墨香銅臭先生のデビュー作
「人渣反派自救系統(サハン)
 
ウエブでは50話まで配信されたとたん、ふっつりと姿を消していたのですが
このほど復活したもようです!
Kindleに51話が来ています
なんてめでたい🎉
 
紙の書籍のほうは24話くらいまで(水牢くらいかな)が第一巻として出版されています。
web連載も再開されたことだし紙の書籍もまた来そうですね。
 
アニメは「クズ悪役の自己救済システム」という邦題で10話まで配信されたとたんいきなり終わりました。
アニメは原作とは違う味があったし気に入っていました。
続きも見せてほしいです。
 
 

 

  「人渣反派自救系統(サハン)」は2014年の作品です

 

ちなみに「魔道祖師」が2015〜2016年に発表されていますから墨香銅臭先生は「人渣反派自救系統」を執筆後、つづけて「魔道祖師」を書かれたことがわかります。
 
わたしが今回わざわざブログで「人渣反派自救系統」について取り上げたのには訳があります。
わたしは「人渣反派自救系統」と「魔道祖師」が別々の小説ではないと思っているんです。
ふたつの小説は二部作とまでは言いませんが、繋がっているのではないでしょうか。
 
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後に執筆された「魔道祖師」が大ブレークをし、さらに次回作「天官賜福」も大ヒットしたため「人渣反派自救系統」は見逃されがちになっていますが、墨香銅臭先生の出発点ともいうべき小説です。
ふたつの小説を読み比べることにより、先生が「人渣反派自救系統」を踏まえて、より洗練された形で「魔道祖師」を推し進めていった足跡を追えるのではないかと大胆にも考えています。

 
 
 
では50話までという宙ぶらりんな状態とはいえ「人渣反派自救系統(サハン)」の主人公沈清秋の人となりを見ていきましょう。

  人渣反派自救系統」の主役は沈清秋(シェンチンチウ)

 

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「魔道祖師」でいうところの魏無羨のポジです。
相違点も共通点もありますがとにかく「受け」です。
 
この小説はいわゆる「転生もの」で、主人公の沈清秋は現代の人です。
ですからセリフに絵文字やイマドキの流行り言葉が入ったりします。
彼がシステムと交わす会話はホント掛け値なしに笑えます!

 

爽快度と訳されているポイント。沈清秋はこれをレベルアップしないと自由に動けないのです。


 
物語は沈清秋目線で進みますが、へちまはこの沈清秋がまじで好きです。
オリジナルの沈清秋はクズ野郎でした(物語が進むに従って彼がクズに堕ちていった経緯が明らかになります)が
転生後の沈清秋は明るくポジティブで本当に魅力的です。
意識せずとも多くの人を魅了してしまう明るいキャラは「魔道祖師」の魏無羨にも引き継がれています。
 
彼を描写する墨香銅臭先生の筆は生き生きとしていて、先生自身も沈清秋に魅了されているのが理解できます。
 
沈清秋の特色として一番に挙げられるのが
カッコつけ
何をするにも愛用の扇をヒラヒラさせてイキがってるんですが、食いしん坊だし、ずっこけてるし、よく気を失う姫ポジだし、言動不一致はなはなだしい。

 

 

美貌のほうも綺麗なんですけど空前絶後ってほどでもないみたいなんですが、お相手の洛氷河はじめ彼に惚れちゃう人たちには、最高に綺麗なんでしょうね。

 

 

この魅力的なキャラクターはのちの魏無羨にも引き継がれますが、沈清秋のほうがもっと屈託ない。
魏無羨の持っている消しがたい闇を差し引いたのが沈清秋だといえます。
 
つまり沈清秋の明るさに深い闇を加えたことにより、魏無羨の複雑で魅力的なキャラクターが完成したように思います。
この闇があるからこそ魏無羨の明るさや純粋さがより一層輝くのです。
 
ふたりを比較するのはとても楽しい作業ですね。
 
 

 

 

  さて話をストーリーに戻しましょう

 

小説は沈清秋が眠りから覚めたところからスタートします。
「魔道祖師」の莫玄羽と同じ流れですね。
「目覚めたら別人になっていた」パターンです。
 
沈清秋は沈垣という名の現代人ですが、愛読書のweb小説「狂傲仙魔途」の展開に激怒して肉まんを喉につまらせて落命してしまいます。
そしてその小説内のクズ悪役となって目を覚まします。
彼はすぐにこの世界がかつて愛読していたクソ小説「狂傲仙魔途」のなかだと気づきます。
そして転生後の自分が、まもなく小説の主人公洛氷河によって人豚にされる運命であると理解し反撃(抵抗)を開始します。
 
沈清秋は原作小説のガチ読者だったので、いろんなチート知識(能力ではない)を持っています。
この知識を生かして霊力不足を補い、数々の苦難にポジティブに立ち向かっています。
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悪徳の限りを尽くしていたオリジナル沈清秋でしたが、転生後は本来敵対関係にあるはずの人々を味方につけていきます。
特に最大の仮想敵、洛氷河を手懐けたのはお手柄でした。
 
「沈清秋が少しばかりの善意を見せただけで、洛氷河はかつて受けた傷を綺麗さっぱり忘れて、なんの躊躇いもなく沈清秋を自分の心の一番深いところに置いた」
 
とあるようにイチコロで懐いてしまいます。
なかなかのチョロさです。
もちろんそれは、やがて沈清秋への変態的な愛へと順調に育っていきます。
 
今日はここまでにしておきます。
次回は他の登場人物を見ていきますね。