特別編 逸品:バローネ リカソーリ:トリチェッラ 1981、1982 その1 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

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特別編;知られざる逸品 Barone Ricasoli-Torricella 1982 その1

 

今は幻となったイタリアワインの逸品をご紹介します。伝説・幻のToscanaの白、Torricella。

同名の白ワインを現在のBarone Ricasoliが生産していますが、これは全くの別物です。

 

Torricella

生産初年度:1800年代(文書無し)、

使用ブドウ:Malvasia、Trebbiano Toscano、

畑名:Vigna Torricella (località Torricella, Nebbiano, San Felice, Gaiole in Chianti, Siena,Toscana)、

畑展開方角:南西~南~南東だれ、

畑海抜:320~360m、

収穫方法:手摘み、完熟まで収穫しない、収穫後は日陰にて弱めのアパッシメント、

圧搾:非常に弱め、

ファーマ容器:INOX、温度調整、

ファーマ温度:18~19℃、スローファーマテーション、残糖させず完全発酵させる、

熟成容器:オーク大樽2500l、

熟成期間:30か月、その後6か月瓶熟、

アルコール度数:13.15%、

総酸度:5.2%、

エクストラクト:26.8g/l、

瓶熟可能期間:10年以上、

生産本数:6000本(1982)

 

懐かしいボルドー瓶の黄エティケッタ。現存資料はほとんど無く、32代目の現当主Francesco Ricasoliでさえもあまり知らないという古のカルト白ワインです。ChiantiのオリジンともいえるCastello di Brolioですが、一度は没落し他企業に買われ、量産品を生産・販売するカンティーナとなっていました。そのポートフォリオの中で唯一輝いていたワインは、実は赤でなくこの白だったのです。この白、実は当初は全く勘違いして認識していました。つまり、Castello di BrolioがChiantiに使用しなかった白の余剰ブドウを使い、Chianti熟成用の樽で造った1960年代頃からのワインと思い込んでいましたが、さにあらず。実は1800年代から造られていた白ワインとの事。但し、歴史的な背景はこれ以上分からず。醸造法なども上記情報しか把握していません。

 

次回でこの幻の白をまとめます。

Torricella   Barone Ricasoli トリチェッラ バローネ・リカソーリ

Torricella   Barone Ricasoli トリチェッラ バローネ・リカソーリ 1950 

Torricella   Barone Ricasoli トリチェッラ バローネ・リカソーリ 1955


Torricella   Barone Ricasoli トリチェッラ バローネ・リカソーリ 1981

Torricella   Barone Ricasoli トリチェッラ バローネ・リカソーリ 1982

Torricella   Barone Ricasoli トリチェッラ バローネ・リカソーリ 1983