僕は20年フォークリフトのバッテリー修理の仕事をしてきました。

皆さんは電動式フォークリフトの動力であるバッテリーは、パワーが落ちてきたら修理して回復できるということを知っていますか。

バッテリーは、消耗品だから劣化していくのは仕方がない。
数年も使えばパワーが落ちてくるもの。
物理的な劣化は、避けようがない。
修理できるなんて聞いたことないよ。

多くの人はバッテリーは消耗品であって、経年劣化していくものだ、その劣化をくい止めたり、回復させることはできないと思い込んでいるみたいですが、フォークリフトのバッテリーは修理という方法でも回復できるのです。

なぜそう言い切ることができるかといいますと、僕は20年フォークリフト修理にたずさわってきて、いろんな状況に陥ってパワーがダウンしているバッテリーをかなりの台数回復させてきたからです。

僕らが行うバッテリー点検の基本は、「バッテリー液の計測」「電圧のチェック」「放電テスト」です。

出張修理で訪問させてもらいますと、必ずこの3点のチェックを行います。
もちろんその他のチェックや観察も行いますが、そんな項目をすべてご紹介しますと、100万項目以上にも及びまして、このブログでは書ききれなくなってきますので、ここでは省略させてもらいます。
しかしご安心ください。
「バッテリー液の計測」「電圧のチェック」「放電テスト」の3点項目だけで、僕はフォークリフトのバッテリーの状態を知ることができるのです。

これは超能力でも神のお告げでもありません。
これはフォークリフトのバッテリーの鉛蓄電池の原理と構造を知り尽くしているからこそできる必殺技なのです。

「バッテリーの調子がおかしい」「充電がもたない、早く切れるようになってきた」」「最近パワーが落ちるのが早くなってきた」「屁をこいてないのにクサイ臭いがバッテリーからするようになってきた」などのお問い合わせがあり、僕は出張修理に出かけます。
そして最初におこなう点検は、バッテリー液の比重測定です。

ここで、皆さんは知っていますでしょうか。
フォークリフトのバッテリーは、24本の単セルと称される2Vの単セルとよばれるバッテリーが連結されて大きなパワーを出していることを。
2Vの単セルが24本で、48Vのパワーになるのです。
だから全体のバッテリーのうちの1本の単セルが弱ってきてしまうだけで、全体のバッテリーにパワーダウンという悪影響を与えてしまうことになるのです。

だからここはまず単セルの状態を知るために24本の単セル1本1本のバッテリー液の比重を計測してみるのです。
比重計測には大きなスポイドの化け物のような専用の道具を使います。
僕はこの比重計測の数値だけで、弱ってきている単セルはどれかを判断することができます。
何度でも言いますが、これは超能力でも神のお告げでもありません。
比重計が示す数値によって判断しているのです。
だから比重計測を正確に行うことができる人ならば、だれでもできます。
しかしながらその数値をどう判断するかは理論と定理を知り尽くし、経験と実績を幾重にも積み重ねた僕にしかわかりません。
つまり真のバッテリー修理のプロフェッショナルにしかわからないのです。
僕はこの比重測定の数値だけで、弱体化している単セルを見つけ出すことができます。
今までで、一度も外したことはありません。

ここで皆さんにバッテリー液の比重についてご説明しましょう。
バッテリーは鉛の電極板とそれが浸かっている希硫酸というバッテリー液の化学反応によってできています。
キーを回すと放電が始まりフォークリフトを稼働させます。
また電気がなくなってくると充電器につなぐと蓄電します。
つまり鉛蓄電池は、蓄電と放電を繰り返して何度でも使える電池なのです。
その仕組みは、鉛の電極板に電気が貯められていてキーを回すとその貯められた鉛の電極板から放電します。
放電した電極板には希硫酸の成分の中の硫酸が放電した電気の代わりに付着します。
逆に充電すると、逆の化学反応が起こるのです。
それによってバッテリー液の成分である硫酸が鉛の電極板に付着したり、バッテリー液の中に溶け込んたりするという動きが発生するのです。
この化学反応が繰り返されることによって、放電と蓄電も繰り返えされるということなのです。
そしてバッテリー液である希硫酸も比重が上がったり下がったりするわけです。

たったそれだけの数値の上下でバッテリーの内部の状況がわかるんですか?

わかるんです!

なぜならば、僕は20年フォークリフトバッテリーの修理をしてきているプロフェッショナルだからです。

でもそれだけではありません。
各単セルすべての電圧もバッテリー全体の放電力も測ります。
それは、やはり間違いないなと確認してみるためです。

すべて計測してみると、バッテリー液の比重の低下と電圧の低下は、ほぼ連動しています。
ただこのバッテリーがどのくらいパワーが落ちているのかを確認してみるには、放電テストをしてみるのがいちばん明らかになります。

皆さん、フォークリフトがいちぱん電力を使うのは、どんな作業の時だと思いますか。
それは重い荷物を持ち上げる時です。

「走行はできるのに荷物を持ち上げる時に上がらない」
ということがパワーの落ちてきているフォークリフトにはよくあることです。
だからいちばん電力消費が激しくなる重い荷物を上げる時の放電力を見てみるのです。
この時、実際に荷物の上げ下げをしてみるなんて危険なことはしません。
そこにあるフォークリフトだけを使って重い荷物を上げないで、重い荷物を上げるのと同様の放電をやってみる。
この放電力テストこそが、極秘のスゴ技なんですわ。

そんな神秘的なことは、僕にしかできないでしょう。

このようにして確実に劣化単セルを見つけ出し、修理方法を導き出しているのです。

僕の会社では出張修理に出かけた時は、昼めしは、会社の経費を使って食べるてもいいのです。
今日の帰りは、ロードサイドの牛丼屋でガッツリ補給して帰ります。