☆BTE 2022-2-9記
Ukulele baby:
この歌は、昔の曲で、日本では、大正時代に発表されていて、日本で紹介されたのは、昭和初期と思われます。この歌の、作曲、作詞者、それに、米国での発表年も、やや、不確かな所があると思われます。一応、そういう事で、ここに書いて置きます。
「ユカレレ」は、楽器のウクレレの英語の発音に忠実にカタカナで表記したもので、「ウクレレ・ベビー」という事です。川畑文子の、日本語詩での歌も、その原曲の持つ軽い勢いは、うまく継承されていますね。
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Ukulele baby(1922)
Composer:John.N.Kamano
Lyrics:Joseph Shaster
「Ukulele baby」英語詩:
この歌の英語詩のWebサイトは、見えなくなりました。
以前そこから拾った英語詩を、訳(漢字かな混じり文)付きでここに出しておきます。
曲名:ユカレレ・ベビー
美艇香津 訳詩
(Verse)
He was such a happy loving Romeo
幸せだった、恋するロミオ
till his baby brought the ukulele oh..
あの子がウクレレなしで、
now on the porch every evening
今、夜のポーチで
She strums right away
かき鳴らす、あの子、
sadly you hear him say
届かない声
(Chorus)
Ukulele baby
ウクレレ・ベイビー
of love her singing
愛を歌う
but you keep stringing
鳴らし続け、
you just got me crazy
この心騒ぐ、
the way you roll those dreamy eyes around
夢を追うその瞳に
when you strum that hickeydoola
鳴らすその音に、
I get warm, but you get cool,cool, cooler
心燃え、でも、冷める、あなた、
Ukulele baby,
ウクレレ・ベイビー
oh, won't you lay your ukulele down
そのウクレレ、置いて
he loves music but he loves his lover more
愛するあの子、響く音よりも、
he knew just what loving was it meant more
愛はそれ以上、今、分かる、
so when his heart cried love songs
愛を叫ぶ心、
he's got to sigh to her
あの子にため息
he's got to cry to her
あの子に泣いて
Ukulele baby
ウクレレ・ベイビー
of love her singing
愛を歌う
but you keep stringing
鳴らし続け、
you just got me crazy
この心騒ぐ、
the way you roll those dreamy eyes around
夢を追うその瞳に
when you strum
鳴らす、
that hickeydoola
その音に、
I get warm, but you get cool,cool, cooler
心燃え、でも、冷める、あなた、
Ukulele baby,
ウクレレ・ベイビー
oh, won't you lay your ukulele down
そのウクレレ、置いて
(piano)
Ukulele baby
ウクレレ・ベイビー
of love her singing
愛を歌う
but you keep stringing
鳴らし続け、
you just got me crazy
この心騒ぐ、
the way you roll those dreamy eyes around
夢を追うその瞳に
when you strum
鳴らす
that hickey doopi-doopi-doopi doola
その音に、ドゥピ、ドゥピ、ドゥーラ
I get warm, but you get took took took it cooler
心燃え、でも、冷める、あなた、
Ukulele baby,
ウクレレ・ベイビー
oh, won't you lay your ukulele down
そのウクレレ、置いて、
down down down, let lay your ukulele down....
下に、下に、下に、そのウクレレ、置いて、
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では、この訳の経緯を見て行きます。
(Verse)
He was such a happy loving Romeo
such ずいぶん、そんなにも
「愛するロミオは、幸せだった」という事です。だから、
しあわせだったロミオ
till his baby brought the ukulele oh..
