深くなるにしたがい、
活動性が低下し副交感神経が優位となるが、
レム睡眠では交感神経の活動性が覚醒時と同レベルまで上昇することがある。
ノンレム睡眠で情報の収集を停止することによって、
シナプスの最適化を行っていると考えられ、
睡眠が精神の健康を保ち、記憶を強化することを説明できる。
また、20歳代の学生を43年間追跡した研究では、
睡眠になんらかの問題を抱えた人は、そうでない人に比べて
約18年後(40歳頃)にうつ病の発症率が著しく高まることが示されているが、
睡眠よりを深い生理学的沈静化をもたらす、ホメオストレッチには様々な生物的意義がある。