フォントーディ:フラッチアネッロ デッラ ピエーヴェ 1985 その2 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol.59

Fontodi-Flaccianello della Pieve 1985 その2

 

今回はFlaccianelloの続きです。

奇跡のヴィンテージ、1985年のご説明をしてこの項を終わりにしましょう。

 

トスカーナの赤をお好きな方なら良く良くご存知のヴィンテージ、1985。

私が大好きなBruno di RoccaもPercarloもSassicaiaも未だに史上最高のヴィンテージは1985だと確信しており、Flaccianelloに関しても1985を史上最高と挙げる方が多くいらっしゃいます。

何故か?一番の理由は天候です。勿論70年代からの技術的革新と皆の試行錯誤がこの時期に花開いたという事実は当然ですが、それ以上に、1985年の天候が特にトスカーナの赤を成すサンジョヴェーゼとカベルネの生育にハマったという意味合いが強い。

 

イタリアの気象情報はこれで調べています。

現在:https://www.ilmeteo.it/

過去(アーカイブ):https://www.ilmeteo.it/portale/archivio-meteo

シエナ19851月:https://www.ilmeteo.it/portale/archivio-meteo/Siena/1985/Gennaio

 

多くのイタリア人にとって1985は『極寒・大雪と酷暑の年』なのです。イタリア全土に大雪を齎した1984年の年末から1985年1月の大寒波。トスカーナ主要都市の全てで未だに破られない最低気温を記録しました。そして逆に1985の夏は非常に暑かった。Empoliでは1985年1月―23.5℃、同年8月43℃という、何れも未だに破られないEmpoli観測史上最低&最高気温を記録しています(他1983の夏がトスカーナで最高気温記録多数)。

一年間で寒暖差が60℃という極端さはシチリアのエトナと同一状況。急激な勾配の気温変化は、気候条件に素直に反応するカベルネは当然の事、気難しく晩熟のサンジョヴェーゼをも育てあげたのですね。冬の大雪で地中に蓄えられた水分養分は夏の猛暑に役立ち、酷暑の中、ぶどうはそれを求めて根を地中に巡らせたのだと推察します。自然とは偉大ですね。

但し、余りに出来が良すぎた為、Sv100%でガチな造りを得意とする生産者は1989~1990のVini d’Italia試飲時期になっても固さが取れず、意外にも1985の赤でTreBicchieri受賞ワインは少ないのです。このワインの他、ConcertoとAmaのBellavista、他は翌年に数本受賞するに留まります。このFlaccianelloはいつもながらの柔らかさを保ちつつ、抜群の出来でした。

私はワイン関連の文章を書く時、地層条件を論する事は多いのですが、気象・天候に関しては年と地域により当たりはずれが多く、詳しく論する事は避けています。が、1985は別です。この年の極端な天候条件はトスカーナの生産者と私にとって、大きな恩恵を齎した、今でも特別な存在なのです。何せBruno di Rocca1985を飲んで、転職を決意し、消防官から飲食の道へ身を投じる決意をしたのですから。

 

『君は、刻の涙を見る』。

1985年の日本では、こんな言葉も流行りましたね。

私もヴィンテージ1985の中に『刻の涙を見る』事が出来たのかな。

 

この項 Z。

機動戦士Zガンダム 君は刻の涙を見る Z ガンダム マークII Mark II

 

フラッチアネッロ 勢ぞろい フォントーディ 

 

フォントーディ カンティーナ内 セラー内 風景 バリック 

 

フラッチアネッロ 現行 テクニカルシート

 

1985年 1月 イタリア ミラノ 大雪 写真

 

1985年 1月 フィレンツェ 大雪 氷 写真