
インドネシア一日目の12月13日、わざわざ宿まで迎えに来てくれた彼らと共にTabananのライブ会場へ行き、彼らのステージを堪能、さらに12月17日は彼らのホームグラウンド・Twice barでライブを楽しむ事が出来た。
そしてドール誌上で彼らのインタビューを掲載。
さらに彼らを含めインドネシアから3バンド、フィリピンから3バンド、日本から1バンドが各2曲参加したNeo Rockabilly/PsychobillyのオムニバスCD『FAR EAST SLAPPERS』を2010年1月にリリース。

さてSUICIDAL SINATRAは先日、2014年9月27日の夜にバリ島のインドネシア国立・ウダヤナ大学の学生たちが主催したイベントに出演した。
複数のバンドが出演し、それまで順調に進行していたイベントにてSUICIDAL SINATRAが一曲目を演奏している最中に、ステージの前は突然、白煙に覆われた。
下記はインターネットで入手した情報をそのまま和訳したものです。
☆☆☆☆☆☆☆引用ここから☆☆☆☆☆☆☆
会場外へ逃げようとする観客たちはパニック状態に。
観客の1人は「突然の白煙に襲われて、目がピリピリ痛い」と語った。
数名は病院へ運ばれた。出血者や気絶して倒れた人も。
しかしSUICIDAL SINATRAがプレイしている最中に観客が暴動を起こしたりはしていなかった。
それにもかかわらずなぜ白煙が立ち込めたのか。
観客たちは洗眼の水を求めるいっぽう「白煙のせいで呼吸できなくなり死ぬかと思った」。
結果、SUICIDAL SINATRAのライブは中止となった。
http://bali.tribunnews.com/2014/09/28/diduga-ada-gas-air-mata-penonton-konser-alami-luka-luka
同じイベントに出演した、ある他の出演バンドのコメント 「イベント会場でたいへん残念なことがあった。あいつらは誰にも知られることなく4つの催涙ガスを(SUICIDAL SINATRAが演奏している)バックステージへ投げた。そして2つの催涙ガスが観客へ投げられた」「バカなあいつらのせいでイベントを中止せざるを得なかった」
☆☆☆☆☆☆☆引用ここまで☆☆☆☆☆☆☆
あいつら、とは誰の事であろうか。
ここで、バリ島の「ブノア湾埋め立て問題」について説明しなければならない。
バリ島のバドゥン半島東部から、北に延びる岬の周辺が「ブノア」地区。
このブノア湾を埋め立ててサーキット場、ゴルフコース、マリーナ、ホテル、商業施設などを建設し、総面積・540ヘクタールを埋め立てる開発計画に対し、現・バリ知事は2012年に秘密裏に承認を出した。
しかしながらこの承認が公になってから反対の声が高まり、知事はいったん白紙に戻すと宣言した。
が、また宣言を撤回。
その後、ウダヤナ大学が現地調査をおこなった結果「埋め立ては自然環境に悪影響を及ぼす」「地元漁民の生計を脅かす」等、埋め立ては悪影響しかないことを発表したが、現知事は開発計画を撤回せず。
SUICIDAL SINATRAの盟友でもあるバリを代表するPUNKバンド・SUPER MAN IS DEADのメンバーでありTwice barのオーナーでもある現地のバンドマン達のオピニオンリーダー的存在であるJRXは、ツイッターなどで公に「ブノア湾埋め立て反対」を訴え、埋め立て反対活動(ライブやイベント)を行っている。

イギリスのガーディアン紙の記事 “Battle for Bali: campaigners fight back against unchecked development”から以下を抜粋した。
「(SUPER MAN IS DEADのドラマーの)JRXは2年前から埋め立て反対派をバックアップして以来、何者かから度重なる脅迫を受けていると主張する。『俺や音楽仲間たちがやっていることは住民の闘いなんだ』と彼はインドネシアの報道機関コンパス紙に語る。『住民は力を持っている…ミュージシャンとして俺たちは抗議の声をあげた。でも暴力ではなく音楽で訴えているんだ』と」
埋め立て反対派たちは反対イベントやライブのほかに小規模なデモをおこなっており、最近では「埋め立て反対」の看板を立てる村もある。
イベントやデモをおこなうと必ず警察がやってくるが、警察は見ているだけで何もしない。
だんまりを決め込むマスコミの中でも、バリの地方紙・Bali Postのように何度か「埋め立て問題」を報道しているマスコミもあり、他にジャカルタの何紙かがこの問題を報道していた。
※興味のある方は、埋め立て反対派 The Forum Bali Tolak Reklamasi(For Bali) の公式ホームページを御覧ください。
埋め立て反対派のメンバーを含むSUICIDAL SINATRAが嫌がらせを受けたのは上記の理由から。
しかしながらSUICIDAL SINATRAはポリシーを曲げることなく、もちろん活動を止める事などなくトラブル以降も堂々と演奏活動を継続している。
SUICIDAL SINATRAが活動するバリそして世界中に、生活とリアルに結びついたシビアな状況と立ち向かわねばならない環境下に置かれながらも、ポーズではない真のレベルミュージックの存在価値を発揮し続けている者が存在している。
そこには日本の一部の商業PUNKのように、何かと戦っているポーズを売りにするためだけに「S.H.A.R.P.スキンヘッズ(Skin Heads Against Racial Prejudise=反人種差別スキンヘッズ)」を名乗ったりするお気楽な者は存在し得ない。
(この項おわり)

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<Track list>
1. RESCUE (インドネシア・ジョグジャカルタ) - Cengengesan
2. RESCUE (インドネシア・ジョグジャカルタ) - It's My Style
3. THE HYDRANT (インドネシア・バリ) - Bali Bandidos
4. THE HYDRANT (インドネシア・バリ) - Easy Come And Easy Go
5. SUICIDAL SINATRA (インドネシア・バリ) - Suicidal Sinatra
6. SUICIDAL SINATRA (インドネシア・バリ) - I'm A Soldier
7. PUSAKAL (フィリピン・マニラ) - Biglang Liko
8. PUSAKAL (フィリピン・マニラ) - Cherokee
9. COFFINRIDE (フィリピン・マニラ) - Struggling At My Graveyard
10. COFFINRIDE (フィリピン・マニラ) - Working Man's Burden
11. THE BEMBOL ROCKERS (フィリピン・マニラ) - Boogie Mo
12. THE BEMBOL ROCKERS (フィリピン・マニラ) - Grease Gun Bop
13. SPIDERZ (日本・大阪) - Wondering At Midnight
14. SPIDERZ (日本・大阪) - Fly Jungle
(品番:GTH-003、店頭価格:1600円+税)
上記CD他、BRONZE FIST RECORDSの作品は、アンダーグラウンド音楽シーンを支える下記の良心的なお店で入手可能です。
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MISERY(広島)
BASE(東京)
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