僕は20年フォークリフトのバッテリー修理の仕事をしています。

皆さんは電動式フォークリフトの動力であるバッテリーは、パワーが落ちてきたら修理して回復できるということを知っていますか。

バッテリーは、消耗品だから劣化していくのは仕方がない。
数年も使えばパワーが落ちてくるもの。
物理的な劣化は、避けようがない。
修理できるなんて聞いたことないよ。

多くの人はバッテリーは消耗品であって、経年劣化していくものだ、その劣化をくい止めたり、回復させることはできないと思い込んでいるみたいですが、フォークリフトのバッテリーは修理で回復できるのです。

なぜそう言い切ることができるかといいますと、僕は20年フォークリフト修理にたずさわってきて、いろんな状況に陥ってパワーがダウンしているバッテリーをすべて回復させてきたからです。
人は僕のことをバッテリー修理のプロフェッショナルとよびます。
そして今、僕のライフサイクルバランスは、
家族0%、趣味0%、仕事120%で、ぶっ飛んでいます。
何故、そんな仕事の超人になってしまったかということを自分の経験と独断と偏見を交えてお話ししようと思います。

世の中の人のほとんどは、
家族の時間を大切に〜
自分の趣味も楽しんで〜
そして仕事も月曜日から金曜日までやってるよ〜
みたいな心の健康に気を配ったライフサイクルバランスをとっていると思います。
これは決して仕事を軽く見てるのではなく、仕事を大切にしながらも人生そのものを充実させるために幸せに過ごし精神的健康を維持するためには必要なバランスであるからです。
事実、僕もこのバッテリー修理の仕事をし始めた頃は、そうでした。

 

それがなぜ今は、
家族0%、趣味0%、仕事120%のぶっ飛んだ仕事マシーンになってしまったのか?

それはメチャクソ仕事が面白くなってきたからです。
今日は仕事がなぜ面白くなってくるのかということを語りたいと思います。

仕事が面白くなるタイミング
その1
こだわりを持てるようになること。
僕の会社でまず朝から始めることは、中古再生作業中のためのメンテナンスを行っているんですね。
僕の会社には、新品と中古品合わせておよそ9億台あります。
そのおよそ9億台のバッテリーのすべてのバッテリー液の比重を測ることなんですね。
単セルバッテリーの口に比重計を差し込んで、その中の液を吸い上げ測定していくのです。
「なんで毎日こんなことをしないといけないのかなぁ〜」
と思います。
毎日ではなくて、たまにでええやん!
なんて思います。
そんなふうにして毎日毎朝、比重測定をして1本1本の単セルバッテリーの比重の上昇を管理表に記入していると、中には比重の上がり具合が全体のバッテリーの中で1本だけ、ある数値から上がらなくなっている単セルを発見することがあるんです。
他の単セルは順調に上昇しているのに、その1本だけがある数値でピタッと止まってそれ以上上昇しないのです。
なぜなんだ?
もちろんその原因は色々考えられるのですが、その頃の僕はピヨピヨの新人ですからわからないわけです。
その1本だけが上がらない状態のまま48Vバッテリーの放電テストを行ってみると、やっぱり比重が上がりきらないその1本だけが早めに電圧が下がってしまうのです。
それを上司に相談すると
「この単セル駄目だわ」「これと入れ替えてみろ」
と言われ、優良単セルと交換してみます。
そして再度メンテナンス、放電テストをおこなってみるともちろんのことですが、バッテリー全体の放電力が改善されてるわけです。

さらに外気が寒くなってくるとバッテリーは単セル内での化学反応が鈍くなってくるので新品バッテリーも再生中のバッテリーも充電をかけても充分に蓄電しなくなってくるんですよ。
だから寒い日の朝なんかは、
「やべぇ~、バッテリー液の比重が上がりにくくなってきているに違いない〜」
と心配になって思わず早く目が覚めてしまって会社に行きたくなってくるんですね。
そんないろいろなことを経験していると、だんだんとバッテリーのことがわかってくるんですね。
「バッテリー液の減りが早い」「熱をもっている」「比重の上がるのが遅い」「キツイ臭いがする」
いろいろ観察するようになるわけです。
そして、「絶対にこのバッテリーをよくしてやるぞ」なんて頑張ってしまうわけです。
つまりバッテリーの日々の観察眼も細かい変化を読み取ることができるようになってくるわけです。
そうなってくると、そのバッテリーの表面に吹き出ている水滴や汚れなんかも布できれいに拭き取ってバッテリーの表面をピカピカに磨いてやりたくなるわけです。
バッテリーの劣化というものは、バッテリー庫内の化学反応の弱体化によるもんなんですが、表面をピカピカにしてやったりするだけで、なんだか放電力も改善されたような気がしてくるわけです。
「ここまできれいにしてやったぞ、ぜんぜんボロくないぞ!」
みたいな妙な愛着心が生まれてきたりなんかするわけです。
お得意先や同業者が工場見学に来たりすると、メンテナンスをおこなっているピカピカの中古バッテリーを見て、
「これ、ほんとに中古バッテリー?」
なんてことを言われると、うれしくなってくるんです。
わかってもらえますかね〜
つまり工場内に置かれているバッテリー管理に「こだわり」が生まれてくるんです。

それはたとえば、高級人気飲食店の主人が、店内の全くお客様の目につかない所まできれいにしていて、
「うちは、こんなところにまで気配りしているんですよ」
なんて言っている感じですわ。
「そんなの店の味にカンケーネージャン」
と言いたくなるけど、こういう「こだわり」を持つことが仕事を楽しんでいることなんですよ。

仕事が面白くなるタイミング
さらにその2
できないことが、できるようになること。
仕事をそのようにして楽しんでいると、どんどん自分の中で発見があり、わかってくるんです。
つまり自己成長しているわけなんです。
レベルアップしているんです。
どんどん面白くなってくるわけなんです。
子供の頃、けん玉ができるようになったように、
ピアノが弾けるようになったように、
こうなってくると上司から
「できるようになったじゃん〜」
と言われるわけです。
つまりわからなかったことがわかってきて、できなかったことができるようになってきているのです。

まとめとして、
最初は面白くない。
その面白くない戦いをやり続けると、やがてとんでもなく面白くなってくる。
そうなってくると、ライフサイクルバランスは
家族0%、趣味0%、仕事120%で、ぶっ飛んでくるということです。