男はタバコをくゆらせながら、フェンスの外から公園を見ていた。

「今年もキレイに桜さいてるよ。おっちゃん・・・」

男の名はブロンコ後藤。
表の顔はシャーペンの芯販売業。裏の顔は便利屋だ



たくさんの花見客でにぎわう、第3ポーレチケ公園。
数年前まで、この公園には彼岸花と杉しかなかった。

全日本彼岸花連合の事務所が公園の隣にあり、住民達も
あたりまえのように彼岸花で花見をしていたのだ。


「ブロンコ。手伝ってくんないか?」

金色のツナギをきた、その男性は突然ブロンコ後藤の事務所を
訪れた。

「コロッケ屋の黄緑川さんじゃないすか。なんです?」

黄緑川は真剣な目でブロンコ後藤に言った。

「桜で花見がしたいんだよ!花見といえば桜なんだよ!」

ブロンコ後藤はタバコに火をつけて、黄緑川に言った。

「彼岸花連合と全面衝突ですよ?大丈夫ですか?」


黄緑川は、アタッシュケースを開いて、ブロンコ後藤に言った。

「原価10円、1個300円のコロッケで儲けた金だ。コレを全部払う。手伝ってくれ」

千円の束がぎっしり詰まったアタッシュケースを見て、ブロンコ後藤は言った。

「金じゃ無いよ。黄緑川さん。あんたの気迫に負けた。
報酬はこんだけで良いすよ」

アタッシュケースから、札束を20個くらい取り、ブロンコは微笑んだ。



その日から2人だけの戦いが始まった。

彼岸花連合との交渉は、やはり一筋縄ではいかず、首をなかなか縦に振らない。

交渉開始から2日たち、しびれを切らしたブロンコ後藤は言った。

「黄緑川さん、AGNSチャン作戦でいきましょう」

「AGNSちゃん?なんだそれは?」

「説明しましょう」

ブロンコ後藤は、後ろのホワイトボードを回転させ、白い面に大きくマジックで
オバQを書いた。微妙に上手かった。

「署名をあつめるんですよ。桜植えてほしーの!ていう署名を
民意の大多数が、求めれば奴らも営利団体である以上動かざるをえないはず。
時には起こせよムーブメントですよ!」

「なるほど・・・・」


感心する黄緑川に、ブロンコ後藤は続けて言った。


「目標は1万人。」


「え?そんなにもか?この町のメインストリートはわずか数百メートルなのにか」


タバコに火をつけ、ブロンコ後藤は黄緑川に言った。

「そうさ!今こそアドベンチャーですよ!!!」


妙な迫力に押され、その日から署名集めが始まった。

雨の日も、小雨の日も、五月雨の日も、天気雨の日も
署名を求める黄緑川の姿は、駅前にあった。

ブロンコ後藤の姿は無かった。

数ヵ月後、疲れ果てた様子で黄緑川はブロンコ後藤の事務所に来た

「ブロンコ・・・どうあがいても1987人しか集められなかったよ・・・
全然たりないな・・・」

ブロンコ後藤は、左手でタバコをくわえ、左手で火をつけた。

「黄緑川さん、大丈夫。俺が9000人分集めましたよ。」

黄緑川にさしだした署名用紙はたしかに9000人分あった。

そしてブロンコ後藤の右手首には包帯がぐるぐる巻きだった。


「ブロンコ!おまえまさか自分で9000人分・・・」

驚愕の表情を浮かべる黄緑川に、ブロンコ後藤は言った。

「まさか!そこまでするわけないでしょ!?はははは!!」

署名用紙の筆跡は、どれも同じように見えた。

翌日、2人は再度彼岸花連合の事務所に署名を持って乗り込んだ。

彼岸花連合の会長は、集められた署名をまじまじと見て言った。

「1万人分の署名・・・しかし、すぐにどうこうというわけには・・・・」

「しゃらくせえ」


ブロンコ後藤は、署名用紙を手で机の上から払い落とし、3冊の書籍を置いた。

「会長。これは人気沸騰中。田舎弱小パチンコ店長奮闘記が絶賛連載中の漫画パチンカー
今月号と、単行本第一巻と、総集編だ。

あんたも彼岸花が好きなんだろ?人の笑顔が好きだったから、見たいから彼岸花を
植えたんだろう?

それより多くの人が桜を望んでるんだ。きっと彼岸花好きな人は桜も好きさ。

この本を読んで、もう一度あの頃の会長の気持ちを思い出してくれ。」


出された茶菓子のナボナをポケットに入れ、ブロンコ後藤と黄緑川は
彼岸花連合の事務所を後にした。


2日後、黄緑川が興奮した顔で、ブロンコ後藤の事務所を訪れた。


「ブロンコ!あの公園に桜が植えられてるんだ!!」

ブロンコ後藤は、右腕を三角巾でつった姿で、笑みをうかべて言った。

「えぇ。会長から電話ありましたよ。

1万人の意思は真摯に受け止める。春は桜だしな
田舎弱小パチンコ店長奮闘記を読んで、笑顔をみたかった自分を思い出したよ。

っていってました。ヘリウム吸った声で。」


黄緑川は目に涙を浮かべていた。

「ありがとう。夢がかなうよ。ありがとう。」

ブロンコ後藤は、手にしていた漫画パチンカーを置き、黄緑川に言った。

「しかし、なんであそこまで今年中に桜を植える事にこだわったんです?」

黄緑川は、軽く笑い言った。

「俺、もう長くないんだよ・・・・・
ありがとう。ブロンコ。今度花見しような。」

そういい残し、黄緑川は出て行った。

「まさか・・・・そんな」

ブロンコ後藤が黄緑川の姿を見たのは、それが最後だった。




数日後、脱税とコロッケのじゃがいもの産地偽装と賞味期限改ざんで
黄緑川は逮捕された。



ブロンコ後藤も読んでる、田舎弱小パチンコ店長奮闘記。
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発売中!!

