時流に乗るな。
多数派に巻き込まれたら脱皮して
必ず少数派になれ。
(建築家;村野藤吾)
医者にしろ歯医者にしろ、
研修医を終えるとどの方向に行くか、
その選択を迫られる時期がやってきます。
大学病院で研修を終えてから
そのまま大学病院の大学院に残るか、
それとも市民病院のようなところに勤めるか、
街の開業医に就職するか。
その選択は人それぞれで、
その選択の裏には、人それぞれの考え方があります。
そんな、自分の進路を決めるとき、
僕が大切にしていた基準。それは、
「他の人と同じようなことはしない」
というものでした。
歯科医院の数はいまやコンビニよりも多いと言われている時代。
普通に治療の技術を磨いているだけでは生き残っていくことは難しい…
ならどうすればいいのか。
どうすれば他の人たちと差をつけることができるのか。
他の人と違う立ち位置をとることができるのか。
そこにフォーカスして考えるようにしたんですね。
いまは少子高齢化の時代。
そこで言われていたのは、
高齢者向けの往診や入れ歯を作る技術の時代がくる。
子供の数は少なくなっているから儲からない。
というものでした。
その話を聞いて、僕は、
子供向けの治療ができるようになろうと決めたのです。
基本的に大衆は間違いますから、
高齢者向けの技術が本当にくるのか?
とまず疑問に思ったのです。
たしかに、高齢者が多くなれば入れ歯の需要は多くなるはず。
でも子供が少なくなれば、それだけ一人の子供に
費やす治療費や時間も大きくなるはずだと考えたのです。
さらに現代の子供たちは歯並びがガタガタな子が多い。
なら、子供の治療と歯並びの治療が両方できればいいんじゃないかと。
そう考え、進路を決め、勉強を進めていきました。
結果は、大正解だったと思います。
子供さんの治療には、ご両親とのコミュニケーションも必要になります。
そのため、治療技術だけでなく、コミュニケーション能力も上がる。
しかも、子供やご両親とお話をすることで、
いま何が流行っているのか、お母さんたちは何に悩んでいるのか、
お父さんはどんなことを考えているのか、子供は何で遊んでいるのか、
など、医院にこもっているだけでは入ってこないような情報を得ることもでき、
それに合わせて立ち位置を修正することが可能です。
何より、子供さんの歯並びがきれいになって、
その子が美人さんやイケメンになっていく。
その変化の過程に居合わせることができるのは、
本当に楽しく、幸せなことだと感じます。
もちろん、大変なことも多いです。
他の人には理解してもらえないような部分も多いので、
孤立を感じるようなこともあります。
おとなしく治療を受けてくれる大人の方を相手にしている方が
どれほど楽か。そう考えることも1度や2度ではありませn。
それでも、その大変さをおいても、
得られる充実感は計り知れないものがあります。
「迷ったら少数派を選べ」
「他の人が選ばないような選択肢を選べ」
これは今でも僕の行動原理になっています。
人は自信がないとき、周りの意見に左右されてしまいがちです。
それでも自分の人生は自分で切り拓くもの。
あまのじゃくな感じもしますが、
人生の選択に悩んだら、少数派を選んでみるのも、
一つの方法だと思います。