中1になった少年は、この月に入って夏休みを
迎えようとしている。
先月の中間テストの全科目高得点、
好成績の結果を受けて。
(1学年130人中、6位にランキング。主要五教科の総合500点満点中474点)
先週終わった期末テストの結果が昨日、わかった。
持ち帰っていた答案用紙を「ウソだろ~」と
驚きながら確認し、五教科の平均を取ると96点だった。
一体、どうしたことだ。
中学生になった彼に、一体何が起こっているのだ。
父も母も、中高の中間、期末はクラス平均のすれすれを
行き来して、夏休み中に補習という屈辱だけを回避できればよい…
という程度のレベルだったのに。
安直ではあるが、遺伝的にみてどっちに似たのだろう、という
おこがましい問いよりも、
勉強ができる、学習に意欲的である、という父母とも
に似ても似つかない状況をどう理解すればいいのだろう、
という問いに変える方がよかろう。
いずれにせよ、出来の悪い親としては釈然としない、
気持ちの悪さが胸を覆った。
特別に好きな科目があるわけでもなく、
将来の夢はサラリーマンなどとひょうひょうと言えるこの子は、
なぜそれほどに、勉強に打ち込むことができるのか。
学活としてのクラブには土·日の通常練習、
通常日の早朝練習が
課せられるハードなソフトテニス部にいそしみ、
数学と英語の通信講座、それに10年目に入っても
やめようとしない毎週月曜19時からのピアノのお稽古。
エリーゼのために、をほぼ完遂させ
これまたさりげなく弾きこなす忌々しさ。
誰に似たんだ、この模範少年ぶり。
両親ともにいずれも思い当たらぬ、我が子の完成ぶりには
ほとほと困惑するばかりだ。
来年あたりに、壁にぶち当たって悪童に転落するという
オチ、いや事故もあるかもしれない…
というようなことを言って、からかうとこれまた冷静に
そこが、お父さんとは違うとこなのよ、と返される。
かわいくないなあ、この野郎(と腹に据え置いて)
これは、トンビがタカを生んだ、ということにすれば
父母ともに腑に落ちる、ということで納得するようにした。
勉強机で開いた学習資料に、ひたむきに向かっている姿に
違和感を覚えつつも、僕たちは顔を見合わせていた。
勉強?好きなわけない…けど、しないと学力が上がらないし、
テストで良い点数取れないと腹立つし。
誰に?
自分に決まってるやん…もうええし、邪魔せんといて。
しかし、こんな生意気な12歳に育てた覚えはないのだけど。
母親も、首をかしげていた。
トンビがタカを生む、という実感をしてみて初めてわかったが、
これは笑うに笑えない、妙に不気味な子に対する違和感、
嘘のような事実なのだ。
あと2年もすると、身長も追い越され、
腕相撲も負けることになろう。
困ったものだ。
親バカもほどほどに、この辺で失礼いたします。
