「上りけり」だから、本句の季語「春の月」は満月。
三春のうちで「水の音」に一番敏感になるのは早春。
本句の季感も早春がふさわしいか。
表現のポイントは「水の音して」。
この措辞が読者に連想させる範囲は広い。
滴るような朧月の単なる暗喩としての効果だけではなく、具体的な音を想像させる。
満ちてくる海の静かだが重い波の音、雪解川の激しい瀬音などの自然音ももちろん良いが、隣家の台所で洗いものをしている音、風呂で湯を使っている音なども個人的には悪くないように思う。

ちなみに今夜は満月。
テレビによると一年で最小の満月(最大の満月に比べ14%ほど小さい)なのだそうだ。