以前も本ブログに登場したことのあるテレビ番組『ドキュメント72時間（NHK）』。30分間の中に様々な人生が凝縮されている番組で、過分に足すことも引くこともない構成が私は好きです。
さて、先日も録画を見ていました。
「ワークアウト！眠らない巨大スポーツジム」
https://www4.nhk.or.jp/72hours/x/2020-08-07/21/33916/1199294/
この番組の特に何が興味深いかと言うと、必ず最低一人は登場する、コミュ障キャラ（笑）。コミュニケーションが苦手だとか人付き合いに疲れたとか孤独を愛しているとか、観ていると全く他人事とは思えず、とてつもない親近感が溢れ出てくるわけです。
こういった方々の発言の奥が深いことと言ったらもう・・・涙・・・。
さて今回は、とある男性の言葉が琴線に触れました。
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ジムは一人でできるからいい。
一人が楽なんです。
あんまり人間が好きじゃないんだと思います。
皆が皆本音じゃないんで、裏を考えたりするのがすごく億劫で。
今のこの言葉を真に受けていいのかどうかというのを考えなければならないのが、すごくストレスがたまる。
でも、人が少ないジムは寂しくなっちゃうから、人は嫌いだけど人がいないところは嫌なんです。
人がいっぱいいてもバラバラというか、個人個人でいる空間がすごく性に合う。
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あのーーーこれ、私が言ったことにしてもいいですかーー？
というくらいに共感、同感なわけです。
この男性が本当に人間嫌いなのかどうかはわかりません。何かがあって、今だけそんな心境になっているのかもしれません。
私の場合は、人間が嫌いなわけではありません。むしろ好き。嫌いなのは人間そのものではなく、他者との不適切な距離感。適切な距離感が測れれば問題ないのです。近過ぎても遠過ぎてもダメ。まあ、自分が好きな人とは近付きたいという勝手な思考ですけどね。
このようなことからこの男性も『人が少ないジムは寂しくなっちゃうから、人は嫌いだけど人がいないところは嫌』と言っているのかなあと思いました。
コミュニケーションの在り方としては、本音で話せる方がもちろんいいでしょう。自分の目的を達成するためには、他者を理解し双方の距離を縮める必要があります。それにはやはりお互いに本音で話せるのが良いことはわかります。しかし本音は切れ味が鋭い場合もあり、時に人を傷付けます。
特に今は、直接会えずに画面越しでのコミュニケーションが増えています。リアルとリモートでは伝わり方が違います。直接目の前にいれば五感を使い、日本人が大好きな『察する力』『忖度』『阿吽の呼吸』を使えますが、リモートでは五感が二感（視覚と聴覚）だけになってしまいます。当然、伝達情報が減るわけですから誤解やすれ違いが起き得ることも想像できます。
だからこそ本音を過不足なく伝えるために、伝えるスキルが必要なのです。
どんな表情でどんな声のトーンやスピード、大きさで、どんな言葉を使い、どんな順番で伝えるのか・・・。
これが他者を思い遣り自分の本音を伝えるための、大人としてのやり方だと考えます。
思ったことや感じたことをそのまま言葉にしてしまう。それはそれで本音を伝えていることには違いないですが、気持ちの矢印が自分にしか向いていない、つまり自分が言いたいことを言っているだけでは、一方通行でコミュニケーションとは言えません。
これでは子供と同じです。子供って、相手のことなどお構いなしに思ったことを何でも言いますよね。あの残酷さが許されるのは子供だけ。
誰もが本音で生きれればいいと思いますし、私も本音で生きようとしています。本音では何を思い考えても自由ですが、それを誰かに伝える時は一呼吸置いた方がいいでしょう。
お互いに本音を言い合える間柄になるにはそれなりの礼儀が必要です。これは持って生まれた資質ではなく、後から身に付けられるものです。
これからますます変わりゆくであろうコミュニケーションの手段に合わせて、私たちもバージョンアップしていかなければいけませんね。
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