単行本第一巻・お得な総集編も発売中!!
外よりも気温が低いせいか。

薄着をしてきたつもりはないのに、体が冷える。

男は、あわててタンクトップの上にポンチョをはおった。


男の名はブロンコ後藤。

表の顔はシャーペンの芯販売業。裏の顔は何でもこなす便利屋だ。

ブロンコ後藤は商店街の外れのスケートリンクに来ていた。

ここに勤めるミスター・ションザキにシャーペンの芯と赤福(8個いり)を
届けにきたのだ。



ミスター・ションザキは、あまり有名ではないが、オリンピックと深いかかわりが
ある。
オリンピックの代表になったことがあるなら、その名を聞いたことがあるとか
ないとかいうくらいの人物だ。

その私財を投げ打って、ブロンコ後藤たちが住む街ににスケートリンクをつくった。

経営はけっして楽ではないようだが、住民の憩いの場だ。


配達を終え、ブロンコ後藤はフィギュアスケート教室の様子を見ていた。


オリンピックの効果か、教室には生徒が大盛況。

20坪のスケートリンクは満員だ。


「ようブロンコ。まだいたのか?」


白髪にベロアのガウンをはおったミスターションザキが声をかける。


「ええ。今日は仕事終わりなもんで」


ブロンコ後藤はタバコに火をつけながら言った。


「なんとかこの街にスケートが根付いたな。どうだ?あの子供たちの笑顔」


ミスターションザキは、右手の中でクルミを回しながら嬉しそうに言った。


「大人でも子供でも、必死に打ち込む姿ってのは良いもんですね」


ブロンコ後藤は、ミスターションザキからクルミをもらうと、丸かじりした。



ふと、リンクの端っこでひざを抱えている少年が目に付いた。

ブロンコ後藤は、ゆっくりと少年に近づく。


「よう少年。氷の上で体育座りは痔になるぜ?」


少年はちらっとブロンコ後藤の方に視線を向け、すぐリンクに視線を戻した。


「ふー。俺なんて痔になったほうが良いんだ・・・」


一瞬、ブロンコ後藤の眉間にシワがよった。


「おだやかじゃねーな。どうした?悩みか少年?」


少年は、視線をリンクに向けたまま


「あんたに言ってもしょうがないよ。」


と言って、体育座りから女座りへ組み替えた。


ブロンコ後藤は、少年の肩をつかみ、大きめの声で言った


「ショートプログラムだけで判断するな!!!!!」


その勢いに飲まれたのか、少年は口を開いた。


「僕、オリンピックに出たいんだ。でも、ぜんぜんうまくならない。
 コーチが教え方へたなんだ。・・・」


「少年。おまえは幸せだな。」


ブロンコ後藤は灰皿を目で探しながら、少年に言った。
灰皿はなかった。


「高い金だせば、それなりのコーチに教えてもらえる。それなりのコーチは
 教え方もうまいだろう。もちろん、才能もいるけどな。

 でもな。オリンピックの気持ちは、オリンピックを味わった人にしか
 教えてもらえない。

 ここには、ミスターションザキがいるじゃないか。
 彼に教えてもらえることは、凄い幸運だとおもわないか?」


少年は、立ち上がった。目には決意を感じる。


ブロンコ後藤は目を細め、少年に書籍を手渡した。


「少年。大人気漫画、田舎弱小パチンコ店長奮闘記の単行本第一巻だ。
 それとお父さんに、田舎弱小パチンコ店長奮闘記絶賛連載中の漫画パチンカー今月号
 お母さんには、俺も協力してる総集編をどうぞ。

 これには、目的こそ違えど、金メダルを目指してる生き様がのってる。
 
 これを読んで、あとはミスターションザキに教えを請えばオリンピックは
 すぐそこだ。」


「話は聞いてたよ。わしの特訓はきついぞ?ついてこれるか?
 まずは材料選びだ!!」

 「えっ!?」


ミスターションザキは少年の方肩に手を置き、語りかけた。


その二人の姿を見ながら、ブロンコ後藤はリンクを後にした。


冬の空気の中、桜のにおいを感じた。


ミスターションザキは、カーリングのブラシを作る職人だった。


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いますぐ走れ海の道を!!
都会のあるオフィスビル。

そのオフィス内を窓から見ている男がいた。


男の名前はブロンコ後藤。
表の顔はシャーペンの芯販売業
裏の顔は何でもこなす便利屋だ。


『あの男か。ビンゴだな…』


手元のビンゴカードの22のところを指であけ、ブロンコ後藤はつぶやいた。



終業時間になり、スーツ姿のサラリーマンたちが続々と退社していく。

ざっと3264人は退社していく。


『やっこさんは残業か…』


ブロンコ後藤は、社内に入ることにした。

怪しまれないよう、大洋ホエールズモデルのユニホームに着替えた。

ポンセのモデルだ。


『おつかれーす』
『おつかれさまです』
『よう!やってる?ウシシ』


にこやかに挨拶しながら、ブロンコ後藤はターゲットの皿田がいる、
第31営業部内経理ベンチャーお客様相談室補佐秘書室に入っていった。


中には皿田だけが残っており、パソコンに向かっていた。


『皿田一番さんだね?』

ブロンコ後藤が声をかけると、皿田は顔をパソコンに向けたまま、体をブロンコ後藤の方に向けた。


『あい。皿田ですが…今忙しいんで、急用じゃなければお待ちいただけますか?』


『悪いな。急だったからな。待たせてもらうよ。』


ブロンコ後藤はタバコに火をつけ、皿田が一段落するのを待った。

2分待った。


『さ、皿田さん。いこうか?』


『でも仕事が…』


ブロンコ後藤は嫌がる皿田に言った。


『仕事と雛人形の顔。どっちが大事だ?』


皿田は迷うことなく答えた


『人形は顔が命です…』


後部座席に皿田を乗せ、ブロンコ後藤はエンジンをかけた。


『皿田さん。悪いが目的地まで道のりを見てもらうわけにいかないんだ。
すまないがコレをしてくれないか?』


ブロンコ後藤は皿田にゲームウォッチ(オクトパス)を渡した。


10分後、河川敷についた。


『ここはいったいどこです?あ、あそこか』


皿田はゲームウォッチをブロンコ後藤に返しながら言った。


ブロンコ後藤は、皿田のスコアを見ながらニヤリと笑い、言った。


『さぁ。皿田さん。お待ちかねだ。』


皿田が目をこらしてみると、駐車場の奥に男が立っていた。


『君は!同級生のしげやん!!』


ブロンコ後藤はタバコに火をつけながら、言った。


『彼からの依頼でね。手荒なことをして申し訳なかった。
どうしても君に会いたいということで、ココに来てもらったわけさ』


『しげやん・・・生きてたのか・・・』
『皿田・・・・半年ぶりだな・・・』


懐かしそうに微笑む2人から視線をそらし、ブロンコ後藤はタバコに
火をつけた。


『友情か・・・いいもんだな・・・』


ブロンコ後藤は、車の助手席から紙袋を取り出し
2人に近寄っていった。


『しげやん。これで俺の仕事は終わりだ。報酬はいつものトコに。

これは、俺から2人の友情に感動した礼だ。』


皿田としげやんは、驚いた顔でブロンコ後藤の方を向く。


『漫画パチンカー絶賛連載中の田舎弱小パチンコ店長奮闘記の最新作が
載ってる漫画パチンカーと、単行本第一巻と総集編だ。

久しぶりに感動した礼だ。感動を返したい。これ読んで感動してくれ。』


2人に書籍を渡し、夕日に向かってブロンコ後藤は歩いていった。




『で、しげやん。なんで俺を探してたの?』


『皿田に貸した、高橋名人の冒険島がしたくなったんだ。返して』


『え・・・・売っちゃった。いらんのかと思って・・・』


『え!?』




その日の河川敷に落ちる夕日は、いつもより赤かった。





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いますぐ走れ!海の道を!

