第二句集『童眸』所収。
『童眸』には1954年から1958年末まで(龍太34歳から38歳まで)の作品が収められている。
1956年(36歳)作。
季語「蛾(が)」についてはこちら

夜、読書していて、ふと顔をあげると、「蛾」が目にとまったのだろう。
すなわち「蛾」はいわゆる灯蛾。
「硝子戸(がらすど)」の内側ではなく、外側に張りついているに違いない。
したがって作者は「蛾」の裏側を見ている。
「蛾」は表も不気味だが、裏側となればなおさら。
それが「文字の毒」の「毒」と結びついてくる。
「文字の毒」は読書に疲れた眼を指すと同時に、文学が含みもつ「毒」をも暗示しているようだ。
何を読んでいたのだろうか。
詩歌の類いではなく、純文学系の小説を個人的には想像する。