『十字軍物語』完結 塩野七生さん 日本の針路の参考にも
「弱小と思われたら最後」(2012/3/5SankeiBiz
)
歴史作家、塩野七生(ななみ)さん(74)の新刊『十字軍物語3』(新潮社)は、中世ヨーロッパの歴史を描きながら、現代日本の再生へのヒントも読み取れる作品だ。平成22年7月刊行の『絵で見る十字軍物語』に始まる4部作の完結編。当時の国々の外交戦略などは、現代日本にとっても参考になるという。
十字軍は11世紀末から13世紀にかけて、イスラム勢力が支配する聖都エルサレム奪還のため、ヨーロッパ諸国が繰り返した遠征。キリスト教を軸に、ヨーロッパ諸国が初めてまとまった歴史的転換点と位置づけられている。
塩野さんは、この2宗教のいずれとも関係ない立場だからこそ、見えてくるものがあるといいます。
「戦闘と戦闘の間に生きた人たちと、敵味方の双方で試みられた共生の物語。今まで欧米で書かれたいかなる十字軍の物語とも違う」
魅力的な男を描くことに定評がある彼女の著作には、多くの傑物が登場しますが、「どんな英雄も(身近にいる)召し使いから見ればただの人と言うけど、それはただの人である召し使いが見ているから。だから、ただの人である自分の側に引き寄せては書かない」。
「私の師匠は、私が書いた男たち」というセリフが素敵です。
国際情勢がめまぐるしく動いた十字軍の時代の小国ながら長く繁栄した(イタリア半島北部)ベネチア共和国と照らし合わせて、
日本の経済成長が鈍化する中で、世界から取り残されてしまいかねない現状に対して
「ナンバー3でも4でもいいから、強国であった方がいい。力がないと、他国に何か言われたときの代償が大きすぎる。弱小だと思われたら最後」と警鐘を鳴らしています。
モノづくり日本(モノ)から人づくり日本(ココロ)へと、新しい強みを発揮する時にきている気がします。
