期せずしてサバ味噌定食みたいな…


昨年最後に見た映画を書き忘れてたので、ここに改めて記しておきましょう。


ガリレオ湯川学シリーズの劇場版としては3作目になるのかな?


ご存じの方も多いとは思いますが、テレビ版では、思いついたらところ構わず数式を書き散らしたりする、奇行の目立つ少々エキセントリックな物理学者の湯川先生も、劇場版ではかなり落ち着いた常識人。助教から教授に出世したみたいだしね?



一種のパズラーとして解決時の爽快感をミステリーに求める人にとっては少し向かない作品かと思いますが、悲しいかな、現実って意外とこういう苦いものよねなどと思いがちなオレのようなペシミストには見終わった後からじんわり来ます。


シリーズに不可欠な、ハウダニットとしての化学や物理系の理系トリックは少し地味め。


それとは別の少し社会派寄りの裏テーマとしては「完全黙秘を貫くことのできるサイコパスに近いソシオパスな犯人に対して、司法は自供や自白が一切ない状態で対応できるのか?」ということになりますかね。


日本警察の人質司法からの自白至上主義にも困ったもんですが、取り調べに対して徹頭徹尾完黙できる人格を有する人間も極めて少ないながらおそらく一定数いるはず。コレはオレなどがいくら考えても、どんどん哲学的な袋小路に入ってしまいそうな問題だ。


そこをストーリーの軸にしながら、ミステリ読みには中途まで、コレはクリスティのオリエント急行みたいな展開にいくのかと一旦匂わせといてからの急展開。


単細胞で愚直なオレは、見事にハメられました。


ただちょっと人間関係で腑に落ちないというか、もしかしたらボケてて見落としたとこもありそうな気がするので、今回初めて細部まで理解するには原作も押さえなきゃダメかもと思いました。


そういうわけでオレは、このシリーズはテレビドラマ版は単純にエンタメとして、一方で劇場版は正統的なミステリ映画として毎回割り切って観ています。


そして、本作の湯川くんってば、出向先の研究所の最寄りの家族経営の小さな大衆食堂で仕事終わりに一杯飲むのが好きで常連さんになってるなんて意外と庶民派。


オレは、そういうヤツとは話が合いそうだ。


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