コロンバイオ ディ モントソーリ(バリッチ):ブルネッロ ディ モンタルチーノ 1983 その2 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol.77

Colombaio di Montosoli (Baricci)-Brunello di Montalcino 1983 その2

 

Nello Baricci。

彼のワインを語る時に欠かせない事がMontosoliです。ここはBrunello地区の北部に位置し(Montosoli地形図参照)、ブドウの熟成は遅く、すっきりとエレガントなタイプに仕上がります。

具体的に言えば、他の地区のBrunelloに比べ、まず酸味が際立ち、次にアルコール度数が低い事に気付き、更にタンニンが穏やかできめ細かい事が分かるでしょう。

アタックが激しくのしかかってくるタイプでは無く、あくまでも嫋やか。ニュアンス重視の生産者に好まれ、特に多くのBrunelloの土壌・気候の研究者は(当然求めるスタイルの好みにもよりますが)南部や西部の畑よりも、このMontosoliの条件を好んでいます。CaparzoのLa Casa、Altesino、Val di Cavaが代表的でしょうが、中でもBaricciの場所は古くからベストポジションとして有名でした。

 

Vini d’Italiaの20周年号出版まではこの一回しかTreBicchieriを受賞しません。確かに一時期調子を落とし、非常に心配していましたが、調子が良い時の彼の作品は、いつも伝統Brunelloの手本でした。

自分の一本として1985を載せました。1985は確かにどのBrunelloを飲んでも美味いのですが、Baricciはなかなか入手出来なかった。1993年にSienaを訪れた時、街中を探し回ったあげく、たまたま休憩で立ち寄ったNanniniで発見し、即購入。

それまで飲んできたどのタイプのBrunelloとも違う柔らかさに加え、ヴィンテージ1985がもたらした程良い肉付き、更に購入した年までの熟成が相乗効果を生み、陶然となった事を覚えています。

 

高齢になった彼の仕事を支えたのは二人の若い孫達でした。今は二人の孫=彼の娘Graziellaの息子達FedericoとFrancesco兄弟が跡を継ぎます。彼らのHP内でも垣間見える様に、生前のNelloと共に働く事の出来た兄弟(Federico=エノロゴ、Francesco=畑担当)は祖父の教えを忠実に守り、畑の手入れ、醸造等を丁寧に行った結果、スランプから当然の如く復活し、瞬く間にTreBicchieriを連続受賞します。

 

但し、相変わらず種類も生産本数も少ない。Brunello di Montalcino、Rosso di Montalcino、たまにRiserva、以上。GrappaとOlio d’Olivaは残念ながら見た事がありません。本当に生産しているのかと疑うほど。

祖父の教え、他事は一切せず、Brunello近辺のビジネスのみ。潔い。

まだまだ若い彼らの事、祖父の教えを守りながらも、彼らなりに時流への対応を行うでしょう。

今後も応援し続けたいカンティーナの一つです。

 

この項 了。

 

Brunello di Montalcino 1971 Baricci ブルネッロ ディ モンタルチーノ  バリッチ

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