アンティノリ:ティニャネッロ 1982 その1 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1988 Gambero Rosso Vol. 45

Antinori-Tignanello 1982 その1

 

皆さん、最近飲んでますか?ご無沙汰ですか?Tignanello。

こう聞かれると、ドキッとしますか?

 

私がワインを好きになった時、既にTignanelloはスターでした。実家の近所の酒屋ショーケース内に誇らしげに飾ってあったTignanello85。紋章と日の丸?更に得体の知れないラテン語めいたものが書いてあります。講談社の『世界の名酒事典』で調べるも良く解らず、ドキドキしながら思い切って買い、やはり良く解らぬまま飲んだ事を覚えています。味?『さすが本場イタリアの赤(当時は何飲んでもこの感想だった)』という奴。

以来、私は〇〇の一つ覚えでTignanelloばっかり。1989年にBruno di Rocca(Vol.19. 8/8)と出会うきっかけはCibreoでTignanelloを注文したから。ソムリエさんに『これもお勧め、試してね』と出されたのがBruno di Rocca。Tignanelloは私とBruno di Roccaを引き合わせた存在にもなり、イタリアワインの原点です。

 

紋章&日の丸の横、得体の知れないラテン語が実は伊語で書かれた貴重な収穫情報だったと知ったのはかなり後。びっしり書かれていますので、Tignanelloのオリジンを探るべく生産初年度の1971年を訳してみます。

“このワインは古のキアンティ畑『ティニャネッロ』に植えられた76682本の葡萄樹から厳選されたサンジョヴェーゼとカナイオーロ、マルヴァジアから出来ている。ティニャネッロ畑は海抜390mに位置し、丘陵タイプ・石灰岩・ガレストロ土壌で日当たりが良い。サンタクリスティーナ醸造所で品種毎に醸造、複数の小さいオークバリックで熟成され、1974年2月12日に瓶詰めされた。1971年の生産量は95443L、アルコール度12.5。ボトリングは7.2dlで成され、このボトルのシリアルナンバーは74938”。

以上の文言がイタリア人好みの詩的な文言で書かれています。75年には内容が整理・簡便化され、バックラベルが付き、78年以降文言が固定され、ほぼ現在まで続きます。

 

ラベル情報を極力反映し、手元のメモと公式HPと併せ、Tignanelloの変遷をまとめます。

1970:Chianti Classico Riserva Villa Antinori vigna del podere “Tignanello”として生産。Sv75, Can20, Tre+Malv5

1971:ワイン名称をTignanelloに変更。VdTとして生産開始。Sv75, Can20, Tre+Malv5(132,500bt)

1972~74:生産せず(理由は明日)。

1975:Sv80, Can20(31,207bt, ?Mg, ?DMg)※この年のみ少量生産(理由は明日)

1976;生産せず(理由は明日)。

1977:Sv90, CS+CF10(116,334bt, 1,500Mg, 200DMg)

1978:Sv88, CS+CF12(149,850bt)

1979:Sv85, CS+CF15(187,000bt)

1980:Sv80, CS+CF20(224,500bt, 3,380Mg, 550DMg)

1981:Sv80, CS+CF20(81以降は生産量記載せず)

1982:Sv80, CS10~15, CF5~10。以降%は左記に固定。Vini d’Italia1988でTreBicchieri。

1983:TreBicchieri。

1984:生産せず。

1985:TreBicchieri。

 

実はTignanelloのオリジンはChianti Classico.Risで、TignanelloはChiantiの進化版なのです。

その生みの親は、実はTachisだけではなく、フランスのエミール・ペイノーも加わっています。様々な点でTignanello(とSolaia)は他の所謂『スーパータスカン』とは違い、異質の存在だと思う理由がこれですね。

 

次回もう少しTignanelloを探ります。