滅びた肉体 残された気持ち
”私は自分の過ちを認めています。
ここでずっと彼女の魂と共にあるのはそのためです。
ミザリーは魂だけになっても、ここから離れられないのです。なぜなら、彼女が崩れかけたトンネルの天井を死してもなお支え続けているから。
誰か助けてもらえないか・・・・・・・”
ミザリーの魂はなんの反応もしない。
ローレンスもまた天に昇れない魂のひとつだった。
体は1,500年前に自ら作り出したダイナマイトで敵兵を道連れに吹き飛んだ。肉一片すら残らなかったが、魂はミザリーの死んだ海底トンネルに宿っている。
気配で、エヴァンの魂が誰かに発見されたことはわかった。神の許へ行けたのかまでは感じとれないが。
仕方ない、と死んでも思うことがある。
エヴァン、ミザリー。
この二人に呪われても仕方ない。
かつて仕えていた主(あるじ)ロバートは、アダムという名でリースロット大陸の統治者として転生したことは知っていた。
だからなおさら天には昇れない。
アダムという人物に転生しようと、主(あるじ)に仕え、守ることが使命である限り、ローレンスは永遠に神の御許へは行けない。
また、ミザリーの魂がそこに留まることを望んでいるのならば、やはり動けない。
そして今、ミザリーの”膂力”を求めてひとりの女がトンネルに入った。
ローレンスには格闘の心得がない。
それでも守りたいと思う。
それが自分の愛の形だ。
笑われようが。
すでに肉体はこの世になかろうが。
関係ない。
死人を利用するな。
それだけは言ってやりたい。
女はすぐそこまで来ている。
守りきれたら、一言でいい。ミザリーの声を聴きたい。
サナの挑戦状
「悪いね、わたしもカーラも捕まらないわ」
”・・・・・・サナ・・・・”
「理知的で高飛車で、それでいて”人の心”をもっていったのはカーラだけど、攻撃に集中する役割を担ったのはわたし」
”・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・”
「サナであるわたしと、分身であるカーラが一体化すれば最強だと思わない? だからねカーラはもういないのよ。サナが吸収した」
”捜しても無駄だといいたいのね”
「どうとでも。あとね、わたしなんだか島にいかなくちゃならないみたいね。知ってる? 海底トンネルには1,500年前にそこで死んだ女の子の魂がまだ残ってるの」
”ミザリーね”
「そう。あの子わたしたちに似てるわね。魂が天に昇れないなら、いっそ仲間にしてしまおうか・・・・あの膂力はぜひ欲しいわ」
”何をする気なの?”
「魔女さん。あんたの思うようにはさせないのよ。わたしたちがどこに行くかなんてわかんないの」
”挑発しているの?”
「わたしを消そうとしたって無駄よ。大事な駒がなくなれば、あなただってこの世界を存在させる意味がない。そしてカーラはわたしに同意してわたしの一部になった。サムソンへの命令をさっさと変えたほうがいいわよ。平和ボケする前にさ」
「あの女の子が持ってる剣。いいわね、あれも欲しいわ。倒してでも奪ってみようか?」



