☆BTE 2022-2-3記
Shanghai Lil:

 

この歌は、ミュージカル映画の中の歌だそうです(Wikipedia)。その映画は、太平洋戦争前の中国に、色んな国の兵隊が集まって来ていて、その中に米国もあったわけですが、彼らが、バーやキャバレでのみ騒ぐ様を舞台に展開されるお話らしいです。この歌は、米国にとっての中国という、東洋の見知らぬ国に対する、好奇心と興味で織りなされる男女のお話の中で生まれる妄想の様なものと思われます。酔っぱらいの記憶の様なものでしょうか。

 

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SHANGHAI LIL(1933)
 From the film "Footlight Parade" (1933)
 (Al Dubin / Harry Warren)

 

「Shine on Harvest Moon」英語詩:

曲名:シャンハイリル

美艇香津 訳詩

 

I've covered every little highway 
 どんなこみちもみた
And I've been climbing every hill
 どんなおかものぼり
I've been looking high and I've been looking low
 うえをさがし、したもさがした
Looking for my Shanghai Lil
 さがしたシャンハイリル

 

The stars that hang high over Shanghai
 ほしのよるのシャンハイ
Bring back the memory of a thrill
 おもいだすときめき
I've been looking high and I've been looking low
 うえをさがし、したもさがした
Looking for my Shanghai Lil
 さがしたシャンハイリル

 

I learned to love her
 あいしたあのこ
The little devil was just a butterfly
 かわいいあくま、ちょうのよう
But you'd discover something on the level
 でも、こころにとどくひかり
Shining in her eye
 そのめのかがやき

 

Oh, I've been trying to forget her
 お、わすれようとした
But what's the use, I never willに
 できはしないのに
I'll be looking high and I'll be looking low
 むこうをさがし、ここでもさがす
Till I find my Shanghai Lil
 あいたい、シャンハイリル

 

(instrumental)


I learned to love her
 あいしたあのこ
The little devil was just a butterfly 
 かわいいあくま、ちょうのよう
But you'd discover something on the level
 でも、こころにとどくひかり
Shining in her eye
 そのめのかがやき

 

Oh, I've been trying to forget her
 お、わすれようとした
But what's the use, I never willに
 できはしないのに
I'll be looking high and I'll be looking low
 むこうをさがし、ここでもさがす
Till I find my Shanghai Lil
 あいたい、シャンハイリル

 

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さっそく、見て行きましょう。

 

I've covered every little highway 

 

covered (動詞過去形)カバーした、覆った、網羅した

little highway (言わば)小振りなハイウェイ

 

ハイウェイは高速道路との訳になりますが、その小さなもの、それがどの程度のものかは、その表わす所の道、道路を、どう言おうとしたのかで考えると、それは、「道という道を」というい方であろうと思います。そこで、道、その最小単位、「小道」のどれも探した、という言い方でよい思います。、

 

 どんなこみちもみた

 

としました。本格的な高速道路に対して、その支線、脇道を、「little highway」と言ったのだろうと思いますが、そういう、道という道のどれも、すべて、探した、見た、というのです。

 

そして、次の行も、同じ趣旨の事、あらゆる所を探した、という事です。


And I've been climbing every hill

 どんなおかものぼり

 

これは、その通りですね。自動翻訳でも、

 

⇒私はすべての丘を登ってきました

 

そして、その様子が語られます。

 

I've been looking high and I've been looking low

 

looking high /looking low 高い所を見る/低い所を見る

 

現在完了進行形で、そうして来た、というのです。そして、それを、文字通り、「高い所/低い所」という言い方では、この場合、状況的にそぐわないのです。とは言え、言い方は、あくまで、抽象的です。だから、単に、「上も/下も」と訳しました。

 

 うえをさがし、したもさがした

 

そして、次の行は、その通りですね。「my」、「私の」は、省略します。なくてもよいので。音符の長さの都合もあります。日本語で、短く言わなければならないのです。なので、

 

Looking for my Shanghai Lil
 さがしたシャンハイリル

 

「さがした」としました。この現在分詞、「looking」は、「~をして/~をしながら」という意味と考えてよいでしょう。

 

これで、歌詞の1番目は終わりました。とにかく、探し続けたんだ、という事ですね。

 

そひて、2番目の歌詞は、探し続ける自分の思いが語られます。

 

The stars that hang high over Shanghai

 

hang over ~の上に張り出す、~の上に突き出る、~を覆う、〔上空に〕垂れ込める

 

上海の星空です。星が、空の高い所に、いくつも出ている様子でしょうか。だから、

 

 ほしのよるのシャンハイ

 

「夜」という英語はありませんが、星が出ているから「夜」ですね。そして、「hang .. over」という動詞の訳はありません。「星が上海を覆う」とか言っても、何を言ったわけでも、言うべきことを言ったわけでもないですね。「上海の星空」を言いたいのです。

 

そして、その星空の下で、自分が思うのは、

 

Bring back the memory of a thrill

 

thrill スリル、ワクワク[ゾクゾク・ゾッと]する感じ

Bring back  〔元の場所・持ち主に〕戻す、呼び戻す、.思い出させる

 

「Bring back」の主語は、前の行の、「The stars」、です。星空が、ワクワクする思いを思い出させるのです。だから、

 

 おもいだすときめき

 

「スリルの記憶を呼び戻す」、とか言っても、それはそうですが、音符にも入り切らないし、分からないでもないですが、それだと、直感的に分かる言い方、歌、ではないですね。

 

そして、前の段で歌った事を繰り返します。だから、探し続けているんだ、という事です。

 

