国立西洋美術館。
先日行ったブラングィン展との同時開催。
この前は時間がなくて見ることができなかったので、あらためて足をはこぶ。
19世紀から20世紀初頭に活躍した画家たちの素描や水彩画38点を展示。
ドラクロワ、モネ、セザンヌ、ドガ、モロー、ピカソ、マティスなど。
おすすめはシニャックの水彩3点「グロワ」「漁船」「オンフルール」。
シニャックは水彩画をタブローとしてではなく、あくまで下絵として考えていたらしい。
上の3点もすべて旅先で、記録としての意味合いで描かれたもの。
しかし、スーラの影響下にある油彩の点描画より、彼の明るく解放的な個性がより鮮明に水彩画ではあらわれており、のちのデュフィの画風を連想させる点ではむしろ新しい。
たとえば「グロワ」。
マグロ漁船の屯する小さな港を描いたこの作品は、船体をはじめ画面いっぱいに散りばめられた黄、緑、オレンジ、紺青といった色が相互に響き合い、調和して、さながら色彩の音楽が聞こえてくるかのようだ。
このような、色を用いて表現される音楽性、しかもモーツァルトのような軽快さを感じさせるという点で、直接的に影響を及ぼしたマティスより、やはりデュフィに共通するものが多い。
ちなみにグロワとは、フランス北西部にある島の名前。

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