ソフトクリーム


それは美味しい。

それは冷たく、甘く、なめらか。



私はソフトクリームが大好きだ。友達だと思っている。川で溺れていたら迷いなく飛び込み助けるだろう。

その後食べるけど。



季節に関係なく無性に食べたくなるのだ。

私は牛乳感の強い柔らかい食感のものが好みだ。



まず前提として記しておかなければいけないのだが、

私は男が1人でソフトクリームを食べることが恥ずかしいことだと思ってる。

ここに共感を求めるつもりはないし、凝り固まった偏見であることは自覚している。


周りの人からも

「全然恥ずかしくないし、1人で食べに行っている。」

「むしろスイーツ好き男子はポイント高い。」

などの意見は頂戴しているが、これはもはや私の身体に根ざした『生き方』となってしまっている。出来ることなら変わりたい。



そんな私がソフトクリームを食べたい時によく利用するのが、

【インターネットカフェDiCE】

"ソフトクリームに本気すぎるネカフェ"を自称しており、最近では総選挙なるものも行っているご機嫌施設である。


2023年9月

DiCEは完全個室の部屋であり、複数人で利用することも珍しくない次世代型のネカフェであることから、
部屋で人の目を気にせず頬張ることが出来るし、フロント前にあるソフトクリーム機へ向かう際も〈誰かと来ている〉という可能性を残せる。


美容室終わりの午後6時、DiCEへ向かう。
その日のソフトクリームのラインアップはチェック済だ。通常のバニラに加えて"ラムネ"というレアキャラがいる。是非ともミックスさせていただきたい。

受付に行くと告げられた、
「90分待ちです」
その日は土曜日、人間がバカみたいにはしゃいで、ここぞとばかりに外出する土曜日。
私はソフトクリーム機に書かれた"ラムネ"の文字を横目に店を出た。


次の行先を考える。

コンビニはない、ありえない。
人によってはアリなのだろうが、市販されているソフトクリームはアイスクリームと呼称されるべき代物であり、"なめらかさ"という点において技術不足が否めない。


私が次に向かったのは
【びっくりドンキー】
場所も近かったし、なにより好みの味である。

普段であればびっくりドンキーでソフトクリームを注文することは恥ずかしくて出来ない。
しかしその日は違った。
美容室に行ったことで生まれ変わったような気分になっていたのかもしれない。


店は混雑していたが、そこまで待つこともなく席に案内された。
注文はすでに決まっていたが、いざ店員に伝えるという難所を思うと後込んでしまい、ベルを押すのに躊躇ってしまった。

呼ぶとすぐに店員は来た。若い女の子だ。
若い女の子かあ〜。
意を決して注文をする。

まずは「レギュラーバーグディッシュ150g」
腹は減っていなかった。これはいわば布石。
「普通にご飯食べに来たんだけどー、メニュー見てたらーたまには甘いの食べたくなっちゃったなーー、今日暑いし。」
の布石。

普通にご飯食べに来た時は「チーズバーグディッシュ300gご飯大盛り」に「びっくりフライドポテト」を頼む。(1人でポテトも若干恥ずかしいんだよね)


さあ、次にお目当ての注文だ。
ソフトクリームにイチゴソースがたっぷりかかった「ストロベリーソフト」が食べたいんだ。
簡単なことだ、言え!!

「いちごの…ソフト1つ」

蚊の鳴くような声を幸い聞き取ってもらったはいいが、
「いちごの、、ストロベリーソフトでよろしいですか!?」
「はい…」
「ストロベリーソフトですね!!普通サイズのものでよろしいでしょうか?」
「はい」
「ミニではなく普通サイズですね!」

                  え、わざとやってる???

「ご注文繰り返します。レギュラーバーグディッシュ150gがおひとつと、ミニではなく普通サイズのストロベリーソフトがおひとつですね。お間違いありませんか?」

         そんな  普通はミニだけど  みたいに!!

この時点で美容室バフは完全に切れており、心が折れかけていた。

さらにハンバーグを食べ終わったあと、
「食後のデザートください。」
という難所も残っていたが、ここは
「食後の注文お願いします。」
という微妙に濁した言い方で乗り切る。


念願のソフトが到着した頃には幸運も訪れる。

相変わらず店内は混雑していたが、
自席の右隣が2席分空いており誰もいない。
左隣には2人組の中学生らしき男子。
さすがに中学男子にビビる私ではない。

少しして右隣に1つ空けて、新しい客が座ったが1人の中年男性であり、
「いちごミルクのSサイズと、メロンソーダのLサイズのみ」
という異質な注文をしていたため、妙な安心感を覚える。喉が渇いていたんだね。

-- そんな状況に胡座をかいて油断していた、ゆっくりとソフトを楽しんでいたのも束の間。

-- 私のすぐ右隣にギャルが1人座り、
いつの間にか左にいたはずの男子中学生も、女子高生2人組に変わっているではないか。
フォームチェンジ?


焦った私はそそくさと食べ終え、逃げるようにお会計し店を出た。


帰り道には落ち込んだ時に聞く曲を聴いた。


ソフトクリーム食べたいだけなのに