(事を行うにあたっては、生死よりも、善悪の問題を優先すべきであるという主張に続いて)死をおそれるということは、いいかね、諸君、知恵がないのに、あると思っていることにほかならないのだ。なぜなら、それは知らないことを、知っていると思うことだからだ。なぜなら、死を知っているものは、誰もいないからです。ひょっとすると、それはまた人間にとって、一切の善いもののうちの、最大のものかもしれないのに、彼らはそれを恐れているのです。つまりそれが害悪の最大のものであることを、よく知っているかのようにだ。そしてこれこそ、どうみても、知らないのに、知っていると思っているというので、いまさんざんに悪く言われた無知というものに、ほかならないのではないか。

出典:プラトーン著、田中美知太郎、池田美恵訳『ソクラテースの弁明 クリトーン パイドーン』(新潮文庫、昭和43年)より「ソクラテースの弁明」P45~46


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