大学1年の夏休み。
医学部に届かなかったという挫折感、孤独だった浪人時代の弊害として生じた対人関係における劣等感。
晴れて憧れの大学生活を送ることになったのに心はいつもどこか暗かった。
両親のおかげでとても恵まれた環境に身を置いていたのに苦しい思いをしていたことは、今振り返って見ると本当に親不孝なことだと思う。
実際には両親に対して心境とか悩みを打ち明けたことなんて無いのだけども。
小学校、中学校、高校と、学校の勉強はけっこう好きな方だったと思う。
親から勉強しろと言われたことはなかった。
勉強するときはいつも自分で決めて勉強していた。
徹夜で勉強してて親からいい加減もう寝ろと言われたことはある。
勉強が得意なこと自体は長所の一つとしてとても良いことだと思う。
でも、今だからこそ分かるのだけど、人生において本当に大切なことは大して何も学んでいなかった。
勉強して周りよりも良い成績をとって、ほとんどの人が行けないような大学に行けば良い人生が送れるということに何の疑いも持っていなかった。
そもそも良い人生とは何なのか真剣に考えたこともなく、偏差値とか収入とかわかりやすい数値で周りに勝てば良いと思い込んでいた。
幸せとは何なのか。
これについては今でも模索中だが、人と比べた数字で簡単に手に入るものではないことは確かだ。
何が幸福なのかは人によって違う。
これを見つけ出すことの方が学校の勉強よりも遥かに大切なことだ。
そんなことを考えてみたこともなかった当時の自分が幸せなど感じれるはずがなかった。
とはいえ、初めての大学生活の前期を乗り切り、きつかった部活動も束の間のオフ。車もある。
浮かれた気分になっていたのもまた事実だ。
『どこか出かけてみよう』
『ちょっとだけパチンコで勝負してみようかな』
3万円くらい財布に入れて、借りてた部屋から3番目に近いパチンコ屋に初めて入店した。店選びは何となく。
今では考えられないくらい恐る恐る入店してたと思う。
機種なんかもよくわからないから、帰省したときに勝ったスーパー海物語に着席。大当たり確率1/369、確変割合60%。
当然ボーダー回転数という概念も知るはずもなく、回転数も数えることなくてきとう打ちであっという間に5000円使ったところで怖くなってやめた。
『やっぱパチってやばいな』
『でももう1店舗別の店にいってみるか』
帰るついでに部屋から1番近い店に入店。
着席した機種はさっきと同じスーパー海物語。そしてあっさり当たって3連。15000円ほど換金して、前の店と合わせても8000円ほど勝ってしまった。
『ふぁー、負け取り戻して逆に勝ったわ』
負けの状態からの逆転。
しかも、当時まだアルバイトを始めておらず、これが生まれて初めて自分でお金を稼ぎ出した瞬間だった。(バカだと思います)
受験勉強でつまずき、劣等感にまみれてた自分にとって、自分でお金を稼ぎ出したという事実はなんとも言えない根拠なき自信を自分に与えた。そして強烈に嬉しかった。
パチに偽りの幸せを感じた瞬間だった。
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つづく![]()
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