till ~(の時、する)まで
この「his」は、「ロミオの」です。そして、その「baby」は、「ジュリエット」です。シェークスピアの「ロミオとジュリエット」の場面です。
彼女(ジュリエット)が、ウクレレを持って来るまでは、です。「あの子がウクレレを持って来るまでは」ですが、その通りに歌うと、それは、今の様子の説明にはなりますが、歌としての詩情はありません。また、音符に合わせるという意味からも、言葉の文字数が多すぎます。説明は、「持ってくるまでは」です、その表わす事態は、「ウクレレが出て来るまで、ウクレレの影も形もなかった時」という事です。それで、こうなりました。
あのこがウクレレなしで
そして、その様子が語られます。
now on the porch every evening
porch 屋根付き玄関◆建築物の外側に屋根が突き出ていて、柱で支えられている。
〈米〉ベランダ
「ポーチ」は、「ベランダ」もありですが、「ポーチ」の方がヨーロッパ風、シェークスピアですね。「毎晩」となっていますが、そこまで説明し切らなくても、よいでしょうから、
いま、よるのポーチで
そして、
She strums right away
strums かき鳴らす
right away すぐに
ポーチに出て来て、すぐ、ウクレレを始めてしまうようです。辺りを見るとかもせずに。ロミオが居るのに、です。「すぐに」は、訳では割愛します。その説明は、なくても、と思うので。だから、この一行の訳は、これだけです。
かきならす、あのこ
そして、その意味する所が、明示されます。
sadly you hear him say
「悲しい事に」、という事です。「you」は、前に出ていた、「his baby」、「him」は、「ロミオ」です。
この行を自動翻訳で見ると、
⇒悲しげに、あなたは、彼が言うのを聞く
その通りですね。ただし、「悲しげに..聞く」というのは、「悲しい事に、聞こえていない」、のを表わしています。「sadly」というのは、「あなたが」というよりは、「彼が言うのが」、に掛かるのだと思います。ここは、その、「悲しい」事実を明確に伝える必要があります。なので、
とどかないこえ
です。
これで、この歌は始まります。
(Chorus)
Ukulele baby
ウクレレベイビー
英語の発音は「ユカレレ」に近いようですが、我々としては、「ウクレレ」です。
of love her singing
この行は、「her singing of love」でしょう。訳せば、「彼女の愛の歌」ですが、そう言って見たところで、何を言おうとしているのか、頭を捻りたくなります。簡単に、その場の情景を提示すればよいのです。だから、
あいをうたう
次の行、「but」と言いたいのは、この歌を歌うロミオです。ウクレレを弾くだけ弾いて、愛を歌っているようなのですが、でも、これが「but」ですね、ここにある愛に気付いてくれない、のです。
but you keep stringing
stringing 弦を張る
意外にも、辞書を見ると、「弦を張る」、位までしか書いてありません。でも、ここで、「彼女は弦を張り続ける」という訳になる事は考えられませんね。弦に関わる事をし続けている、引き続けている、のです。なので、
ならしつづけ
主語は、既に、「ウクレレ・ベイビー」として出ているので、この文の「you」は、訳を省略です。また、「弾く」と言うよりは、「鳴らし」と言って、その音が聞こえる様を、そのまま、言い表わしたいですね。
それに対して、少し、この歌を歌う、自分の事を言います。
you just got me crazy
crazy 頭がおかしい[変で・どうかして]、正気を失って、発狂して、常軌を逸した
ウクレレを弾く、この子の事で、頭がいっぱいになるのです。どんな風な言葉でもよいですが、最大限の自分の特別大変な気持ちなのです。どこまで、大変な言葉を使っても、切りはないので、「騒ぐ」という言葉で、落ち着かせます。なので、
このこころさわぐ
です。
the way you roll those dreamy eyes around
roll 回転する、転がる、〔船などが〕横揺れする
夢みる瞳が、焦点を定めず、泳ぐ、様子です。その有様を見るロミオにすれば、それが、堪らなく恋しい気持ちにさせるのです、気も狂う(crazy)位に、と言う所でしょうか。それを訳すのに、何と言ったらいいのか、それが問題なのです。「あなたの、夢を見る、揺れる瞳に」ですが、この「夢を見る」は、「夢を追う」に、そして、もう、それで、その瞳は定まらず、揺れているのは分かりますから、わざわざ、「揺れる」と言うまでもなく、それは省略です。なので、こうなりました。
ゆめをおう、そのひとみに
そして、さらに、ある事実、それを見て取る自分の気持ちが付け加えられます。
when you strum that hickeydoola
strum かき鳴らす
hickeydoola ※doohickey (名前の分からない)例のもの、何とか
この「hickeydoola」は、そのままでは辞書にも出ていなくて、でも、探すと、それらしきものがありました(上記)。もう、「ウクレレ」と、その名前を言うのも嫌だと言う事ですね。訳は、「あなたが、あの例のものをかき鳴らすとき」とか、「あなたが、あの何とかをかき鳴らすとき」ですが、そこまで、歌う人の気持ちを汲み取って、一行の文に収めるのは難しくて、「hickeydoola」という語は訳として明示しません。なので、単に、こうなります。
ならすそのおとに
そして、次の行で、もっと、はっきりと、事態が説明されます。
I get warm, but you get cool,cool, cooler
「私の心は暖かくなるのに、あなたは、どんどん、冷めて行く」、のです。それが分かって、ますます、自分が、「ウクレレ」に抵抗を感じ、その楽器の名前を言うのも嫌になるのが分かります。どうして、「あなたは、(get cool,cool, cooler)どんどん、冷めて行く」になるのか、その理由は語られませんが、ロミオの気持ちになってみると、そうとしか思えないのが分かりますね。それで、この歌になり、声に出して叫ばずにいられないのです。だから、こうなります。
