★202407tt(20240501)

桜揺れ遠くの桜ゆれ返す
花の雨葬家へいそぐ僧一人

 

★202406tt(20240401)

わが知らぬ愉楽知るべし雛らは

淋しさの色へとかはる夕花菜

我に何促す緋木瓜濃かりけり

 

★202405tt(20240301)

乾燥機とまり深閑春の雪

まどろみの耳に未明の春疾風

 

★202404tt(20240201)

人厭ふ日はマフラーを固く巻き

冬麗の神馬まなこをしばたたく

早梅や朝日をながす隅田川

 

★202403tt(20240101)

羽子板市煌々と売れ残りをり

二羽の鴨相寄り水輪交しあふ

 

★202402tt(20231201)

白菊の奥に触れえぬ白さあり

残菊の矜持の白や褪せゆくも

波郷忌の空黄落のやまざりき

 

★202401tt(20231101)
嬰あやす異国の言葉雁わたし
老い馬の鬣濡らす秋時雨
夕闇の野路や野菊のほのあかり