☆BTE 2021-12-05記
SIDE BY SIDE:
1927年に発表されたこの歌、その時の米国の時代状況は、ずいぶんと忙しものでした。インターネットで見ると、次のような記事がありました。この2年後には、経済大恐慌です。
『25歳のチャールズ・リンドバーグがニューヨーク=パリ間の大西洋単独無着陸飛行を成功させ、32歳のベーブ・ルースがシーズン60号ホームランを放ち大リーグ記録を塗り替え、28歳のアル・カポネが全米のギャングの頂点に君臨した夏』
とはいえ、今の時代も、2021年、野球では、大リーグで大谷が活躍し、AIやロボット、ドローンが活躍し、GAFAという経済のギャングもいるので、同じような、忙しい時代とも言えます。2年後の事が分からないのも同じです。
昔も今も、未来は分かるはずもなく、楽しく生きようとするのです。
SIDE BY SIDE (1927)
Written by harry macgregor woods
「SIDE BY SIDE」英語詩:
曲名:となりとみちづれ
美艇香津 訳詩
Oh we ain't got a barrel of mo-ney
Oh、おかねはくさるほどはない、
Maybe we're ragged and fu-nny
たぶん、わたしたちかなりおかしい
But we'll travel a-long,
でも、いっしょにたびする
singing a song
うたをうたって
Side by side.
となりとみちづれ
Don't know what's coming tomo-rrow
あすはどうなるかは分からない
Maybe it's trouble and so-rrow
もしかして、こまりはて、かなしむ
But we'll travel a-long
でも、たびするみちで
singing a song
うたをうたって
Side by side.
となりとみちづれ
Through all kinds of weather
どんなおてんきでも
What if the sky should fall?
そらがおちてきても
As long as we're together
わたしたちいっしょならば
It doesn't matter at all.
ぜんぜんへいき
And when they've all had their quarrels and par-ted
けんかして、わかれるひとたち、
We'll be the same as we star-ted
でも、わたしたち、はじめとおんなじ
Just travelling a-long,
いっしょにたびする
singing a song
うたをうたって
Side by side.
となりとみちづれ
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さっそく、1行目、
Oh we ain't got a barrel of mo-ney
ain't have not
a barrel 樽
私たち、お金の詰まった樽を持ってはいない、という事ですね。
早速、どう翻訳するかの問題に行き当たります。この言い方は、ちょっと、気の利いた、面白い言い方ですが、英語での手慣れた言い方だとすると、日本語で、そのまま訳しても、同じようにピンと来るということはないので、同じ意味内容を、我々に、すぐ分かる言い方を考えなければなりません。
それは、「..くさるほどはない」ですね。
Oh、おかねはくさるほどはない、
この歌の、この入りが、訳を考える上で、一番の山でした。ここを越えれば、この歌の訳はできて来そう気がします。
Maybe we're ragged and fu-nny
Maybe たぶん
ragged ぼろぼろの
fu-nny(funny) 可笑しい
たぶん、わたしたちかなりおかしい
「ぼろぼろ」は、省きました。「ぼろぼろ」は、見た目に可笑しいという事ですから、「おかしい」で、すべてを言った事にします。その代わり、「ぼろぼろの」の分として、「かなり」を入れました。それで、意味としては、ずいぶん、原詩に近づけたつもりです。
また、この行を、「ぼろぼろで、可笑しい」と訳すと、その、我々、日本語国民が受け取る意味は、多少とも複雑です。英語での、「ragged and fu-nny」を英語国民が受け取る受け取り方と同じかどうか、覚束ないのです。「ぼろぼろで、可笑しい」と言うと、それは、もしかしたら、少し、悲しく、切ないです。それで、訳としていいのかどうかと考えると、そのままには出来ませんでした。
But we'll travel a-long,
でも、いっしょにたびする
この英語は、そのまま訳せますね。未来形であることには、気を付けていたいですね。「いっしょに」は、「along」があるので、そういう感じです。
singing a song
うたをうたって
この行も、その通りです。
Side by side.
