
西麻布の一軒家フレンチ、『キャーヴ・ド・ひらまつ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
メインダイニングの生花には百合を使うと決まっているのかと思っていたが、今夜はちょっと違った趣向。

アペリティフ、白ワインのあとは、赤ワインが出される。
ブルゴーニュ、ボジョレーのムーラン・ナ・ヴァン、キュヴェ・プレステージ、2009年。
ボジョレーとは思えない、濃く強いボディ。
カシスやダークチェリー、ブルーベリー、そしてココアやバニラのニュアンス。
彼女は「えぇ、ガメイなの」とちょっと不満そうだったが、一口飲んで「美味しい」との高評価。

造り手はボジョレーの帝王、ジョルジュ・デュブッフ。
ムーラン・ナ・ヴァンはボジョレーの中でも最上格のクリュ・デュ・ボジョレーの一つで、中でも最も力強く豊潤なワインである。
このキュヴェ・プレステージは良いぶどうが収穫された年にのみ生産されるワインで、2009年はジョルジュ・デュブッフが人生の中で最高の出来と評価するヴィンテージなのだ。
「初めて飲むけど、美味しいわね。次回も飲みたいわ」と彼女。
「ひらまつのセラーの2009年のキュヴェ・プレステージはこれが最後でもう無いんだって。ついでに言うと、君がこれを飲むのは三度目だよ」と私。

肉料理は、仔牛のムニエル、ヤマ山葵風味のジュ・ソース、長芋とビーツのバトネ。
仔牛がとろけるように柔らかく、美味い。

赤ワインがまだ残っているので、フロマージュのワゴンを出してもらう。
今夜のフロマージュの説明を聞き、まず彼女に選んでもらい、次に私が選ぶ。

お互い好みがわかっているので、どれを選ぶかはだいたいわかっている。
私が選んだのは、青カビはフルムダンベール、ウォッシュドはエポワース、それと名前を忘れたが、シェーブル。

赤ワインがグラスに残っていたのでフロマージュを頼んだが、フロマージュを食べていると更に赤ワインを飲みたくなる。
「このムーラン・ナ・ヴァン、ガメイでも本当に美味しいわね」と彼女もグラスを重ねている。

デセールは、オーストラリア産黒イチジクのミルフィーユ、黒ゴマのアイスクリーム。
フレンチ・レストランで食べるデセールは最高に美味い。

ディジェスティフは、ポルト。
ロゼスのポルト・トゥニー。
トゥニーは樽熟成させた、褐色のポルト。
甘く魅惑的で、適度に強い。
私はポルトが好きで、欧州ではよく飲むディジェスティフだが、彼女は酒精強化ワインが苦手。
彼女のグラスまで私が飲むことになるので、何時も最後のディジェスティフで私は出来上がってしまうのだ。

ロゼスはフランスで人気のポルト。
何故かと思って調べたら、ロゼスの生みの親はボルドーのワイン商だった。
創業は1855年。
ポルトガル北部のドウロ地区にあるワイナリー、”キンタ・ド・モンスル”で、ドウロ・ヴァレー産100%のぶどうを用い、ポルトを生産している。

今夜の料理もワインも美味しかった。
このお店は本当に寛いで食事をすることが出来る。
ソムリエの佐々木さんと支配人の坂本さんに見送られ、店をあとにする。
西麻布のフレンチ、『キャーヴ・ド・ひらまつ』で彼女と過ごす素敵な夜でした。