決して立派ではない球場に、高校球児たちの大きな声が響きわたっている。

何と言っているかはわからない。


三塁側の最後部に腰を下ろし、球児達を異様に鋭い眼差しで見る男がいた。


宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)

一見して金髪のポール牧に見える男は、アメリカ大リーグチームの
シンシナティ・レモネーズのスカウトだ。


人気低迷に拍車がかかったチームの人気回復の為に、日本人選手をスカウトしてくる
密命を受けたのだ。

スカウトする条件はひとつ。


名前が「ジロー」とつく選手。


後は「イチローに弟がいた!」というキャッチフレーズのマスクマンで売り出すつもりだ。


簡単に見えた条件だが、なかなか厳しい。


今の日本人の子は「光宙(ぴかちゅう)」とか「足無(じおんぐ)」とかいう
名前の子ばっかりだったのだ。


そんな中、やっと「ジロー」を見つけた宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)は、
県大会の予選の練習試合の紅白戦に出場する「ジロー」を見に来ていたのだ。


「なかなか良いカーブを投げる…荒削りだがな。」


ライトの守備につくジローを見ながら、宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)は、つぶやいた。



スッ…ざわ…


そのとき彼の横を、一陣の風とともに、黒い影が通り過ぎた。

視線を影が通った先に送ると、男が最前列のスコアラーにシャーペンの芯を渡していた。


「あ…あいつは!?」


ありゃーたしたー!とスコアラーから代金をもらい頭を下げた男を見て、
宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)は愕然とした…


即座に席をたち男に駆け寄る。


「カミカゼ・ボーイ!おまえはカミカゼ・ボーイだろ!」


男はハッとした顔で、宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)の方を見た。


「カミカゼ・ボーイ!私だ!宇坪だ!」


男はタバコに火をつけ言った。


「人違いじゃないすか?急ぐんでスイマセン…」

宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)は、男の肩をつかみ叫んだ。

「私がカミカゼ・ボーイを忘れるもんか!」

男は、宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)を振り切って、駐車場に
降りていった。

即座に宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)は後を追う。

「日本人で、しかも女の子のような手投げだけの投球法で、160kmの速球。
マイナーでわずか3試合しか投げていないが、カミカゼ・ボーイの事を
忘れたことはない!。ボーイ!またアメリカに来ないか?」
  
男は、振り向き煙を宙にはいて言った。


「俺はブロンコ後藤。しがないシャーペンの芯売りですよ。
急いでますんで。」


男の名はブロンコ後藤(右投げ・左右打ち)。表の顔はシャーペンの芯販売業。
裏の顔は何でもこなす便利屋だ。

「カミカゼ・ボーイ。今でこそメジャーに日本人はたくさんいる。
でも、一番衝撃を受けたのはキミなんだ。
ぜひ、キミと契約したい。この書類にサインと親御さんのサインをくれ!!」

宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)はツチノコでもみつけたかのように興奮しきっていた。

それを冷静に見ながらブロンコ後藤(右投げ・左右打ち)は、
2本目のタバコに火をつけ、言った。

「仮に俺がカミカゼ・ボーイだったとしても、相当なブランクだろ?
投球を見ずに契約していいのかい?」


宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)は、自信ありげに親指をを鳴らした。

「ワシをなめるな。体つきを見れば、キミがトレーニングしてるかどうかくらい
すぐわかる。キミの体はアスリートの体だ。さぁサインを!!」

ブロンコ後藤(右投げ・左右打ち)は困惑した顔を浮かべ、タバコを吸った。

ふと、宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)の背後の車に目を向けたかと
思うと、ブロンコ後藤(右投げ・左右打ち)は走り出し、次の瞬間、
白いセダンの中を覗き込むと、軽く舌打ちをして右手にタオルを巻き始めた。

バリーーーーーーーーーーーーン!!!!!!

ブロンコ後藤(右投げ・左右打ち)の長淵剛ばりのキックが車の窓ガラスを
破った。

「クレイジー・・・ゴナ・クレイジー・・・」

宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)は、思わずつぶやいた。


衝撃音を聞いて、車の持ち主らしい20代の男(右投げ・右打ち)が駆け寄って来た。

「ちょーー!なにすんすかー!ヒドイっす。ぱねぇっす。」

ブロンコ後藤(右投げ・左右打ち)は、助手席に手を差し伸べ、
車の持ち主の男(右投げ・右打ち)の顔に突きつけた。


「おまえ、車内にこの子を置いたまま、何してるんだ!!!」


車の持ち主の男(右投げ・右打ち)は驚愕の表情のまま、言った。


「いや・・・オークションで落としたやつなんすけど・・・」


ブロンコ後藤(右投げ・左右打ち)の手の中には、パイロットインキ社製 
お世話大好き お着替えメルちゃん(メーカー希望価格3980円)があった。


「お世話するつもりで、迎え入れたなら家族だろう!!オマエの大事な家族だろう!!
軽い気持ちでメルちゃんを買うな!!着替えさせるな!!お風呂に入れるな!!」


車の持ち主の男(右投げ・右打ち)は、泣いていた。
宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)も泣いていた。

ブロンコ後藤は、懐から本を取り出し、二人に渡した。

「全国書店・コンビニで絶賛発売中の田舎弱小パチンコ店長奮闘記、好評連載中の
漫画パチンカー今月号と、田舎弱小パチンコ店長奮闘記 単行本1巻と総集編だ。
コレを見て、家族の絆を思い出せ。」

車の持ち主の男(右投げ・右打ち)は、本を抱いたまま泣き崩れた。

宇坪ゴメス(51才・右投げ右打ち)は、足早に去ろうとするブロンコ後藤(右投げ・左右打ち)
に向かって声をかけた。


「カミカゼ・ボーイ。俺はまたキミに惚れたよ。契約のこと真剣に考えてくれ。
連絡待ってる。本をありがとう・・・日本語読めないけど。」


ブロンコ後藤(右投げ・左右打ち)は、軽く笑みを浮かべた後、ダッシュで去って行った。

カミカゼ・ボーイの件は100%人違いだった。




ブロンコ後藤も読んでる、田舎弱小パチンコ店長奮闘記 好評連載中の漫画パチンカー
今月号は全国書店・コンビニで絶賛発売中!!