こころもえ、でも、さめる、あなた
この後は、ロミオの悲痛な叫びと言えるでしょう。
Ukulele baby,
ウクレレベイビー
oh, won't you lay your ukulele down
won't you ~しませんか、~してくれませんか
lay ... down ..を置きなさい
お願いなので、丁寧にいっているのですね。
そのウクレレ、おいて
そして、ロミオの語りが入ります。
he loves music but he loves his lover more
ロミオも音楽は大好き、でも、それ以上にあの子の事が好きなのです。ここの「music」は、ただ単位、「音楽」と訳す所ではなく、その奏でられる音色が分かるようにしたいですね。なので、
あいするあのこ、ひびくおとよりも
ちなみに、これを自動翻訳で見てみると、
⇒彼は音楽を愛しているけれども、彼は彼の恋人をもっと愛している
そう言う事ですね。
そして、続けます。
he knew just what loving was it meant more
この文は、主語と述語が、どれがどれやら、難しいのですが、たぶん、英語ネイティブの耳には、素直に、分かり易く聞こえているのでしょう。
ロミオは、今、分かったのです。愛する事が、今まで思っていた以上の事だっていう事が、です。
これも、自動翻訳で見ると、(※ただし、以下の訳では、文の「,」を補足しましたが、「..loving was it, meant more..」)
⇒彼は愛情が何であるかを知っていました、それはもっと意味がありました
なので、こうなりました。
あいは、それいじょう、いま、わかる
まだまだ、ロミオの心の叫びは止みません。
so when his heart cried love songs
自動翻訳で見ると、
⇒彼の心がラブソングを叫んだとき
この文を、音符に合わせて短くすると、「~した時」の4文字、「歌」の2文字を削ると、6文字も削れて、ずいぶん楽になります。そして、名詞止めで、助詞の「~が」などの1文字を削れて、そうすれば、もう、歌いたいことを叫ぶだけです。
あいをさけぶこころ
そして、ロミオの状態が、さらに、伝えられます。
he's got to sigh to her
he's got to (【同】have to)~しなければならない、.~に違いない
sigh ため息
そして、「..にならざるをえない、確実に」、「ため息」、です。
あのこにためいき
そして、「泣く」、です。
he's got to cry to her
あのこにないて
歌が、すべて、歌われました。
この後、しばらく、繰り返しです。
Ukulele baby
ウクレレベイビー
of love her singing
あいをうたう
but you keep stringing
ならしつづけ
you just got me crazy
このこころさわぐ
the way you roll those dreamy eyes around
ゆめをおう、そのひとみに
when you strum
ならす、
that hickeydoola
そのおとに
I get warm, but you get cool,cool, cooler
こころもえ、でも、さめるあなた
Ukulele baby,
ウクレレベイビー
oh, won't you lay your ukulele down
そのウクレレ、おいて
(piano)
そして、もう一度、念入りに歌います。
Ukulele baby
ウクレレベイビー
of love her singing
あいをうたう
but you keep stringing
ならしつづけ
you just got me crazy
このこころさわぐ
the way you roll those dreamy eyes around
ゆめをおう、そのひとみに
以上、これまでの歌をなぞって、そして、歌い切ります。
when you strum
ならす
that hickey doopi-doopi-doopi doola
「hickeydoola」の「doola」が、「doopi-doopi-doopi 」となって、その思いを叫びます。これは、オノマトペで、訳はその音を、忠実に再現すればよいですね。もとももとの英語の歌の叫びが聞こえて来ます。
そのおとに、ドゥピ、ドゥピ、ドゥーラ
I get warm, but you get took took took it cooler
同じ言葉の行ですが、前にあった、「..cool,cool, cooler」が、「took took took it cooler」となっています。訳は変えません。前者が、「だんだん、さめる」なら、後者は、「もっともっと、さめる」、などと言う位の気持ちでしょか。これは、歌う人に、歌い方は、任せるしかなさそうです。
こころもえ、でも、さめる、あなた
そして、この歌も最終盤、最高潮になります。
Ukulele baby,
ウクレレベイビー
oh, won't you lay your ukulele down
そのウクレレ、おいて
もう、歌も終わります。「下に置いて」という、悲鳴とも、叫びとも言える、切ない願いなのです。
だから、「下に」が繰り返されます。
down down down, let lay your ukulele down....
したに、したに、したに、そのウクレレおいて
-完-
(余白残興)
2022.2.9記:
この歌は、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」を下敷きにしています。ロミオが、ポーチの下で、いくら声をからしても、ウクレレを弾くのに夢中で、その声が届かず、聞こえないジュリエットの様子に、ロミオは絶望します。そして、「そのウクレレは、下に置いて」と、叫びますが、それもジュリエットには届かないでしょう。ちょっと、吉本っぽい、人情喜劇の一場面です。当時の浅草オペラには、ちょうどよい設定で、楽しめる演奏ではあります。ただし、この歌の下敷きとして、「ロミオとジュリエット」の話があるという事で、我々には、素直に入り込めない面白さではあります。
YouTubeを拾っておきます。
