集合写真での撮影時、撮る側は「笑って!」と言い、撮られる側の中には「このポーズみんなでしよう!」と言い出す奴がいる。
やめてくれないか。
太古の昔から言われているに違いないが、いきなりその時だけ笑顔で楽しそうなフリができる人はサイコパスの素質がある。
さらにポーズまで決めてしまった日にゃあもう、あなたは立派なサイコパス!
まず、集合写真を撮るということは、そこは人が大勢集まる場であり、楽しいと思う人もいれば、楽しくないと思う人もいる。
例えば、同窓会や飲み会であれば最低でも2~3時間は皆と一緒に過ごさなければならない。
写真を撮るのは終盤が多いと思うが、中だるみもあり、喋ることもなくなってきて、「ほんまもうはよ帰って風呂入りたいわ~」と思う頃に奴はやってくる。
「写真撮るで~!」という奴。
現時点で楽しくなく、はよ帰って風呂入りたいと思っている人に対し、笑って!やポーズ決めて!
これはもう、楽しそうに振る舞って!という強制に過ぎない。
私はこの時確実に姿を消す。
消すのに失敗しても一番後ろの端に立ち、シャッターが下りる瞬間にしゃがむ。
しかし、そこでも奴は言う。
「もうちょっと真ん中に寄らな写らへんで!」と、しかも大声で。
「知るかこの野郎!写りたくないから端におるんや、人の気持ちが分からへんのか。お前は絶対居酒屋で注文する時周りも気にせんと真っ先に「このアボカドサラダとだしまきください!」って、自信満々にこれが私です!みたいに注文するんやろ!」
心の中で私は叫ぶ。
そういう奴は笑顔判定も厳しい。
しかし私は負けない。
シャッターが下りる瞬間、顔をわずかに動かす。
それか横を向く。
5枚撮るなら5枚ともそれをする。
そしたらもうええ加減奴も諦めムード。
写真撮影は終了する。
集合写真はまだいい。
いや決して良くはなく、寿命を削るのでやめてほしいのだが、会社の社員証の切り替え時等の個人撮影ではもはや通用しない。
撮ったはずが写っていない。
何回撮っても顔がブレる。
顔の写っていない社員証。顔がブレて溶けかかっているような顔の社員証。
これでは社員証の意味はなく、私は誰?という哲学的なメッセージを常に発しているただの困った社員だ。
はぁ、もう疲れた、疲れたんだ。自由にしておくれよ。
写真を撮ることってこんなに大変なことなのか?
素直に何も考えず「いぇーい!」と言い、笑って写真に写る人に私はなりたい。
いや、やっぱり絶対なりたくない。