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いますぐ走れ!海の道を!!





今回の記事を書くにあたり、参考にさせていただきました(勝手に)

下記もぜひご覧いただき、ご協力をお願いいたします。



 ■□■□■□■□■バトン部分□■□■□■□■□■□

『車内放置撲滅バトン!DJラオウと子供を救え!』






協力:パチンコ必勝ガイド「子供を救え!2009-2010」


冬でも車内は危険がいっぱいです。
子供を放置する行為は犯罪です。

車内放置が1日も早く無くなる事を切に願っております。


命を守ろう!車内放置撲滅!
[Amebaグルっぽ]

車内放置撲滅運動への多数様のご参加誠にありがとうございます。

周知を広げることは撲滅への一歩と考えております。

ご賛同頂ける皆様のご参加をお待ちしております。




冬になり、意識も希薄になっていきます。

このバトンを通じて、意識の向上を目指しておりますので

皆様のご協力をお願い申し上げます。


   ■□■□■□■□■バトン部分終了□■□■□■□■□■□


ご協力お願いします。
「やっと着いたか。」


実に6時間ぶりのタバコに火をつけ、男はつぶやいた。


男の名は、ブロンコ後藤。

表の顔はシャープペンの芯販売業。裏の顔は便利屋だ。


ブロンコ後藤は、知り合いの雑誌編集長の依頼で、ある村に来た。

羽田から、関西空港に飛んで、そこからプロペラ機で鹿児島空港へ


そこから船で熊本まで行き、熊本空港から成田空港へ飛んで、車で5時間のトコにある村だ。


主な産業は、銘菓「インディペンデントの月」の製造。

世界中のインディペンデントの月90%はここで作られている。

残りの10%はニカラグアだ。


ブロンコ後藤はその村で、取材をしてくるように依頼をうけたのだ。


意外にも、ブロンコ後藤には文才があった。


ジャンプ放送局では常連だった。


鶴光のオールナイトニッポンでもハガキを読まれた事があった。



村人の実に99%が、インディペンデントの月を作っているというこの村での取材。


ブロンコ後藤は、アポ無しで手当たりしだい訪問することにした。


9183軒目を訪問し終えたとき、妙なことにブロンコ後藤は気づいた。

数こそ違えど、各家庭の軒先に、ワラでつくった二人の人間が抱き合っているような人形がぶら下げてあった。


それなりに金持ちの家には、人形がたくさん。


最低でも2個は下げてある。


ちょうど出てきた村人を捕まえ、ブロンコ後藤は質問をした。


「あの玄関の人形は何だい?」


村人は、ため息混じりに語り出した。


「あれは、抱き合わしぇさ。

インディペンデントの月を作るために必要な材料は、この村のオロチ家が全部握ってんねよ。

オロチ家は抱き合わしぇを買った数で、材料を卸す順番を決めるの。


わしらは毎回毎回、買いたくもない抱き合わしぇを買ってでも、材料を卸してもらわなイカン…


若主人が結婚するんで、抱き合わしぇのノルマも増えた…」



ブロンコ後藤はタバコをくゆらせながら、顔をしかめた。


「なるほどな。道理で原価50円くらいなのに、小売り価格が130000円のはずだ。」


村人は頷いた。


「しかも、若主人の結婚相手は隣り町の一番のデラべっぴん…ミス隣り町の三咲ちゃんだ。

若主人ばっかり儲けて、わしらはカツカツ…

その上、アイドルの三咲ちゃんと…」


村人は悔しそうに、三咲LOVE と書いてあるウチワを握りしめた。


「若主人ねぇ…会いたいな…」


ブロンコ後藤は、若主人と会う事にした。


オロチ家につくと、使用人が出てきた。


「アポイントはございますか?」


ブロンコ後藤は、使用人に名刺を渡した。

牛乳パックで昨日作ったこういう場合用の名刺だ。


「ブロンコ後藤さん…
職業は、インテリジェント空間プログラムデザイン補佐代理デザイナーコンシェルジュ評論家…」


いぶかしげな目で見る使用人に、ブロンコ後藤は若主人に会いたいと伝えた。


「若主人はアポイント無しじゃ、お会いになりません」


ブロンコ後藤は使用人の手に何かを握らせて言った。


「固いこと言わないで…
これとっとけよ。ミルキーだ。」


途端に使用人の顔はほころび、どこかに電話し始めた。


「若主人が会うそうです。

こちらへどうぞ」


使用人に案内され、若主人の待つ台所へ入る。


若主人は奈良漬けでサラサラご飯を食べていた。


「はじめまして。ブロンコ後藤です。

金持ちの割には質素な食事だな」


若主人はニヤリとして言った


「あっさりしたもんが食いたいきにね。

もっとも、この奈良漬けは一個70,000円だけどね」


ブロンコ後藤は若主人から、奈良漬けをもらって食べた。


もらってというより、盗み食いに近かった。


「うまくねぇな…」


ブロンコ後藤は、一切れでご飯2杯食べていた。

「で、私に何を聞きたいんです?ブロンコ後藤さん。

この村の事なら何でも聞いてくんさいよ。」


コーヒーを飲みながら、若主人が尋ねる。


ブロンコ後藤はタバコに火をつけながら、若主人に言った。


「この村の事は、Wikipediaで9割わかるから良い。

それよりも、村人とアンタの関係の事だ。」


若主人は、笑顔で言った。

「村人の気持ちが一番わかってるのも私ですから。

じゃないと、この村で商売はやれませんからね。

キョキョキョ!」



ブロンコ後藤はタバコを深く吸い、煙を天井に向け吐き出した後、若主人に言った。


「村人の気持ちがわかってる?」


ブロンコ後藤は、怒りとあきらめとせつなさと苦味を混ぜた顔で、若主人の方を向いた。


「ならなぜ、抱き合わしぇをやめない。

あれはアンタだけが儲かるシステムだ。


しわ寄せは、村人を経てインディペンデントの月を買う人にくる。


もっと気軽にインディペンデントの月を楽しんでもらいたいと思わないか?」



若主人は、少しうつむき言った。


「そりゃ…そうだけど…

でも、抱き合わしぇは習慣ですからねぇ…」



