ストレスケアの定義

自己実現を目指すために、ストレス因子である心理社会的問題をどう考えどう乗り越えるかを自分自身で開始し、遂行する諸活動の実践。

 

ストレスケアカウンセリングの目的

ストレスケア・カウンセラーが行うカウンセリングは、思考や生活習慣を望ましいものに改善する、あるいは社会適応性を促進することにある。

 

カウンセラーの狙いである相手の行動変容のステージを探る。

  1. 問題発生の原因(ストレッサーの存在)に気づいていない場合。無関心期

  2. 何が問題かに気づいている場合は、思考や生活習慣に目を向け、自己成長への動機づけが可能である。行動の準備期から行動を促す働きかけ。

  1. ストレス反応の原因と考えられる環境や心理社会的問題について把握する

    軸はストレス反応である。AGに表記された分析、相談者から知りえた状況について、カウンセラーがストレス因子を推察していく。

  2. ストレスをうまくコントロールできない結果として「今」があることへの気づき、

    自分が変化すことで問題を良い方向へ導いていけるという自覚を促す。

  3. どのようにコントロールすればよいかの提言(情報提供)

  4. 自己成長とは望ましい自分(なりたい自分)へ向かうプロセスのことであり、「今」がその機会(時期)であること。体験を否定的、排他的に捉えずに成長の糧とする。

  5. 15の提言の結果、相談者の明るい展望を開いたか

  6. 自己成長におけるプロセスをスタートさせるわけであるが、その最初の目標は何か。

ステージは相談者に行動の準備ができているかを確認する必要がある。行動の面倒さ、煩わしさを払拭させておくこと。特に6との関連性がある。

 

 

カウンセラーの抱えやすい問題

 

会話が一方的になる

マニュアルに頼っていては、相談者自身の環境や問題に触れることが少なくなり、そのため、会話が一方的になり、相談者の気づきを促す、展望を発展させること、行動変容への動機づけが弱くなる。面談は、カウンセラーが話したいことを伝えることではなく、相談者の隠された欲求がどこにあるかを確かめ、カウンセラーの目的と相談者の欲求(実現したいこと)を一致させなければならない。

 

人前で緊張する

 人の前で緊張しない人はいない。むしろ緊張感を持っている方が健康的である。問題は緊張することではなく、相手の役に立ちたいという気持ちである。緊張していてもどのように役に立てるかを相談者に伝えればよい。

 

 実際の面談場面でうまく進められない

 うまくいかないのは、自分のペースで進めようとしているからである。相談者の声を聴こうとせず、相手が承諾しているかどうかも構わず、言いたいことを話しているからである。

 大切なことは、目の前にいる人間である。こちら側に対しての猜疑心や不安感の程度、行動を変えることへの準備はできているかどうか、さらに、相手が本当に望んでいること(表面的な問題ではない)は何かなどカウンセラーの観察力が求められる。

 

話が続かない

 カウンセリングは「意図された会話」(機会がくれば,目標達成のための特定の行動を実行すること)である。例えて言えば、演劇の台詞と同じと考えても良い。台詞を憶えなければ役割は演じられない。話が続かないのは、会話の目的もゴール(結末)もないということになる。

 

相手の取り組む内容についてアイデアが希薄 

 「何か好きなことを始めてみませんか」「背中そらしをしてください」という助言はそれ自体に問題があるわけではない。問題は、その提言の実効性である。疲れている、目の前の問題が頭から離れないような場合には、この提言は実効性が希薄になる。しかも、相談者の問題とどのような関連があるのか、それをすればどうなるのかなどの説明が不足しているケースが多く見られる。行動変容とは、思考や生活習慣へのアプローチであるが、これを変えるのはそう簡単ではない。しかし、希望(展望)は変化から生まれるのである。そのためには、「なぜ変えるのか」という不安や疑問から「変えたほうが良い」という気づきに導くことを進めて行きたい。セミナーやセッションはそのために実施されている。セッションに参加することだけを伝えるのではなく、その内容や価値を伝えなければならない。

 

面談に自信がない

 誰しも自信のない人からカウンセリングを受けたくはない。できればベテランの人から受けたいと考えるが心情である。自分の甘えを脱ぎ去り(認知の修正)、真摯に向き合うだけである。また、自信がないことで何かの言い訳しているのか、本当に自信を持ちたいのかを振り返る必要がある。もし、前者がカウンセリングを行えば、カウンセラーが相談者を必要とする依存関係に陥り、相談者の役に立つことはできない。後者であれば、訓練を重ね、経験を糧にすることである。自身がない人の多くはトレーニング不足である。

 

相談者に出会えない

 考えているだけでは相談者と出会えることはない。まず、人に会ったとき渡せるものを準備できているか(リーフレットや名詞、イベント情報等々)。また、月間・年間スケジュールの作成(行動プラン)、カウンセラー自身の目標管理(評価プラン)ができているかなど基本的なことを基本どおり行うことである。スケジュールや目標のない所に成果はない。

 

相談者からの連絡が途絶える

 中断の理由は様々である。何れにしてもなぜ中断が起きるかを考える必要がある。最も多い中断理由は、カウンセラーと合わない、期待はずれ、通う必要がなくなった3つである。この他にも、相談者の環境の変化(転勤、経済的理由、多忙など)、また、カウンセラー側の限界も検討すること。

 

(専門課程)