株式会社ダスキン。
企業・家庭にモップやマットのレンタルをする
クリーンケア事業と、
ミスタードーナツを始めとする
フード事業が主事業です。
モップの会社が飲食店をやるということに
どのようなシナジーがあるのでしょうか。
なお、この原稿はミスタードーナツで書いております。


http://www.duskin.co.jp/ir/library/result/pdf/duskin_2013.pdf


科目     前期     当期  単位:円
売上高   1711億  1682億
粗利益    750億   725億
営業利益    98億    92億
経常利益   116億   110億
当期純利益   46億    61億



<損益計算書=PL>

経済低迷による経費削減意識の高まりが、
クリーンケア事業に悪影響を及ぼしています。
しかし、短信によると、
「昨年6月に発売した商品の売上が増加したこと、
清掃用具レンタル、清掃サービス、害虫駆除、衛生管理サービス等を加えた
オーダーメイドの総合提案を繰り返し行う地道な営業が奏功したこと等で、
マットを中心とするダストコントロール商品の売上減少幅は前期に比べ縮小しました。」
とのこと。
販売チャネルは多いでしょうから顧客との接点が多く、
扱う商材の多さと、相手の利便性を考えた営業で、
減収にも関わらず増益を達成したもよう。
利益率は1%弱改善され、新商品の利益率が良いか、
売上のために安売りをしていないことが分かります。
固定費がないビジネスモデルだけに、
参入障壁が低いため、競合との差別化戦略が必須。
ここではサービスマンや営業マンが評価されたことの証左でしょう。

フードサービス事業は、
「ミスドは主婦の来店頻度が下がり客数減少。
第4四半期は広告、新商品効果で巻き返すも、第3四半期までをカバーできず。」
なぜ来店頻度が下がっているのかの分析必須。
ただ、「ドーナツ屋のプライド」をかけて素材を見直し、
確かに商品の品質は上がったように感じます。
(ヘヴィーユーザー談)

ミスタードーナツでは平成25年9月にポイントカードを廃止、
それに伴う費用を8億円引き当て。
ポイント制度廃止に伴って前倒してポイント利用されることを見積もり、
今後発生する予定だった費用が計上されています。
ポイント制度廃止は通常の営業過程ではないため、
「特別損失」に計上されます。

その他カフェ・レストランなどについて不採算店を閉鎖、減収・減益。
リストラをしながら、今後はエキナカや都心部に展開していく予定とのこと。
売上は横ばいも、利益率は5.9%から2.3%へと減少している点が懸念されます。

一株あたり配当は毎年40円を維持していますが、
現在進行期に創業50周年の記念配当20円を上乗せ。
減益予測であることと、自己株式も継続的に買い入れているため、
配当性向は86%、総還元性向
(配当と自己株式購入による株主への還元が利益に占める割合)は
それ以上になる見込み。
資産潤沢なのはわかりますが、利益のほぼすべてを株主に還元するのはどうか。
ちなみに補足ですが、なぜ企業が自己株式(自社の株式)を買うことが
株主還元なのでしょう。
それは、企業が取得した自社の株式は
一株あたりの企業価値を算出する際の株式から除かれるからです。
つまり、分子である利益はそのまま、分母である株式数は減少、
よって一株あたり企業価値が増加、というロジック。


<貸借対照表=BS>
キャッシュが毎年増加、売上債権と合わせて250億~300億円あります。
買掛金・未払金合わせても130億円、レンタル品預かり保証金103億円となっており、
万が一保証金を全て変換しても50億円以上残る算段です。

ほか、余剰資金を有価証券及び投資有価証券で運用。
それぞれ140億円、676億円保有。
関係会社・非連結子会社の株式と、その他有価証券(=短期売買目的でない株式など)が
約200億円あり、そのほかは国内外の社債・公債での運用が主。
つまりいつでも手放せる、流動性の高い有価証券が多いということです。
たとえば提携しているモスフードサービスの株式は
相手との関係上すぐに売って現金化はできませんが、
債権なら市場があるためすぐに現金化できるということ。

また、クリーンケア事業のビジネスモデルが
商材のレンタル・メンテナンスなど
大きな固定費を伴うものではないため、
自己資本比率も75%と高く、
資産の柔軟性・流動性が高いのでしょう。

