真夜中に目を覚ましたのだろう。
涼しい闇。
虫の声。
「初秋」の爽やかさから言って、亡くなったばかりの人の「墓」ではあるまい。
その死から時が経てば経つほど懐かしく思い出される、そういう人の「墓」だ。
闇の彼方にあるその墓から、遠くかすかに葉騒が聞こえてくるかのよう。
それは死者の声のようでもある。