ブロンコ後藤はテーブルをメゾフォルテで叩いて立ち上がった。


「他の村人には抱き合わしぇを抱かせておいて、アンタは三咲を抱くのか!」


空気が凍りついた。
使用人はミルキーを舐めていた。


ブロンコ後藤は続けた。

「インディペンデントの月はウマい。

もっと買う人が増えても良いはずだ。


村人は笑顔で、買いに来た人を迎えてる。


だけど、その裏には悲しみ、苦しみがあるんだよ

それが買いにくる人に伝わっていいのか?」


ブロンコ後藤はカバンから本を取り出し、若主人に渡した。



「漫画パチンカー好評連載中の、田舎弱小パチンコ店長奮闘記だ。

今のアンタには、田舎弱小パチンコ店長が足りない。

絶賛発売中の今月号と、単行本と俺も出てる総集編だ。

これを読んで、村人の…インディペンデントの月を愛する人の気持ちを理解して、三咲を愛しな。」


若主人は本を受け取ると、ぎゅっと抱きしめた。


いつの間にか夜がくれて、空に満月が出ていた。

何気に三咲はブロンコ後藤のタイプだった。




ブロンコ後藤も読んでる、

「田舎弱小パチンコ店長奮闘記」


好評連載中の漫画パチンカー今月号は、全国書店・コンビニで発売中!


単行本・総集編も発売中!


今すぐ走れ!海の道を!




※special thanks キャスバル。さま
ゴゴゴー!

黄色い恐竜にも似た、巨大な重機が砂山を崩していく。

その巨大な音は、あらゆる生命の息吹きをかき消しながら作業している。
ふいに、黒い影が飛び出した。


「ギブミー!ギブミーしてんか!」


一台のブルトーザーの前に、チューリップハットとベルボトムの男が立ちはだかる。


ブルトーザーの男が、慌てて止めどなりつけた


「急に飛び出してこないでよ!プロポーズするならダンプの前にして!」

チューリップハットの男は、重機の音に負けないくらいの声で叫んだ。


「今すぐ工事をやめるきに!」


ワラワラと工事関係者がアチコチから現れ、男を取り囲む。


殺気にも似た緊張感を切り裂いたのは、現場監督の

「やっておしまい!」

という声だった。


工事関係者は男に飛びかかり、そのまま胴上げを始めた。


巨人軍のV9の時の川上監督より高く宙を舞っていた。



そこから少し離れた場所で、タバコを吸いながら一部始終を見ていた男がいた。


「良いスナップの胴上げだな」


男の名はブロンコ後藤


表の顔はシャーペンの芯販売。裏の顔は何でもこなす便利屋だ。


「あぁ、毎日胴上げしてるからな。
あのチューリップくんが今回の仕事だ」


傍らの那智黒アメのように黒く日焼けした作業着の男が言った。


「あいつのおかげで、工事が進まん。
作業員からも施工主からも、早く工事終わらせてドラクエしたいと不満が出てるんだ。」


ブロンコ後藤はタバコをキティちゃんの携帯灰皿にねじ込んだ。


「わかった。説得しよう。説得で聞かなかったら実力行使でいいな?」


那智黒作業着男、工事責任者の玉巣はブロンコ後藤に言った。


「そのために、キミを呼んだ。我々も胴上げばかりしたくない。
巨人ファンや日本ハムファンばかりじゃないからな」


ブロンコ後藤は、玉巣に向けニヤリと笑った後、チューリップハットの男に向かって歩き出した。


胴上げで放心状態のチューリップハットの男は、作業を進める重機を見つめていた。


「よう。俺はブロンコ後藤。
アナタの名前はなんていうの?」


チューリップハットの男は、突然声をかけられ驚きながら言った。


「ひゃい!灘田イナダです」


ブロンコ後藤は、灘田の隣にハンカチをしいて腰掛けた。


「吸うかい?」


灘田はブロンコ後藤の差し出すタバコに、目を落とした。


「ひゃい!いただきます。」


7本取った。
内4本はポケットに入れた。


ブロンコ後藤もタバコに火をつけ、煙を吐きながら話し始めた。


「なぁイナダっち、この工事は近隣住民のほぼみんなが賛成してる。
なんでイナダっちは、危険を侵してまで反対すんだ?」


灘田は器用に3本のタバコを吸いながら、ぽつりと語り出した。


「自然を壊すのは人間のエゴです。エゴで作るダムなんかいらない。
ここにダムは必要ない!」


みるみる灘田の顔が赤くなっていった。

その顔を見て、ブロンコ後藤は諭すように言った


「なぁイナダっち。それはキミのエゴじゃな・・・」

言い終わる前に、灘田は傍らのプラカードを持ち
ブロンコ後藤に殴りかかった。


「うるひゃい!エゴったらエゴなんだよ!!えい!やー!たー!」


ブロンコ後藤はポケットに手を入れたり出したりしながら、灘田の攻撃を
かわす。3回の攻撃を5回かわした。

空気抵抗に阻まれ、灘田の攻撃は涙が出るほど遅かった。


疲れ果てしゃがみこむ灘田に、ブロンコ後藤はタバコを差し出した。

灘田は潤んだ目で、ブロンコ後藤を見つめた。


灘田は6本取ったタバコを2本口にくわえ、4本はポケットに入れた。

火をつけてやり、自分のタバコにも火をつけブロンコ後藤は言った。


「なぁイナダっち。人間が社会で生きていく上で大事なものって
なんだと思う?」


灘田は、両手にタバコを1本づつ持ち言った


「自然です。ネイチャーです!」


フッと軽く笑い、ブロンコ後藤は言った


「大事なのは人の話を聞くことだ。
自然は大事だ。それはわかってる。
だから、ダムはエゴといって反対する気持ちはわからんでもない。

だがな、イナダっち・・・ココにできるのは公園なんだよ。」


灘田はリンゴのように顔を赤くした。むしろリンゴより赤かった。

ブロンコ後藤は懐から書籍を取り出し、灘田に渡した。

「人と人とが生きていく上で大事なこと。この本から学びな。

田舎弱小パチンコ店長奮闘記 が絶賛連載中の漫画パチンカー今月号と
単行本第一巻と総集編だ」


灘田は大粒の涙を流していた。


「イナダっち。お前の涙が流れたこの土地には良い緑が
育つだろうよ。」


言い終えると、ブロンコ後藤は夕日の方へ歩いていった。



ブロンコ後藤も読んでる、田舎弱小パチンコ店長奮闘記

絶賛連載中の漫画パチンカー今月号、絶賛発売中!