負債の部を見ると、
借入金合計が2億円弱、うち半分以上を翌期に返済予定です。
キャッシュは潤沢なので実質無借金。
当期の利息負担は4百万円。
借金は返せるならばすぐに全額返済すればいいようなものですが、
企業と金融機関の関係はそんなにドライではありません。
今後の資金繰りなどを考え、
金融機関との関係性を維持するためのコストと考えるのが妥当です。


<CF=キャッシュフロー計算書>
EBITDA(利息・税金払い前の利益+減価償却)が毎期プラス。
大型設備投資も不要であり、借入返済もないため、
キャッシュフロー面も盤石。

フード事業の業績が芳しくなく、
今後立て直しの際には新規投資・撤退に投資がかさむ可能性。
また、海外展開も進めていることも同様に考慮が必要。

なお、投資CFに子会社株式取得のため8.5億円の株式取得費用が含まれています。


<まとめ>
財務基盤は強固ですが、事業環境は不安定。
クリーンケア事業においては高齢者へのターゲッティングや、
資本力と販売チャネルを活かした差別化ポイントが必要では。
フード事業では飲食店の展開と併せて、
ミスドのライセンス事業など面白そう。
不採算店などのリストラの次の一手に期待。


曰はく、
「数字は過去の、一定のルールにより出された表面にすぎない。
未来、環境、感情を見よ。」
株式会社ウェザーニューズ。
気象コンテンツを核として、
天気予報をWeb上や自前のスタジオから配信するほか、
気象情報を船・飛行機などの交通系会社に提供して
移動の安全性向上や航路最適化に貢献している企業です。
天気予報をコンビニに提供して商品発注の基礎情報にしたり、
海賊の情報を提供することもあるようです。
数百人の気象予報士が在籍しているとか。

2008年に新日本監査法人とEYが主催する
Entrepreneur Of The Year Japanを受賞していて、
小規模ながら優れたビジネスモデルを持っている当社が
どのような経営状態かを知りたくなりました。


http://weathernews.com/ja/nc/ir/kessan/tanshin/pdf/130628tanshin.pdf


科目    前期    当期 単位:円
売上高  129億  130億
粗利益   59億   53億
営業利益  29億   27億
経常利益  28億   28億
当期純利益 17億   17億




<損益計算書=PL>
販売管理費は微増、売上原価が増加し粗利益率5%ダウン。
前期販売管理費としていた費用を、
合併・人員配置などにより当期より売上原価としています。
影響額は4億円で、この調整をしても1.5%は粗利率が
落ちています。
これによって増収ながら粗利・営業利益減益となりました。
また、前期は災害復興費用と固定資産売却損で8500万円マイナス、
当期は7600万円の為替差益によるプラスがあり、
合計1億6000万円ほど臨時損益差がありましたが、
純利益はほぼ同じ結果となっています。
ただ、売上高当期純利益率は20%と高く、
安定的に利益が出るビジネスモデルとなっていることが分かります。
トールゲート型ビジネスモデルといい、
高速道路の料金のように誰もが必然的に通り(=サービスを利用し)、
利用数が増えれば増えるほど増収していくモデルです。

気象サービスでありニッチ市場は否めません。
事業カテゴリが狭く特定市場に集中しているリスクが高いか、と思いましたが、
130億円の売上高のうち法人向け交通気象情報47億円、
個人向けモバイルサービス35億円、など分散されていました。
その専門性のため参入障壁高いです。
決算短信に「気象市場は6000億円あると認識」とありますが、
翌期売上予測は3.8%増135億円。
ニッチであるが故の市場規模をどう拡大し、
限界をどう打破するかが収益のポイント。

日本市場売上高が109億円と84%と占めますが、
前期比では0.4%減収、海運不況があったためと考えられます。
今後輸出増が海運業界を活性化させ、プラスに働くでしょう。

原点である海運会社向け気象情報から、
ヘリ・飛行機に気象情報や位置情報提供で安全支援、
鉄道会社に雨量など気象情報で運行管理規制支援による販路拡大、
また2012年12月にコペンハーゲン拠点を開設するなど北欧市場や
日本以外の市場開拓を目指し、
25年かけた日本市場の経験を基に海外で3~5年で拡大を目指す
ことを目標に掲げています。



