私の住んでいるマンションのすぐ近くには小学校がある。
通勤のために部屋を出る時刻は、ちょうど子供たちの登校時間と重なっている。
歩道いっぱいに広がって、大声で叫び交わしたり、ちょこちょこと追いかけっこしたり、少子化問題なんて嘘じゃないかと思うくらい賑やかだ。
寝不足の朝も彼らの様子を見ると自然と朗らかな気分になる。
小学生の元気は感染力が強いらしい。
信号待ちをしていると、同じく青信号に変わるのを待っている彼らのおしゃべりが耳に入ってくる。
その内容に微笑してしまうことがしばしばだ。
今朝もそうだった。
私の傍らで、狭い丸縁の黄色い帽子をかぶった、背のひょろっと高い3、4年生くらいの女の子が、こちらはちょっとずんぐりした感じの友だちとおしゃべりしている。
彼女は昨日、家族でどこかに出かけたらしい。
そのことを夢中になって喋っている。
詳しいシチュエーションはわからないが、母親にこう言われたそうだ。
「“歩くのイヤだ”って言ったら “歩くのイヤなら走りなさい”ってお母さんが言うの」
ウィットに富んだ母親の切りかえしに思わずふきだしてしまったが、残念ながらこの面白さは彼女の友だちには伝わらなかったらしく、笑ったのは私だけだった。
見上げた彼女たちの目に、あきらかに私は「ヘンなオジサン」と映ってしまったようである。
それにしても、子供ってかわいいな、家族っていいな、と思う。

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