ここは中国伝来の収蔵品が、70万点近く、これでもかと、集められています。
国民党軍と一緒に渡ってきたものが、60万点、
その後に増えたものが10万点あまりだそうです。
で、僕は面白い発見をしました。
古代なら兎も角、清朝だから江戸時代と同時期のはずですか、
その程度の比較的近い時代のものであっても、
何処の誰が、どの様な方法で作ったかが分からないものが多いのです。
で、典型的なのが、これ。
象牙でつくられた、立体的な彫刻なんですが、
「誰が、どうやって作ったのかは分からないけれど、
親子孫3代くらいかけて、精魂かけて作ったのでしょう。」
とのことでした。
そういう視点で見てみると、日本のそれと違い、
作者、及び製造技法に関する言及がほとんどありません。
そもそも、そんなことは気にしていない感じです。
多分、中国人にとっては、
きっと「それを作らせたのが誰か?それを持っているのが誰か?」
の方が大事なのでは無いでしょうか?
だって、それをさせる力を持つことこそが、権力の象徴、
かつまた、
それを持つ力を持つことが、正当性の証だから。
立派なのは、それを作った人では無く、持っている人なのです。
とするならば、故宮国立博物院自身が、
「我々こそが、中国の正当性を持った後継者である。
(何となれば、中国伝来の宝物を所有するのは我々だから)」
を強烈に主張する中華民国の施設になるわけですね。
ここの収蔵物の収集、保存にかける情熱は尋常ではないようで、
入場料収入では全然賄えないお金をかけてやっているそうです。
政治家、官僚の地位が高くて、職人の地位が低いことは、
中国、朝鮮等儒教文化圏の特徴とされますけど、
これも、その現れなんだろうと思いました。
土地を失っても、正当な後継者は我々である。
そういう主張が、ビンビンと伝わってきました。
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