I've been looking high and I've been looking low
 うえをさがし、したもさがした
Looking for my Shanghai Lil
 さがしたシャンハイリル

 

そして、歌詞は、3番目に入ります。探している、その子の事が語られます。

 

I learned to love her

 

自動翻訳すると、

 

⇒私は彼女を愛することを学びました

 

「何を言いたいの」となりますが、単に、「I loved her」と言うのではなく、「learned」(学んだ)、などと言っています。「愛する事を知った」、「愛するという事を、彼女のお蔭で知った」、そういう、ちょっと、心の持ち方が、深い、思い入れのある気持ちなのです。それを、日本語の、同じ一行で言い切る事は難しいですね。ここは、いろいろと、言い回しを考えるよりは、簡単に言う他はないようです。だから、

 

 あいしたあのこ

 

愛した、思い入れのある経緯は、この後の行の言葉で、何かを感じてもらうしかなさそうです。英語の歌でも、「何を学んだのか」という質問に、答えているわけではありません。同じく、この後の行の言葉で、何かを感じ取る以外にないのです。

 

そして、自分の、好奇心に溢れた、普段の日常になかった、新奇な経験が、語られます。

 

The little devil was just a butterfly

 

この通りですね。自動翻訳すると、

 

⇒小悪魔はただの蝶でした

 

これでは、何の気持ちも、思い入れもれいありませんから、普通に訳します。「little」は、「かわいい」でいいですね。

 

 かわいいあくま、ちょうのよう

 

But you'd discover something on the level

 

you'd you would (※と思います。)

discover 発見する

on the level .正直な[に・で]、率直な[に・で]、真面目な[に・で]

 

この「on the level」が、調べてみなければ分からない言い方ですね。自動翻訳では、この「on the level」が、訳し切れていませんでした。そこで、考えてみると、「しかし、あなたは、真っ正直な何かを発見する」、でしょうか。次の行になりますが、それが、目に輝いているのです。この、日本語にした、「正直な」、「率直な」、「真面目な」といっても、言おうとしている事は分かりますが、それが、日本語での、「正直な」、「率直な」、「真面目な」、という言い方で言い表わせているものなのかどうかが問題です。それはどういう事なのか、考えるしかないですね。確かなのは、それが、「正直な」とか「率直な」とか「真面目な」という言葉で表わされる様な何かで、それは、光っているのです。だから、「発見する」のです、地中の貴金属や宝石みたいに。辞書の言葉は、説明でしかなくて、その対象を、そのまま捉えてるとは言えないでしょう。だから、訳は、こうなりました。

 

 でも、こころにとどくひかり

 

そして、それが、次の行で、補足、確認されます。

 

Shining in her eye
 そのめのかがやき

 

歌の1節が閉じられました。そんな子に出会ったのです。だから、今、この歌は、続けます。

 

Oh, I've been trying to forget her

 お、わすれようとした

 

この通りですね。現在完了進行形で、ずっと、忘れようとして、忘れられないで、それで、ずっと、忘れようとしていたのです。

 

But what's the use, I never will

 

what's the use 何の役に立つ

never will →(never will) forget  決して忘れない

 

だから、


 できはしないのに

 

そして、探し続ける自分がいます。「looking high」、「looking low」、これは、事実を伝える表現ではなく、そのような態度を表わす、いわば、抽象的な、寓意的な、表現です。その、伝えようとすることに注意して、訳の言葉を選ぶことが出来ます。なので、この表現が前にあったのと同じ訳でなくて、もっと、詳しく、今の探している状況が分かった後の言葉になります。だから、

 

I'll be looking high and I'll be looking low

 むこうをさがし、ここでもさがす

 

です。この同じ英語表現が、前に、初めて出て来た時には、状況は何も分かりませんでした。だから、その言葉通りに、「high /low」、「上を/下を」ですが、ここまで来ると、それは、金を探したり、ダイヤを探したりするようになっているのが分かったのです。

 

そして、この歌を締めくくるのは、その子に会いたい気持ちなのです。

 

Till I find my Shanghai Lil

 

自動翻訳では、

 

⇒上海リルが見つかるまで

 

その通りです。でも、歌の最後ですから、はっきり、自分の言持ちを言い表したいですね。

英語では、「find」(見つける)と言っているのですが、ここでの「find」は、もう、重要な語ではありません。英語で聴く人たちも、もう分かっているのです。その気持ちは、「find」と言っておけば、英語の人たちは分かるのですが、日本語で、「見つかるまで」などと言っても、「見つかる/見つける」を特に強調する理由はもうないのです。要するに、見つけた結果が重要で、それは「会う」事、会いたいのです。だから、

 

 あいたい、シャンハイリル

 

(instrumental)

 

以下は、先に訳詩済みの行の繰り返しです。


I learned to love her
 あいしたあのこ
The little devil was just a butterfly 
 かわいいあくま、ちょうのよう
But you'd discover something on the level
 でも、こころにとどくひかり
Shining in her eye
 そのめのかがやき

 

Oh, I've been trying to forget her
 お、わすれようとした
But what's the use, I never willに
 できはしないのに
I'll be looking high and I'll be looking low
 むこうをさがし、ここでもさがす
Till I find my Shanghai Lil
 あいたい、シャンハイリル

 

-完-

 

(余白残興)

 2022.2.3記:

 

第2次世界大戦前、アジアが、まだ、西洋に押され、攻められ、日本の台頭で、中国が混乱し、そして、その世界が経経済混乱での、何が何だか分からなくなっている時、現場の兵隊の頭に浮かぶのは、夢の様な、見知らぬ世界の、おとぎ話ででもあるようです。

 

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