出版取次の日販、米AI企業に書籍を大量販売か 業界団体が説明要求(朝日新聞) - Yahoo!ニュース

 

AIに勉強させることを目的に書籍を購入したとして、仮に売る側もその目的を事前に知っていたとしても、それだけで直ちに法的に問題だと断定するのは難しいのではないだろうか。日本の著作権法にはAI学習に関係する著作物利用について一定の権利制限規定があり、単純に「AIに使ったから違法」とはいえない。

 

だから今回も、最終的には「とりあえずはお咎めなし」という形に落ち着く可能性もあるように思う。ただ、本当に重要なのは、法律に触れるかどうかだけではない。大量の本がAIの学習材料として利用されることを、出版社や著者が知らないままでよいのか。取次という出版流通の中核を担ってきた存在が、どこまで販売先の利用目的に踏み込むべきなのか。そこには、これまでの出版流通とは全く違う問題が生まれている。

 

最近では「AIが人類を滅ぼす可能性」まで語られるようになった。しかし、私はAIそのもの以上に、AIを使う人間の側を制御することのほうが難しいのではないかと思う。便利な技術ほど、その使い方を決めるのは人間だからだ。

だからこそ、この問題を単なる一企業、一取引の問題として終わらせてはいけない。法的に問題がないから終わり、ではなく、出版界としてAIとどう向き合い、何を守るのかを正面から議論する必要がある。今のうちにきちんとルールと考え方を作らなければ、気がついたときには取り返しのつかない状態になっているかもしれない。そう考えると、少し怖さを感じる問題である。