<貸借対照表=BS、キャッシュフロー計算書=CF>
キャッシュ9億円増加。今期追加の資金調達がなければ、
長期借入金・長期社債は一年以内に返済・償還され、無借金になる見込みです。
流動比率が350%から510%へ、
自己資本比率も83%から88%へと良化。
自己資本比率は5年前の50%から、60%、75%と
年を経るごとに良化し続けています。

25億円前後ある売上債権に対する貸倒引当金は3300万円~5400万円であり、
回収可能性に問題はないと見積もり。
仕入債務・社債償還・借入返済をしても20億円のキャッシュプラスと
ダントツの安全性。
フリーキャッシュフロー(営業活動CFから投資活動CFを引いたもの)が
前期17億円、当期14億円と十分にあります。
殆どの要因はEBITDA。
営業活動による資金流入、
近々達成される無借金状態から、
十分な安全性と投資余力があります。


<まとめ>
売上や利益の成長にスピード感はないものの、
20%と高い純利益率、
安全性の高い財務体質は大変評価すべきもの。
配当性向も25%から31%へと上がっていますが、
決算短信の記述から、売上高増加に向けた新規投資を最重視、
内部留保や株主配当はそれを勘案して、といった様相。
競合はほぼいないと言っていいでしょうから、
ニッチな市場の開拓及び気象コンテンツの多様化に
とにかく注力していくことでしょう。
競争がない分、じっくりとコンテンツの質は磨いても
爆発的な業績の伸びに対する期待はないような気がします。


曰はく、
「数字は過去の、一定のルールにより出された表面にすぎない。
未来、環境、感情を見よ。」
東日本旅客鉄道株式会社。
いわゆるJR東日本。
旧国鉄、日本の交通インフラを支える企業が
どんな体質なのかを見てみることにしました。

なお、今回発表された「経営構想」にある2点をご紹介。

[変わらぬ使命]
「お客さまの求める安全で品質の高いサービスを提供する」、そして
「鉄道サービス・生活サービスの提供を通じて、地域の発展に貢献する」

[無限の可能性の追求]
ア 技術革新 ~エネルギー・環境戦略の構築、ICTの活用、高速化~
イ 新たな事業領域への挑戦 ~グローバル化~
ウ 人を伸ばし、人を活かす企業風土づくり

変わるものと変わらないもの、
守っていくものと攻めていくもの。
一方で我々の生活を支えつつ、
その延長戦上にないサービスを期待します。


http://www.jreast.co.jp/investor/financial/2013/pdf/kessan_01.pdf

単位:百万円
前期 当期
営業収益 2,532,173 2,671,822
運輸業等営業費及び売上原価 1,710,614 1,791,690
売上総利益 821,559 880,132
販売費及び一般管理費 461,534 482,569
営業利益 360,024 397,562
営業外収益合計 19,359 19,115
営業外費用合計 107,201 99,190
経常利益 272,182 317,487
特別利益合計 70,778 70,499
特別損失合計 109,061 83,608
税金等調整前当期純利益 233,899 304,377
法人税等合計 124,308 127,715
当期純利益 108,737 175,384



<損益計算書=PL>
運輸事業と、駅スペース活用事業、ショッピング・オフィス事業、
その他事業(カード、鉄道車両製造、鉄道コンサル、広告代理店、
アジア海外鉄道コンサルティングなど)の4カテゴリありますが、
各事業全体が増収増益。前期震災影響による減収の反動もあるようです。
利益率はほぼ変わらないので増収分そのまま増益になっていますが、
経常利益率以下は支払利息の減少や災害関連受取保険金により
利益率が上昇しています。

支払利息の減少理由は鉄道施設購入長期未払金が
減少したこと。鉄道施設購入長期未払金とは
新幹線鉄道保有機構から新幹線等資産と同時に引き受けた、
それに係る債務のことで、7940億円が6670億円に減少しました。
これ、利率がなんと5%超であるそう。
現在1%~2%台で借りられるであろうから、
その倍以上の金利負担を強いられています。
借入金も社債も増加していますが、
うまく低利の社債や借入にシフトしていると見れ、財務体質改善。