単行本第一巻・お得な総集編も発売中!

いますぐ走れ海の道を!!



焼き付けるような日差し。照り返すアスファルト。
右手には照り焼きバーガー。
日焼けした男の顔も、みりんを隠し味につかったかのように
汗でテリテリしている。

男の名はブロンコ後藤。

表の顔はシャーペンの芯販売業。裏の顔は何でも請け負う便利屋だ。

ブロンコ後藤は、アイスクリーム専門店 「夏のお嬢さん」の店主
桜田家族男(サクラダファミリオ)に頼まれて、蚊須加村に来ていた。

ここで取れるケサランパサランを次の新作アイスに使いたいらしい。

村とはいっても、想像していたよりも発展している。
人口は5万人はいそうだ。

「さて・・・ケサランパサランか・・・骨が折れそうだ」

ブロンコ後藤はタバコに火をつけ、聞き込みをすることにした。


事前に本で読んだ限りでは、幻に近いくらいの物のようだ。

オリビアを聞きながら、疲れ果てて杏里の幻を愛したくらいの
幻のようだ。


駅前に店があった。昔ながらの駄菓子屋風の6階建ての店だ。

入り口の横に張り紙がしてある。

「ケサランパサランあります」

ブロンコ後藤は、キティちゃんの携帯灰皿でタバコを消しながら
店に入った。

「いらっさい」

アルマーニのスーツにネクタイをしめた店主が出てきた。

「ケサランパサランが欲しいんだが。」

ブロンコ後藤は店主に、お辞儀をしながら言った。

「一歩遅かったね・・・」

店主は悲しそうにつぶやいた。

「どういうことだ?張り紙してあったぜ?」

ブロンコ後藤は店主の胸倉をつかむ勢いで、レジ横の
よっちゃんイカを購入した。

「最近、村の若いもんがグループを作ったのよ。
もう農協には世話になんねー!ってな。

そいつらが、ケサランパサランを資金源にするために
ねこそぎ持っていきやがった・・・」

ブロンコ後藤は、タラタラしてんじゃねーよ!も購入した。

「なぜ警察にいわないんだ?事件だろこれは?
会議室でおこってないだろ?」

店主は、シャツの第2ボタンを外しながら言った。

「だってリーダーが村長だもん。」

ブロンコ後藤は怒りに震えた。右手から血がにじむくらいの力で
拳を握り締めた。

チョコバットがハズレだったのだ。

「直接村長んとこ行って、手に入れるわ。村長はどこだ?」

店主は驚愕の表情で言った

「え?旅の人、正気か!!村長は強いぞ!我が強いぞ!

それでも行くなら、役場の裏のグランドに行け。

そこでゲートボールをしてるはずだ」


「ありがとう。駄菓子代はカードで、2回で。」

ブロンコ後藤は、グランドに向かった。


そのグランドは大きさにして東京ドーム2個分くらいか。
周りに畑と田んぼしかないため、実際より大きく見えた。
全面ゲートボールグランドだ。

そのうちの2番グランドに、ジンベエ姿の若者の集団が1231人
たむろしている。

「間違いない。あそこだな。」

ブロンコ後藤は、集団に向かって走った。100Mを11秒で走った。

「リーダーは、村長はどいつだ?」

若者達は、アルトとソプラノに分かれて言った。

「なんだ?おまえ?」

ブロンコ後藤はタバコに火をつけ、集団に向かって言った。

「村長と取引したいんだ。争うつもりは無い。」

ジンベエ姿の集団の奥の方から、サカナくんのような、よく通る声が響いた。

「手を出すな。旅の人!俺が村長だ!」

サーーッと音を立て、集団が二つに割れる。

奥に金色のジンベエの男が、エマニュエル婦人のような籐の椅子に
座っている。

「旅の人。取引ってなんだ?何が欲しい?
このジンベエ以外でな」

ブロンコ後藤は、村長に一歩一歩近づきながら
話かけた。

「ケサランパサランが欲しい。タダでとは言わん。
争いは避けたい。交渉しよう。」

村長の前に立ち、ブロンコ後藤は懐に手を入れた。

「いくらだ?金ならある。」

村長は立ち上がった。マッハ2で立ち上がった。

「みんな!やっちまえ!!」

若者の集団が動く瞬間、ブロンコ後藤は懐から爆竹を
取り出し火をつけた。

1箱全部火をつけて、投げた。

パンパンパンパンパン!!ポスゥ・・・パンパン!!

爆竹の音に驚き、1228人逃げた。

「まだやるかい?」

ブロンコ後藤は、腰を抜かした村長を見下ろしながら言った。

「いや・・・こんな一度に爆竹を鳴らせる男には勝てない・・・」

村長は懐からタッパーを3個とりだし、ブロンコ後藤に渡した。

「ケサランパサランだ。持って行け。」

ブロンコ後藤は、ポケモンのトートバッグにタッパーをいれ
村長に言った。

「なぜいきなりキレた?なんでこんな集団を作ったんだ?」

村長は、涙を浮かべ語りだした。

「村長になったはいいが、予算予算ってみんな金の話ばっかだ。
金の話はもういやだ。この村に活力をあたえるつもりなのに、
予算だ、道路つくれだ・・・政治の話ばっかりだ。
こんなんじゃ、俺はつぶれちまう・・・
村と俺に活力を!それが、俺のマニュフェストだ!」

ブロンコ後藤は、空に向け煙を吐き出しながら言った。

「いや、普通村長ってそんなもんだし。」

袖で涙を拭き、村長は顔をあげた。

ブロンコ後藤は、トートバッグから書籍を取り出し、村長に
渡した。

「田舎弱小パチンコ店長奮闘記 連載中の漫画パチンカー今月号と
単行本第一巻と気軽に読める総集編だ。

村も、店の経営も同じだ。これ見て勉強しな。」

「旅の人・・・」

村長は、ジンベエの襟を直し立ち上がり、書籍を受け取った。

ブロンコ後藤は、右手を軽く上げ村長に別れを告げた。

「良い村じゃないか、この村は。吉幾三の村よりずっと良い。
きっとまた来るよ。家族連れでまた来るよ。家族いないけど。
それまで村長。あんたがこの村を大事にしてくれよ。」


村長は遠ざかるブロンコ後藤をいつまでも見つめていた。



ブロンコ後藤が読んでる

「田舎弱小パチンコ店長奮闘記」絶賛連載中の漫画パチンカー今月号は
全国書店・コンビニで発売中!!(一部地域を除く)

いますぐ走れ!海の道を!!
魔都・東京

欲望と栄光とメイド喫茶。

そして、人々の笑顔と悲しみが渦巻く街。

今日も人の数だけドラマが生まれている。


その魔都・東京から1200キロ離れた駅前。

時間は夜20:00を過ぎている。


「いい街だな。ここは。駅前が禁煙じゃない。」

タバコをくゆらせながら、男は駅前の自販機で
カルピスを買った。

プシュ!!!

