歌割とソロバージョン | 寒い季節は暖かくしなきゃね
CDジャーナルの3月号では「ハロプロ スッペシャ~ル」と題してBerryz工房の特集が組まれています。

このインタビューで、収録と歌割について、言及されています。
ハローの曲では、各種メロの中で、メンバーごとに歌割(ボーカルパート構成)があります。細かく2小節や4小節単位で歌い手が替わることもあれば、AメロやBメロの大半を一人のメンバーが歌うこともあります。メインと呼ばれ、Aメロの出だしやサビを中心的に歌う担当もいます。

レコーディングにおいて、その歌割ごとに(部分的に)録音しているのか、個々のメンバーがまずは全編通して歌い、それをミックス時に切り刻んで割振りとしていくのかは、ケースバイケースのように捉えていました。

昔のテレビ番組のドキュメンタリーでも、レコーディング時に部分パートしか歌ってないシーンが映し出されたこともあり、録音に先んじて歌割を決めて、必要な場所だけレコーディングする→それを組み上げ1曲にする、なんて捉え方をしている場合もありました。

最近の同様の番組でも、自分のパートのみ歌ってOKを出す(=収録を止める=全編を歌ってない)映像により、部分録りしている印象もありました。

ただ、近年のインタビューや談話などでは、メンバーが「CDができ上がってくるまで、自分の歌割がどこになるか分からない」という話もいくつも見受けます。つまり、どのメンバーもまずは1曲を通してレコーディングし、後から想定された歌割に準じて(あるいは録音を聞いて)エンジニアがミックスしていく。だから、録ってる時は全部歌うので、自分のどの部分が活かされるのか分からない、という話。

今回のCDジャーナルの記事では、しっかりとそこに言及しており、やはり1曲を通してレコーディングしていることが明言されていました。

それについて明確に感じたのは、先般リリースされた、Buono!の「初恋サイダー」のシングルV収録のソロバージョンです。このソロバージョンは、従来のそれと違い、映像だけでなく歌部分もソロバージョンとなっています。つまり、桃子バージョンは、桃子のソロ映像にプラスして、歌も全編桃子のソロボーカルのみで構成されている画期的なものです。

そのソロバージョンの特異さについて良く語られていた感想が、「凄い!映像だけなく、歌もわざわざソロで録ったのか!?」というモノ。ソロ映像は昔からありますが、歌までソロで収録されているものはありませんでしたから、このために用意したのであれば凄い!というもの。

ただ、ここまでの話の流れでおわかりのとおり、わざわざ用意したというより、「そもそもメンバーは、個々に全編ソロでレコーディングしていた」ということに落ち着くと思うんですよ。なので、桃子のソロ全編、雅のソロ全編、愛理のソロ全編は、録音時から存在していた(というか、そう録音した)と考えるのが妥当でしょう。

通常版の(3人割の)「初恋サイダー」と、個々のソロバージョンを良く聞き比べれば分かると思いますが、通常版のソロパート(歌割部位)と、ソロバージョンは、同じ場所ではほぼ同じ歌声に聞こえます。同じ歌手が同じように歌ってるんだから当たり前、と言われればそれまですが、そういう漠然とした話じゃなく、テイクとして同じかどうか(ひいては、そもそもソロ全編が存在したという言及)。

その検証のためにわざわざすべての音源を重ね合わせ、必要な部位をSolo/Muteしたりして聞き比べましたが、このソロバージョンをミックスして通常版が出来たと思えるほど、このソロバージョンがミックスの元音源なんじゃないかって感じでした。



とはいえ、ここまで書いてひっくり返すようですが、実際のレコーディングの場合、全般を通してOKとなるテイクはほとんど存在しません。通しで歌う努力はしつつも、何テイクか収録し、問題となる部分があれば、そこだけオンリーで録って、編集前提でOKを出すケースがほとんどでしょう。前述したTVドキュメンタリーで散見された「自分のパートのみ収録」も、こうした部分での収録効率化によるものでしょう。ですので、ソロバージョンで組み上げられた1曲と、通常版のパートが全く同じかどうかは、ミックスのエンジニアじゃない限り分からないことだと思います。

ただ、冒頭から書いているように、各メンバーが「まず通しで歌う」という事実に変わりないでしょうし、この「初恋サイダー」も同じような収録方法だったことが感じられる、証拠っぽい存在(テイク)じゃないか、というわけです。

このBuono!のソロバージョンの検証は、シングルVが出た直後にやったものですが、今回のCDジャーナルで歌割が話題となっていたこともあり、話題として引っ張り出してみました。