東北・SKIなどイベントによる効果が出ており運送収入増。
これからは景気回復による個人の旅行増・円安による国内旅行回帰・
海外からの旅行者誘致などが追い風となりそう。
特に使命感に基づいて、是非海外旅行者の誘致に
力を注いで頂きたいのが個人的私情。
こうした高障壁で守られた事業活動・
公との結びつきが強い企業だからこそ、
大局観を持って国と企業のwin-winを探ってくれたらな。

ほか、PLに反映されにも関わらず
山手線の駅にホームドアを設置するなど、
安全を追及する姿勢は
使命を果たすための投資といえ好感です。



<貸借対照表=BS>
流動比率(1年以内に現金化する資産と1年以内に払う負債の割合)
は50%台、当座比率(即時支払性の高い現金・売掛金・有価証券と
1年以内に払う負債の割合)は30%台と非常に低く、
パッと見は問題がありそうです。
ただ、鉄道業という業態上、膨大な資金調達による
投資がかさむ事業であり、都度その返済に追われること、
かつ事業は好調で収支のタイミングのみが
問題となるだけなので、
万が一の時も財務部がつなぎ資金で
容易に回していくのでしょう。

短期貸付金が500億減少、これはCP等短期資金取引。
逆に有価証券が800億円増、譲渡性預金。
余剰金を短期資金運用している模様。
これらを見るとやはりキャッシュマネジメントには
余裕がありそうですね。

自己株式消却230億円。株主への還元姿勢の指標を、
配当性向(当期純利益のうち配当として支払われる割合)30%から、
総還元性向(配当+自己株取得が当期純利益に占める割合)33%へとシフト。
配当のみならず自己株を買い、それを消却することで
株主が保有する株式全体の価値を上昇させようということ。

投資有価証券が400億円増えています。
三大都市銀行を始め保険会社等金融会社、線路保守の東鉄工業、オリエンタルランド、
日本航空、三菱重工、不動産開発の三菱地所・三井不動産などの株を取得。
資金繰りや損害保険といった守りの為の関係強化と、
舞浜、東京駅丸の内開発や、その他今後の不動産開発のための
連携強化といった攻めの姿勢が共存しているように見えます。
トータルでみると金融機関の資金調達力をバックに
不動産開発に力を入れていきそうな感じですね。


<キャッシュフロー計算書=CF>
キャッシュフローは営業収入が9年連続で4000億円を超え、
フリーキャッシュフロー(営業収入から投資支出を引いたもの)は
10年以上プラス。継続的で十分なキャッシュインが見込めます。

事業特性として投資が嵩み、今期は営業CFの約8割を投資CFに回しています。
そのうち有形固定資産の取得が2年連続で4000億円を超えていまする。
そのため減価償却費が多く、金融債務も多くなります。
設備投資は投資時に多額のキャッシュアウトがありますが、
それ以降は減価償却費として費用化し節税効果を持ち、
営業収入にプラスに働きます。

返済による財務CFマイナスがあるものの、
キャッシュフローは債務返済後でもプラスであり、
十分な営業収入があり、かつ余裕のある返済をしていることが見て取れますね。



<まとめ>
事業は好調で増収増益、かつキャッシュフローも
設備投資・金銭債務返済後も十分なプラスになっていて
順調です。旅行による移動需要や消費増など
事業に追い風も吹いてきそうですね。
財務体質は数字上良くないですが、
資金調達の容易性は高く、問題視することはなさそうであることが
資金運用から見て取れます。
金融機関の株も買い増して関係構築の姿勢も継続。
高利の鉄道施設購入長期未払金による利息負担も
減少してきています。相手があることなので
容易でないかもしれませんが、低利の債務への借り換えができれば
より財務体質は改善する余地があります。
より安全な輸送を目指す運輸業のほかに、
新しい価値の提供として、
沿線の駅・不動産の投資なども活発になると推測します。
本文では触れていませんが海外投資も積極姿勢を見せていますので
鉄道運輸の事業以外に攻めていく時期でしょうか。
その投資・方向性に注視です。



曰はく、
「数字は過去の、一定のルールにより出された表面にすぎない。
未来、環境、感情を見よ。」