☆BTE 2022-1-31記
Sing Me A Song Of Araby:

 

この歌は、1927年だそうです。なぜか、Youtubeにある、この歌の演奏は、日本人の演奏のもののみです。ただ、この英語詩を探したら、下記のサイトをようやく見つけました。何か理油があって、作曲者のフィッシャーさんが、その演奏を希望しないか、捨てられたもののようです。

 

川畑文子の演奏があるのは、米国から離れたところでのもので、フィッシャーさんのチェックが及ばなかったので、残ったのかも知れません。英語でも歌ってくれていて、却って、貴重な演奏と言えます。

 

なぜ、フィッシャーさんが、この曲をそれほど大事にしなかったのかは、たぶん、その歌詞で、アラビアとヒンドゥー文化の違いを認識していなくて、それで、消したかったのかなと推測されます。この点、詳しくは、この後の、訳詩の説明の中で、それらしい箇所があるのです。

 

曲は、シンプルな旋律が分かり易い、と言っても、フィッシャーさんには、どうでもよい事なのかもしれません。

 

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Sing Me A Song Of Araby(1927)
Composer:Fred Fisher
Lyrics:Fred Fisher


「Shine on Harvest Moon」英語詩:

※下記サイトからアクセスして見られます。ただし、うまく表示されなかったりして、時間が掛かるかも知れません。(すぐに、英語詩が表示されるというわけでもないので)

曲名:アラビアのうた

美艇香津 訳詩

 

when the sun set on the desert sand
 さばくにしずむひに
sing me a song of araby 
 アラビアのうた、うたって
say the words that i can't understand
 そのことばはしらない
sing me a song of araby
 アラビアのうた、うたって

 

play that refrain on the harp of my heart
 わたしのこころのハープならして
vex me again with your sweet Hindu art
 あまいささやき、とまどうばかり 

kiss me love and just before we part
 キスして、もう、おわかれ
sing me a song of an araby  
 アラビアのうた、うたって

 

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さっそく、見て行きましょう。

 

when the sun set on the desert sand

 

the desert  砂漠

 

「太陽が砂漠の砂に沈む時」ですね。「太陽」は「陽」で分かります。「砂漠の砂」も「砂漠」と言えば十分です。「沈む時」は、「とき」は、そう言ってもいいですが、日本語の助詞で、「~して」、「~に」、または、「沈む」の連用形、「しずみ」で、間に合いそうです。つまり、


 さばくにしずむひに

 

他の自然に恵まれた世界では、想像も出来ない、広い砂漠、そして、その夕日を見て、その時に、してほしい事があるのです。


sing me a song of araby 

 

araby アラビア、アラブの国

 

アラビアは砂漠の国という事は、小中学校で習い、人からも話に聞いたりして、名前は知っているのですが、そこは、今でさえ、想像の及ばない、遠い国で、知らない風景、世界があり、そこの歌や踊りも、珍しく、目を見張り、耳に新しい事ばかりなのです。だから、

 

 アラビアのうた、うたって

 

say the words that i can't understand

 

外国語の中でも、誰もが知らない言葉、英語でもフランス語でもない、その言葉の響きが、珍しいのです。

 

 そのことばはしらない

 

だから、その歌を聴きたいのです。

 

sing me a song of araby

 アラビアのうた、うたって

 

こうして、歌が始まります。

どうして、砂漠の、そこにいるかというと、ロマンティックな理由があるのです。

 

play that refrain on the harp of my heart
 

refrain 《音楽》〔歌詞の〕反復句、旋律、メロディー

 

「私の心のハープでメロディーを弾いて」、という事です。

 

何とか、この行の音符で、この言葉を、日本語でも、歌い切りたいのです。次の行は、次の行で、歌うべきことがあるようなのです。

 

それで、「私の心のハープを鳴らして」、「ハープの響き私の心」、「鳴らしてハープ、私の心」、「心はハープに鳴り響く」、などと、言葉を並べてみました。そして、結局、

 

 わたしのこころのハープならして
 

歌を歌ってね、ハープの響きに合わせて、そして、そのハープは、「私の心」で、鳴らすのはあなた、です。歌う方も気持ちが入りますね。

 

そして、

 

vex me again with your sweet Hindu art

 

vex イライラさせる、ムッとさせる、悲しませる、苦しませる、てこずらせる、揺すぶる

Hindu art ヒンズー美術、ヒンズー教のアート

 

「vex」は見慣れない単語です。どういう意味でこの言葉を使ったのか、考えさせますが、「心がかき乱される」というような事であろうと思います。「イライラさせる」や「苦しませる」は、この歌の雰囲気にそぐわないのです。フィッシャーさんに聞いてみたいものです。しかも、それが、「あなたの甘い『Hindu art』」のせいで、というのですから、全く、分からなくなります。あえて、考えると、「何か、異国的な、不思議な、ロマンティックな、心を惑わす技」、などと考えるしかありません。さらに、敢えて言うと、仮に今、現代のネイティブに、この英語の意味を尋ねても、おそらく、誰も答えられないものと思います。それに、今だから言えますが、アラビア(イスラム圏)とヒンズー(教、文化)は違いますから、ますます、分からないですね。おそらく、フィッシャーさんも、何となく書いちゃったのではないでしょうか。この文の初めに書いた、なぜか、無視されたこの歌の、無視の理由は、そんなところではと想像する所以です。

 

「あなたの、甘い、ヒンズーの技で、私を、もう一度、揺さぶって」、というところかなと思います。

 

そこで、

 

vex とまどう

Hindu art あまいささやき

 

そういう意味合いで理解します。なので、

 

 あまいささやき、とまどうばかり 

 

そして、この歌が歌われている状況も、明らかになります。少し、切ないのです。

 

kiss me love and just before we part

 

love 愛する人(※という感じでしょうか)

part 別れる

 

「私たちが離れる前に、今、キスして、愛する人よ」、位の意味かと思われます。だから、

 

 キスして、もう、おわかれ

 

だから、この歌が歌われるのです。

 

sing me a song of an araby  
 アラビアのうた、うたって

 

-完-

 

(余白残興)

 2022.1.31記:

 

川畑文子が歌ってくれていたおかげで、この歌は残りました。何がどうだと訴えかける事はなく、何でもない一日、でも、異国情緒と、切ない思いの、特別だった一日が、楽しく思い出されるのかも知れません。

 

YouTubeを拾っておきます。