内容の一部しか思い出せない物語 | キ〇ガイの記録

キ〇ガイの記録

精神異常者のたわごと

子供の頃から図書館や図書室が好きだった。本が好きなのかと言われると、そうなのかもしれない。

 

けれど音楽の趣味同様、本の趣味もけっこう偏っていて、基本読みやすい、娯楽ものばかりを読んでいる。

 

純文学や学者が書くような教養本みたいな物が苦手で、だから、誰もが知る作品などは知らない、読んだことが無い、というものが多い。

森鴎外とか、文章自体が読めない。日本語のはずなのに。

 

小学生くらいの頃、図書室で読んだ怪談話・・・その中でタイトルも概要も思い出せない作品があった。

 

けれど、内容の一部だけが妙に強く印象に残っていて、その後も事あるごとに、不規則に思い出す。

 

それは、幽霊が人間だった頃、死ぬ事となった理由についてだった。

 

戦時中、一人の青年がアパートで暮らしていたのだが、いきなり特高警察に連れて行かれた。

 

拷問を受け、アパートに帰宅した彼は、首を吊った。

 

彼が連行された理由は、窓際に赤い花を飾ったから。そうする事で、共産党員と連絡をとったのだと疑いをかけられたのだ。

 

アパートに帰宅した青年が、その赤い花に何かしたという記述があったのに、覚えていない。

 

そんな事で警察に疑いをかけられるなんて!と、普通の人は思うのかもしれない。

でも私は、何だか不思議ではないような気がした。そして今思い出しても、そう思う。