句集『野守』(1946年刊)所収。
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柿の渋さに顔をしかめてペッと吐き出すような感じが「滅法(めっぽう)」にあって面白い。
表面上の意味は「渋柿」の生(な)る樹を罵っているけれども、それとは裏腹に、末尾の「よ」という呼び掛けには、出来の悪い息子を嘆きつつ可愛がる親のような、いわく言いがたい親愛の情が滲んでいる。
本句の正確な制作年は不詳だが、戦中戦後の食糧難を背景にして読むと、作者の心情の輪郭がよりはっきりする。