カルピスソーダだった。

男の名は、ブロンコ後藤。
表の顔はシャーペンの芯販売。
裏の顔は何でもこなす便利屋だ。

ブロンコ後藤は取引の為、この街に来た。

約束の時間まで、あと4時間ある。

ふと、駅近くのアーケードにさしかかると
歌が聞こえてきた。

アーケードを覗くと、ストリートミュージシャンというのだろうか
ギター等の楽器を持ちながら歌っている男女達がアーケードの中にいた。

全部で87人いた。

「この街はストリートが騒がしいな。」

ブロンコ後藤は品定めをするかのようにミュージシャン達の
前を通り過ぎていく。


どのミュージシャンも、ほとんどカバーばっかりだ。

オリジナルっぽい歌もあるが、ブロンコ後藤にはカバーにしか
聞こえない。


ふと、ゴーヤ専門店のシャッターの前で歌う女性に目が行った。

金髪で、ギターをかき鳴らすその姿に、ブロンコ後藤はなぜか
懐かしい想いがした。

女性と目が会った。女性は引きつったような笑いを投げかけ
ブロンコ後藤に向けていった。

「私、スージーっていいますQ。よかったら、今からオリジナル曲歌うので
聞いてくださいQ」

ブロンコ後藤は返事の変わりに、語尾にQがつく
スージーの前に腰を下ろした。


スージーの顔にさっきより、幾分かリラックスした笑みが見えた。


「聞いてくださいQ。マリンパレス。」

ギブソソと書いてあるギターをかき鳴らし、スージーは歌い始めた。


「私達は、この都市じゃ 夜更かしの好きなチョウチンアンコウ

本当の気持ち隠している そうキンメダイ

朝上がるカタクチイワシ 徹夜明けの赤めのアラカブ

誰とでもうまくやれる 海藻類 ばかりさ

煮てごらんよく煮えているだろう ダシ足さないと

ほらごらん 焼いてばかりいる 素直な肝を

Stop・Stop・Stop 寿司チェーン
Stop・Stop・Stop 寿司チェーン
Stop・Stop・Stop 寿司チェーン

ほらね そっくりなカレイがヒラメを指差してる

きっと どこか上のほうで川魚も生きてるんだ

鮎をください Wow Wow 鮎をください マリンパレス
鮎をください Wow Wow 
鮎をください マリンパレス マリンパレス」



歌いきってやり終えた顔をしているスージーに、
ブロンコ後藤は拍手しながら言った。

「ブラボー。オリジナルというかオリジナルの替え歌じゃん。」

スージーは、ブロンコ後藤を睨みつけた。

「確かに参考にした唄はありますQ!でもインスパイアされて書いただけQ!
万が一替え歌でも、私が歌うんだから私のものQ!」

ブロンコ後藤は、ハッとした。そしてグッと来た。

「スージー。それじゃあジャイアン・・・剛田たけしと同じだ・・」

ブロンコ後藤は懐から1冊ずつ雑誌と単行本とコミックを出した。

「スージー。コレを読みな。」

スージーは目に涙を浮べながら、差し出された本を受け取った。

「なにこれQ?」

ブロンコ後藤は、スージーにやさしく語りかけた。

マイクタイソンに語りかける、ドンキングのような優しい笑みで
語りかけた。

「現代社会のバイブル、田舎弱小パチンコ店長奮闘記が
連載されてる漫画パチンカー今月号と、
現代人が忘れた心満載という噂の
田舎弱小パチンコ店長奮闘記 単行本第一巻と
コンビニで一時期入手不可能で暴動寸前だった
田舎弱小パチンコ店長奮闘記 総集編だ」

ブロンコ後藤は早口で言い終えると、タバコに火をつけた。

「スージー。この街のミュージシャンは借り物で勝負してるヤツ
ばっかりだ。
この、田舎弱小パチンコ店長奮闘記を読んで、君にはホンモノに
なって、ホンモノの唄を唄って欲しいのさ。」

スージーは、今や号泣していた。

「なんで私にだけ優しくしてくれるのQ?」

ブロンコ後藤は、タバコをキティちゃんのポケット灰皿に
入れながら、スージーに言った。

「キミは俺の昔の恋人に似てるところがあったりしたからという
感じもしないでもないからさ。 じゃあな。」


振り向かずにブロンコ後藤はアーケードの出口へと
歩き出した。


人ごみに紛れて、ブロンコ後藤の姿が見えなくなるまで
スージーはギターを弾いて、愛の水中花を弾いていた。




ブロンコ後藤と、スージーも読んでる

「田舎弱小パチンコ店長奮闘記」

好評連載中の漫画パチンカー今月号は
全国書店・コンビニで絶賛発売中!!

単行本第一巻と、ブロンコ後藤も参加した
座談会収録のお得な総集編も発売中!!