この歌の曲名です。パソコンの自動翻訳を確認すると、
⇒並んで
その通りですが、この歌の核となるテーマですから、その、「並んで」居る事の意味も表現したいわけです。「一緒に」とか、「離れず並んで」などとかですが、日本の流行歌の中に使われていそうな言葉で、「みちづれ」もありました。それは、日本的な情緒感の、あり過ぎる程ある言葉なので、ジャズ歌の歌詞に適合するのかどうかも、少し考えさせられましたが、その気持ちって、英語国民にもあり得るようにも思い、「みちづれ」でよい事にしました。
ちなみに、「Side by side」という言い方にも、日本語で、「並んで」という以上の、情緒的意味合いがあるのではないかと想像します。英和辞典を作る方々にも、さらに、考えてもらいたいですね。というわけで、この行の訳は、次の通りです。この行の分の音符も、この8音の字数を歌うだけの拍数はあります。
となりとみちづれ
これで、この歌の第1連目は終わりました。旅する二人、それは、男と女の二人連れですね。一緒に旅する事を運命づけられた、その不安と楽しみが、歌の中で爆発します。そんな自分たちを、ちょっと可笑しいかなと客観視する心の余裕もまだあります。
そして、第2連目です。
Don't know what's coming tomo-rrow
あすはどうなるかは分からない
what's coming tomo-rrow 明日、何が来るのか、どうなるのか
旅をしながら、何も考えていない訳ではなくて、冷静に、現実を見る目もあるのです。
Maybe it's trouble and so-rrow
もしかして、こまりはて、かなしむ
Maybe たぶん
trouble 困り事
so-rrow 悲しみ
上記の3つの単語は、訳し易いようで、でも、普通にある言葉で、訳す言葉を何にするかが問題になります。どれでもよくて、間違いではなく、その言葉を聞く方も、理解には困りません。それで、ここでは、言葉を、音を、多く使って、動詞にしました。「音を、多く使って」というのは、ここで歌われている、困って、つらい状況の時は、概して、人の動きがのろのろと、遅くなる事を反映させた、などとも言ってみたいところです。また、改めて見てみると、英語の方は、名詞です。「名詞なのに動詞で訳していいの?」とかの意見もありそうです。また、「『こまりはて』って、英語だと別の言い方になるんじゃないの?」とかもあります。
それは、「超訳」だから、と言っても、それで何を答えたわけでもないのですが、ただ、これで、そういう日本語の気持ちと、原詩の英語の気持ちと同じだと思う、という事ですね。
そして、やはり、自分たちの旅は続けようとしているのです。
But we'll travel a-long
でも、たびするみちで
パソコンの自動翻訳を見ると、
⇒(しかし)、私達は一緒に旅行する
「『みち』という英語は入っていない」ので、「みち」という訳はあり得ない、も言われそうです。
それから、前の第1連目では、同じ文を、「 でも、いっしょにたびする」と訳していたので、ここでも同じにするべき、とかも言われそうです。
1つ目の問いに対しては、ただ、「それもありでしょう」と言うしかありません。2つ目の問いに対しては、確かに、同じ文を、同じ訳にする方がよいような気もします。
ただ、ある英文に対しての、1つの訳は、謂わば、その英文の訳の候補でしかなくて、その英文に対する、それ以外にない翻訳ではないとも言えます。歌の言葉も進み、その歌の状況も、詳しく分かって来て、ある英文の意味が、別の翻訳文と合わせて理解した方がよいのではないかということもあります。...、ちょっと、分けの分からない事になって来ましたね。何かを言い訳したいような、そんな事です。そんな事もありますと、翻訳者の勝手を許して欲しいと言う事で、次の行に行きます。
singing a song
うたをうたって
これも、前の第1連目にありましたが、訳は同じです。それしかない、という事でもあります。
そして、この連の締めくくり、
Side by side.
となりとみちづれ
これは、この訳で決まりで、この歌の曲名でもあり、この歌の趣旨を性格付けている言葉で、翻訳者にとっては、外ずせません。「いっしょに」とか、「ならんで」とか、思い切って、「からだ、よせあい」とか、ほんとに、どれでもよいのだろうと思いますが。
では、第3連目を見ます。
Through all kinds of weather
どんなおてんきでも
Through ..を通って
kinds 種類
weather 天候、天気
その日の気候を表すのに、「おてんき」と、わざと、「お」を付けて、ちょっと、軽めの、ふざけた言葉にしました。天候がどうあろうと、それを、真面目に気にかけているのではない、という事ですね。
What if the sky should fall?
そらがおちてきても
What if 仮に、..たら(仮定の)
空が落ちて来たらと心配する、「杞憂」、という言葉があります。それも笑い飛ばしてという、二人の勢いが感じられる所です。英文の意味を考える時、難しいのは、「should」などの助動詞ですが、ここは、仮定形で使われる、お決まりの、ということで、普通に訳せます。
そして、次の行は、
As long as we're together
わたしたちいっしょならば
As long as ..の限り
together 一緒に
ここでは、「..いっしょでいるかぎり」とは歌いたくないですね。「..ならば」ですね。「..かぎり」という言葉は、漢字の「限」を使って表す言葉で、それが、ほんの少しだけ、情緒的なものから逸れて、冷静に、感興を冷まします。というか、ちょっと、何かある、なので、「..ならば」にするのです。
この第3連も最後の行です。
It doesn't matter at all.
doesn't matter 問題ない
at all まったく
この英文を、パソコンの自動翻訳で見ると、
⇒それはまったく問題ではありません
そういう事ですが、後は、ただ、言葉を選ぶだけです。
ぜんぜんへいき
「ぜんぜん」は、「まったく」や「ほんとに」よりも、音が強くて、よいかなと思います。また、「へいき」という言葉は、英語では、また、別の言葉もあるのでしょうが、つまり、英語の翻訳としては、「違う」と言われる余地もありますが、これで、決まり、そんな所です。
最後の、4連目に入ります。
And when they've all had their quarrels and par-ted
けんかして、わかれるひとたち、
quarrels 喧嘩
par-ted 別れた
これは、一緒にいた人たちが喧嘩したりして、別れたりするような時にも、という事です。
We'll be the same as we star-ted
でも、わたしたち、はじめとおんなじ
今、みちづれで、一緒に居る私たちは、その一緒になった始めと同じまま、変わらずに、です。
Just travelling a-long,
いっしょにたびする
Just ただ、単に
「travelling a-long」は、前にも出て来ましたが、「たびするみちで」の方でなく、こちらにしました。どうしてかというと、それが、二人の結論だからです。この歌も、この連で終わります。
そして、ここまで来れば、後は、ただ、繰り返し、同じ事を言うだけでいいのです。
singing a song
うたをうたって
Side by side.
となりとみちづれ
-完-
(余白残興)
2021.12.6記:
この歌は、「となりとみちづれ」と、第3連目の、空が落ちて来ても、「ぜんぜんんへいき」が、訳語としては重要な箇所でした。その外は、結局、いずれ、誰でも、同じような訳になります。歌の気に入った部分と、自分の訳語とが、すんなり適合する時、訳は、これでいい、になります。
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YouTubeを拾っておきます。
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