一陣の落花が壁にあたる音 岸本尚毅強風に桜が散るいわゆる花吹雪の景だが、「一陣の落花」と表現されると、あたかも落花が隊伍を組んで壁に突進したかのような印象をうける。その速さと色と光とがありありと目に浮かぶ。「音」も実際に聞こえたわけでなく、音あるがごとしという意味だろうが、「一陣の」の効果で作品内では確かに音が聞こえる。こう言うと落花を擬人化し観念化しているかのようだが、おそらく作者の狙いは逆で、従来の詩歌における落花の美的・観念的なイメージを翻して、物質的・即物的に捉え直そうとしたのだろう。