Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol.67
特別編;知られざる逸品 その2
La Chiesa di Santa Restituta-Chiesa S.Restituta loco detto Piano de Cerri 1989 その2
私はToscanaの赤、特にサンジョヴェーゼ(以下SV)+カベルネソーヴィニョン(以下CS)又はカベルネフラン(以下CF)という構成が大好きです。この時代、銘品と称されているSv&CSワインが多く存在していましが、私がその最高峰の一つとして注目していたのがこの逸品でした。ベースとなるSvは正真正銘のBrunello、しかもBrunello最良の場所の一つSanta Restituta産ですよ。
そんな高貴なSVにCSを混ぜ、バリックでのガチ熟成という贅沢な仕上がり。生産初年度で1500本のみリリースとなれば私のマニアック心を満たす要件は全て揃っており、以前からRoberto Belliniの造るBrunello、Brunello Riservaも含め大ファンでもあった私は、このChiesaのリリースに大喜びでした。味はまさしく私の理想。Svの余りある力強さをCSが脇役として補完するという過剰加減。バリックはリッチトスカーナを演出し、アルコール度数は13.5位あるのではと思わせる強さ。Bruno di Roccaからこちらに乗り換えようかと思う程に夢中となりましたが、まさか1989、1990の2年間のみの生産、後に生産中止となるとは。
今回はChiesa以外にもBrunello Riserva1988を載せました。これは醸造・熟成はBellini、販売はGaja Distribuzione。Gajaの別会社で、世界の超一流ワインを輸出入している会社が販売と輸出を担当しています。因みにDRCをイタリアに輸入・紹介したのはGajaです。
Gajaがこの蔵に惚れ込み買収するのは1994年。このBrunello Ris.1988の中身はBelliniの手による物となりますが、本当に見事です。私個人の歴代Brunello五傑に入る出来。Gajaが夢中になり、買収を決意するのも無理ないでしょう。GajaはBelliniのBrunelloの他、このChiesa(Sv+CS)のスタイルにも惚れ込み、買収後にはPromis/Pieve di Santa Restitutaと名前を変え、このコンセプトを若干変更し1992からリリースを開始(Sv90,CS10)します。更に、このスタイル(SV+CS)は現在のPromis/Ca’Marcandaにまで名前を引き継ぎつつ活用します。
このChiesaと今のPromisでは生産場所もブドウ品種構成も異なりますが、実はCa’Marcandaのワイン構成や考え方、更にスタイルの源泉とも言うべきToscanaにおけるGajaの理想の姿は、実はここにあったのです。なお、BelliniはChiesaカンティーナをGajaに売却後、新たにPodere BrizioとしてBrunello造りを行いますが、2013年にはAlejandro Bulgheroni Family Vineyards (ABFV)グループに売却し、完全に引退します(Podere Brizioは現在も存続し、ABFVグループ内のDievole等と同系列の子会社を構成しています)。
諸兄の中にも未だ旧Santa Restitutaファンの方がいらっしゃる事を嬉しく思います。もちろんGajaの現行品PieveもCa’Marcandaも、更に現行Podere Brizioも素晴らしい。でも、ひと昔前のワインの僅か2年の活躍でも、ここ遠い日本にファンがおり、更にはLa Chiesa時代の古いBrunelloにも熱狂的なファンがいますよ、と書き記しておきます。
この項 了。
Brunello di Montalcino Riserva 1988 Pieve Santa Restituta di Roberto Bellni Gaja Distribuzione
Pieve Santa Restituta マップ
珍しい Pieve Santa Restituta 時代の Promis