先日、久しぶりにリアルイベントでの司会をさせていただいた、名古屋市主催の講演会。タイトルは、『多様な生き方を考える講演会 性の多様性から考える、誰もが過ごしやすい社会とは』。
このイベントに参加して感じたことがたくさんあるので、自分自身の備忘をかね数回に分けて書き記しています。
Vol.1はコチラ
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性の多様性から考える、誰もが過ごしやすい社会とは《Vol.1》〜知識と行動〜
Vol.2はコチラ
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性の多様性から考える、誰もが過ごしやすい社会とは《Vol.2》〜絡まったバイアス〜
動画が公開されていますので、ぜひご覧ください。
【第一部 講演会】
【第二部 パネルディスカッション】
そして今回は『《Vol.3》〜自ら選択する生き方〜』。
昨年からのコロナ禍で、人が集まるという機会は失われイベントもオンラインが増えました。オンラインの良さも実感できましたがリアルの感動を久しぶりに体験。私にとっては、司会台に立ちマイクで喋るというのは理屈ではなく、ここが自分の居場所だと思える唯一の場所です。
『自分の居場所と思える唯一の場所』
私の他にも、生きてきた中でそう感じたことがある方はいらっしゃることと思います。
このイベントで取り上げている、自分はLGBTQのいずれかである(LGBTQの人、という括り方は正しくないということや、トランスジェンダーという性別の人はいない、ということを理解しておいてくださいね)という自覚がおありの方は何かしらの生き難さを感じ、自分はここにいていいのだろうか、自分の居場所はここじゃない、と。
そう感じる原因や理由は様々で、LGBTQだけでなく、家庭環境だったり学校や職場、幼い頃に経験したことによるトラウマだったり、身体的なことだったりします。
では誰が『ここに居ていいよ』と認めてくれるのか。それは、家族だったり友人だったり仕事だったりするでしょうが、きっと最終的には自分自身なんだろうなあと思います。
私の場合は、他者とコミュニケーションが取れない幼少時代からの経験にありました。
特に、酷くいじめられたとか暴力を振るわれていたとかいった重量級の内容ではありませんが、とにかく他者と関わることに非常に強いストレスと苦痛を感じていました。本当に嫌で嫌で仕方なかった。
子供ってすぐに友達になりますよね。親同士が友達でその子供達は初対面だった場合、最初は少し様子見で人見知りのような空気感があっても時間が経つと一緒に遊んで仲良くなって、しまいにゃあもっと遊びたいから帰りたくないとか言い出したりします。
私はそういうことがなかった。そういう子供たちを少し離れたところから見ていて結局最後まで誰とも遊ばずに終わるのです。
大人になった今でもその資質としては変わりないのですが、今はコミュニケーションスキルと社交性スキルを身に付けたので、コミュニケーションを取りたい時にコミュニケーションを取りたい人とコミュニケーションを取れるようになりました。
ここだと思うのです。
自分でそれを選んでいるかどうか。
今でも私は、他者とコミュニケーションを取ることがストレスであり苦痛なのです。でもそんなこと言っていたら私は生きていけない凡人なのです。人に助けてもらわないと協力してもらわないと生きていけないのです。だからコミュニケーションを取っている。それは私が自ら選択していることであり誰からも強制されていません。
しかし、子供の頃は強制されていた。知らない子供となぜ遊ばなければならないのか。くだらないおままごとをなぜ一緒にしなければならないのか。絵が下手くそな子供となぜお絵かきをしなければならないのか。
そう、可愛くない相当に偏屈な子供でした(今もそうだけどね)。だって私は家で一人で絵本でも読んでいたかったのですよ。
その後、学校に通い卒業して社会に出てからも私のこの問題は続き、自分が育った環境からはめられた形やバイアスに心痛んだり、思考停止から何気なく発言されてしまう他者の言葉から逃げたくて実際に逃亡(笑)したり。
細かな話は書ききれません。
・・・・・
私はこれまで、自らが納得して選択した場所にいなかったのです。
今から20年前、司会の仕事を始めた時にようやく『ここは自分が居ていい場所だ』と、誰かから言われたわけではなく自らを承認できました。
大人になった今でも私が抱えるコミュニケーションの問題は継続しています。それが原因で今でも人間関係は失敗だらけです。今でも何度も「ここは私の居場所ではない」と常に感じ居心地の悪い時間を過ごしています。しかし、その中にも『自分の居場所と思える唯一の場所』を見つけることができたことは私は幸運です。
もちろんまだまだ私の課題は続きますし、おそらく一生答えの出ないことを考えながら生きていき、最期になっても「ここは自分の居場所じゃないから逝く」とかわけのわからないことを独り言つのだと思います。
LGBTQ関連のイベントや活動に私が積極的なことに対し「当事者でもないのに何で?」と聞かれることがあります。その理由をこの3回のブログに書きました。
抱える問題や悩みの大きさは人それぞれで、他者と比べることはできません。しかし、LGBTQだけでなく全ての人たちが、何のバイアスに晒されることもなく誰からも強制されることなく自ら選択した生き方ができる社会になっていくことを心から願っています。
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