パオロ スカヴィーノ:バローロ 1984 その2 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol.100

Paolo Scavino-Barolo 1984 その2

 

前回はクリュの紹介。今回は製法等を書きますが、製法内容は1995年当時の私のメモとなり、現行品とはかなり様相が違います。

 

Az.Agr.Paolo Scavino

設立年:1921、

オーナー:Lorenzo Scavino(初代)→Paolo Scavino(二代目)→Enrico Scavino(三代目)なお、実娘のEnrica&Elisaも家業を継ぐ為に就労済。

 

Barolo

生産初年度:不明(1921年の会社設立前後から生産されていたと思われる)、

年間生産本数:約4000本(1995)

使用ブドウ品種:Ne100%、自社畑からのブドウのみ、

畑名:前回書いた畑の複数混醸。

1984は天候不順の為、単一クリュBaroloを生産せず、全ての収穫ブドウをノーマルBaroloに使用した、

収穫方法:手摘み、

ファーマ容器:INOX・ロータリーファーメンター(RF)、

ファーマ温度;32~34℃、冷媒使用コイル式熱交換システム、

ファーマ&マセ日数:12~15日間、一日に10~15回RF使用、

マロ:実施しない、

熟成容器:スロヴェニアンオーク1700~7000l(樽齢:7~18年)、

フレンチオーク350~500l(樽齢:2~7年)、

熟成期間:24ヵ月間樽熟、6ヵ月間INOX、

 

※醸造&熟成に関して様々な方法を研究中で、生産年によって刻々と変化している(1995年の情報)

※※現行Baroloは7つのクリュの収穫ブドウから生産されるが、どのクリュが主となるか不明。クリュ毎にファーマ&マセ。容器はINOX、温度調整、天然酵母、マセ60日間、マロはオーク樽内にて。酒石酸の安定化は、低温状態で冬季に自然発生。クリュ毎に熟成。フレンチオークで10ヵ月熟成、更に3000~5000l樽で12ヵ月熟成。その後にクリュを混ぜ合わせINOXで12ヵ月、瓶詰後10カ月の瓶熟。新樽率5~10%、

 

Scavinoは本当に研究熱心です。昔も今もクリュの分析と製法の工夫に余念がありません。クリュの研究の結果、Piemonteでも屈指の多種クリュの所有者となり、二大看板Barolo”Rocche di Castiglione” “Bric del Fiasc”の他にも単一クリュBaroloを産し、予てから複雑な味構成で人気を博したBaroloノーマルは元より、Barolo“Carobric”(Ca=Cannubi, Ro=Rocche di Castiglione, Bric=Bric del Fiasc)でも成功します。

 

次回はScavinoが導入したと言われているロータリーファーメンター(RF)とバリックを少し解説します。
Barolo CAROBRIC, Bric del Fiasc   バローロ カロブリック ブリック デル フィアスク

Gambero Rosso Vini d'Italia1989  ガンベロロッソ ヴィーニィディイタリア1989 解説


Paolo Scavino パオロ・スカヴィーノ ポートフォリオ

Barolo 現行バローロ テクニカルシート 

Paolo Scavino  パオロ・スカヴィーノ カンティーナ場所