今すぐ走れ!海の道を!!
朝から雨が世界を濡らしている。


世界といっても、くたびれたスーツを着た男の目の前に広がる世界だが。

男はタバコの吸い殻をキティちゃんのポケット灰皿にいれ、天を見上げた。


「うどんでも、食うか…」


男の名はブロンコ後藤。

表の顔はシャープペンシルの芯販売。
裏の顔は何でもこなす便利屋だ。



数時間前、ブロンコ後藤は鹿児島にいた。


鹿児島へ天童よしみの携帯ストラップを運ぶ仕事が入ったのだ。


同時に鹿児島スイッチも入った。


「久し振りに鹿児島で飯が食えるな…」


鹿児島駅前に着くやいなや、ブロンコ後藤は鹿児島に来たら必ず行く店に入った。


マクドナルド旭硝子前店に入り、いつものヤツを頼む。


「チーズバーガーダブルで。ピクルスは今のキミの幸せの数だけいれてくれ」


言い終わって、店員と顔を見合わせて笑った。


ピクルスは入ってなかった。


「ニヅさん…元気かな」


依頼人のニヅさんは、ブロンコ後藤の古い友人であり、桜島バンジョー倶楽部の会長だ。


待ち合わせの鬼が華町についたブロンコ後藤は時間があったので、
もう一軒鹿児島名物を食べる事にした。


すぐに、ロッテリア鬼が華店についた。


「かわんねぇな…ココも。エビバーガー1つ。タルタルソースはキミの悲しみの数だけ。」


ブロンコ後藤は、タルタルソースでべちゃべちゃのエビバーガーをコーヒーで流し込んだ。


数メートル歩き、ブロンコ後藤は待ち合わせのミスドに入った。

まだニヅさんは来ていないようだ。


コーヒーとアップルパイを頼み、席につく。


ほどなくして、和服の男性が店内に入ってきた。

「ブロンコ!」


「ニヅさん!」


熱い抱擁をかわし、2人はその場で3回転した。

「ブロンコ、ちょっと待っててくれ。コーヒー頼んでくる」


先にブロンコ後藤は席についた。


「フレンチクルーラーとコーヒー。砂糖はキミが忘れられない恋の数だけ。」


ニヅは何十年も言い慣れてるセリフを店員に言った。


「相変わらずすね。その注文の仕方」

「オマエも、ちゃんと言ってるだろうな?」

懐かしい空気が2人の間に漂う。


しばし、昔話に花を咲かせた後、唐突にブロンコ後藤は
切り出した。

「ニヅさん。なんで今回天童よしみなんですか?」

「うん・・・・実はな・・・」

ニヅは天童よしみのストラップを携帯につけながら
言った。

「ブロンコ。俺、引退するわ」

「やっぱり・・・・藤あやこファンだったんで、おかしいと思った。」

ブロンコ後藤は下を向きタバコに火をつけた。


ニヅは半分泣いたような顔で、ブロンコ後藤に言った。

「もう、オマエに教えることはないよ。
オマエはもう大丈夫だ。」

「ニヅさん・・・」

「それに、田舎弱小ぱちんこ店長奮闘記・総集編もでたしな」

ブロンコ後藤は、ニヅの顔が見れなかった。
泣いてしまいそうな気がしたからだ。

「そろそろ出るか。コーヒーだけで7時間は
粘りすぎだろ。」

ニヅはすばやい身のこなしで席を立つと、おみやげに
オールドファッションを3個買った。


店の前で、ニヅはブロンコ後藤に語りかけた。

「ブロンコ。俺ボリビアに行くわ。
ボリビアで折り紙を教えてくる。」

「ニヅさん・・・引退じゃないじゃないですか。」

ニヅは、晴れやかな笑顔で、言った

「オマエに会ったら、気が変わったわ。
でも、日本ではお前が最後の折り紙の弟子だ。」

「ニヅさん・・・」

「ブロンコ。折り方で悩んだときは、田舎弱小ぱちんこ店長奮闘記
を何回も読み直すんだ。俺はそうしてきた。」

ブロンコ後藤は、タバコに火をつけ、ニヅに言った。

「うぃっす。」

夕日が二人をやさしく包んでいた。


折鶴が得意なブロンコ後藤とニヅも読んでる

田舎弱小ぱちんこ店長奮闘記

連載中の漫画パチンカー今月号
全国書店コンビニで発売中!!

田舎弱小パチンコ店長の魅力満載!
おまけにブロンコ後藤出席の座談会も
載ってる、総集編も発売中!!

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ざわ…

ざわ…ざわ…

ざわわ…


「ちっ。朝から嫌な予感がするぜ。


今日はメデタイ日だってのに、勘弁してくれよ」


キングサイズの2段ベットの上の方で、男は目覚めた。


イブサンローランのパジャマの男は、カーテンを開けタバコを探した。


「タバコ切れてたな…」

男の家の近場にコンビニはなく、自販機しかない。

タスポを作っていない男は自販機でタバコが買えなかったのだ。


自販機の前で1時間待ったが 、タスポを持つ勇者は現れなかった。


「まぁいい。どうせ今日はコンビニ周りだ」


イヴサンローランのパジャマを脱ぎ、上下とも迷彩の服に

着替える。


ジャケットの下から見えるボンバーマンの顔が

どこか悲しい。


ブルルルルンン!!


愛車の三菱スタリオンのエンジンをかけ、ガレージを飛び出す


男の名はブロンコ後藤。


表の顔はシャーペンの芯販売業。

裏の顔は何でもこなす便利屋だ。


今日は、彼にとって特別な日。


3億円の商談があったが、やんわりとお断りして

完全休日にしたのだ。



1軒目のコンビニについた。


「えっ。売り切れ?」


予想はしていたが、思ったより事態は深刻かも

しれない。


2軒目のコンビニについた。


「えっ。なにそれ?」


何も買わず、エンジンをかけたままのスタリオンに

乗り込む。



~数時間後~


ブロンコ後藤は、隣の隣の隣の県の大型商業施設にいた。



一目散に目的の店に走るブロンコ後藤。


「あった・・・・」


すぐさま、近くの店員を呼ぶブロンコ後藤。


「これ全部ちょーだい。」


驚愕の表情を浮べる店員。


「えっ。わかりました。」


代金をカードで支払い、店員3人と警備員に付き添われ、

ブロンコ後藤は車へ向かった。


荷物を車に積み込みながら、警備員がブロンコ後藤に

尋ねた。


「しかし、なんでこんなに買うんです?同じ本を。」


タバコに火をつけながら、ブロンコ後藤は警備員に言った。



「田舎弱小パチンコ店長奮闘記は、俺のバイブルだからさ」



そして、はにかんだような顔で付け加えた。


「この総集編。俺も出てるの。

俺も田舎弱小パチンコ店長について語ってるの」


「えっ。凄い。」


警備員は、素直に驚いた。


「でしょ?すごいでしょ?1冊あげるわ。読んで」


ブロンコ後藤は警備員に1冊手渡すと、スタリオンに乗り

家路に急いだ。


警備員の手元の田舎弱小パチンコ店長奮闘記には

小さくマジックで


「警備員さん江」


と書いてあった。




ブロンコ後藤が、めっさ探しまくって手に入れた


田舎弱小パチンコ店長奮闘記 総集編


珠玉のストーリーの数々は、まさに


平成のネヴァーエンディング・ストーリー

(主題歌 リマール)


全国書店コンビニで、絶賛発売中!!!!


特別企画で、荒ぶる漢(おとこ)たちが、

田舎弱小パチンコ店長を語り合う座談会のもようも

収録!!!!


ブロンコ後藤も、もちろん出演!!!


買うっきゃない!(まさかの土居たかこ)


いますぐ走れ!海の道を!!




TOKYO カウボーイ