菊里高等学校還暦記念大同窓会開催 一次会と二次会の間 | 太閤クリニック

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TI先生の様子がおかしいと幹事団の一員で私と小中高一緒のMちゃんから聞いた。

「聡くん なんかTIセンセの様子がおかしいの 診てあげて」

俺「先生どうかされました?」

TI先生「今のこの場所にいるのかが現実の世界のものとは思えないんです。」

俺「先生失礼ですが、今日は何月何日かわかりますか?」

TI先生「わかりません」

俺「年号はわかりますか?」

TI先生「… 昭和かしら?平成かしら?」

俺「今日は令和6年3月30日です。ここは名古屋マリオットホテルのアソシアの17階です。

  我々は昭和57年の菊里高等学校の卒業生です。我々の還暦同窓会です。」

TI先生「こちらの世界と向こうの世界の区別がつかないの…」

俺「先ほど先生は閉幕の挨拶で詩を朗読されて、ガイアのシンフォニーの話を頂きました。」

TI先生「朗読したかしら?ガイアの話はしなかったわ」

うーむ 詩の朗読の時から様子がおかしかった。閉会の辞で15分以上話すのも普通じゃない…

麻痺はない。スマホの操作はできる。自分の住所は言える。痙攣もない。

臨床的には一過性全健忘(TGA)(Transient global amnesia)の発作中を見ているに違いない。

俺「とにかく救急病院に行きましょう なんなら救急車呼びます」

TI先生「私現代医療は信頼していないの 病院には行かない!!」

家族でもない我々に緊急事態ではないのに救急車を固辞する先生を乗せるのも変だ。

幸い息子さんの名前はわかったのでTI先生のスマホで息子さんに電話をした。繋がらない。

やむなくメッセージだけ残して待った。かくして息子さんからの電話はあった。名古屋在住ですぐ来られるそうである。息子さんに事情を話して我々は二次会に行った。

後日談 31日飯田先生から電話があった。「TIセンセから電話があって『昨日私は変でした?全く覚えていないんだけど』お前ちょっと電話で様子を聞いてくれ」TI先生の電話番号を聞いてすぐかけた。応対は普通だった。記憶はクロークに荷物を預けてから息子さんが迎えに来るまで抜けている。やっぱりTGAだ!飯田先生とMちゃんに現状と経過を報告して事なきを得た。TGAなら

一過性全健忘とは頭の外傷を原因とせずに、一時的に新たな記憶ができなくなる状態をいう。 自分や家族の名前、職業、年齢などは覚えているが、今自分がどこにいて何をしているのかがわからなくなることが主な症状。再発は一生涯に一度起こることはなく、特別な治療はいりません。私のクリニックにも年に数人いらっしゃいます。翌日の電話では三重の自宅にいらして息子さんに昨夜の夕食を作ってあげたそうだ。あ〜Mちゃんが俺を呼んだこと、俺が神経外科医だったこと、息子さんがすぐ来られたことが良かった。