合格への道のり("3つの道"編) -12ページ目

合格への道のり("3つの道"編)

これまで20年以上勤務した国家公務員を辞職し、2022年12月からは受験生、実務家(士業)及び講師の3つの道を歩みますので、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m。

(24.10.31)

文字数オーバーしたので、記事を憲法、行政法及び会社法の3つに分割しました。

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皆さん、こんにちは。

リーダーズ総合研究所・講師の板野です。

 

行政書士試験まで残り10日余りとなりました。

直前期には学習対象を絞り込んで繰り返し復習することをお勧めしていますが、絞り込む過程で捨て科目にされやすいのが「会社法」。

 

民法とほぼ同程度に条文数が多い割に出題数はたったの5問(択一式)、会社に勤務していてもイメージが湧きにくい、何より株主総会の招集手続や設立手続など、事務的で面白くないなどの理由で敬遠する受験生が多いようです。


そこで、手前味噌ながら昨年度、大変好評をいただきました「会社法」についても、主要テーマ(設立・株式・機関)の出題予想をしましたので、会社法を捨て科目にしようと考えている受験生も含め、最低限の知識習得用に活用していただけますと幸いです。

 

受験生の皆さんは、本ブログを弱点補強として、最後の総仕上げとして、本企画を幅広く活用していただけますと幸いです。リーダーズ総合研究所&辰巳法律研究所は、最後まで諦めない受験生の皆さんを応援しております!

 

  会社法

出題分析・対策(設立)

 過去10年間の出題実績(択一式)

 

 論点別条文出題実績

 

 出題傾向・対策

毎年度1問出題される(問題37は「設立」の定位置)

 

全て条文に関する問題(判例に関する問題は出題されていない)

 

10問中8問(80%)が組合せ問題(全ての肢を検討しなくても正解を導くことが可能)

 

出資の履行、発起人等の責任等及び募集による設立の3つの論点が全体の約70%を占める

 

 出題数ベスト3条文(最後はこの条文!)

 

 

出題予想問題・解答(設立)

(令和2年度司法書士試験問題)

問題27 発起人等の責任に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうち,どれか。

ア 募集設立の場合には,株式会社の成立の時における現物出資財産の価額が当該現物出資財産について定款に記載された価額に著しく不足するときであっても,当該現物出資財産の給付を行った発起人以外の発起人は,その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは,当該株式会社に対し,当該不足額を支払う義務を負わない。⇒×

イ 株式会社の成立の時における現物出資財産の価額が当該現物出資財産について定款に記載された価額に著しく不足する場合には,定款に記載された価額が相当であることについて証明をした弁護士は,当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明したときを除き,当該不足額を支払う義務を負う。⇒○

ウ 発起人がその引き受けた設立時発行株式につきその出資に係る金銭の払込みを仮装した場合において,当該発起人が株式会社に対し払込みを仮装した当該金銭の全額の支払をする義務は,総株主の同意がなければ,免除することができない。

エ 発起人がその引き受けた設立時発行株式につきその出資に係る金銭の払込みを仮装した場合には,当該発起人以外の発起人であってその出資の履行を仮装することに関与した者は,その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときであっても,株式会社に対し,払込みが仮装された当該金銭の全額の支払をする義務を負う。

オ 発起人がその引き受けた設立時発行株式につきその出資に係る金銭の払込みを仮装した場合において,当該発起人が株式会社に対し払込みを仮装した当該金銭の全額の支払をしたときは,当該金銭の額は,その他資本剰余金の額に計上される。

 

 1 アイ   2 アエ(正解)   3 イオ   4 ウエ   5 ウオ

 

※肢ア・イを検討するだけで解答を導ける問題

 

(令和5年度司法書士試験問題)

問題27 次の対話は、株式会社の設立に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

教授: 今日は、株式会社の設立に関する会社法の規定について検討しましょう。まず、会社法上、株式会社の設立時の資本金の最低額についての規定はありますか。

学生:ア はい。株式会社の設立時の資本金の額は、300万円を下回ることはできません。⇒×(最低資本金制度は平成18年改正で撤廃)

教授: ところで、法人や未成年者は、発起人となることができるでしょうか。

学生:イ 会社法上、法人は、発起人となることができますが、未成年者は、発起人となることはできません。???(なお、取締役と異なり、法人でも発起人になれる)

教授: 発起設立の場合には、発起人は、割当てを受けた設立時発行株式について、現物出資をすることができますが、募集設立の場合はどうでしょうか。

学生:ウ 会社法上、募集設立の場合には、発起人でない設立時募集株式の引受人は、割当てを受けた設立時募集株式について、現物出資をすることはできません。⇒○

教授: それでは、払込金の保管証明について、発起設立の場合と募集設立の場合とで異なる点はありますか。

学生:エ 会社法上、発起人は、発起設立の場合も、募集設立の場合も、払込取扱機関に対し、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができます。

教授: 最後に、会社法上、株式会社の成立についてはどのように規定されていますか。

学生:オ 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立するものとされています。

 

 1 アイ   2 アウ   3 イエ   4 ウオ(正解)   5 エオ

 

※肢イは少し細かい知識だが、肢ア(・イ)・ウを検討するだけで解答を導ける問題

 

(令和2年度司法試験予備試験問題)

〔問題16〕

株式会社の設立に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。

ア.各発起人は,設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。⇒○

イ.設立時募集株式の引受人が払込期日又は払込期間内に設立時募集株式の払込金額の全額の払込みをしていないときは,発起人は,当該払込みをしていない設立時募集株式の引受人に対して,期日を定め,その期日までに当該払込みをしなければならない旨を通知しなければならない。⇒×(当然失権)

ウ.発起人がその出資に係る金銭の払込みを仮装することに関与した設立時取締役が,株式会社に対し,払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払をしたときは,出資に係る金銭の払込みを仮装した設立時発行株式について,設立時株主及び株主の権利を行使することができる。

エ.設立時募集株式の引受人が設立時募集株式の払込金額の払込みを仮装した場合において,当該引受人が株式会社に対して負う払込みを仮装した払込金額の全額の支払をする義務は,総株主の同意によっても,免除することができない。

オ.判例の趣旨によれば,株式会社の設立の際,発起人による出資の履行がいわゆる見せ金によって仮装されたものであったにもかかわらず,出資の履行が完了したとして商業登記簿の原本である電磁的記録に資本金の額の記録をさせた行為は,電磁的公正証書原本不実記録罪に当たる。

 

 1.アイ   2.アオ(正解)   3.イエ   4.ウエ   5.ウオ

 

※肢ア・イを検討するだけで解答を導ける問題

 

出題分析・対策(株式)

 平成19年度以降の出題実績(択一式)

※会社法の目次に従って整理

 

 出題傾向・対策(過去10年間の出題傾向)

毎年度1問出題される(問題38がほぼ定位置)

 

全て条文に関する問題(平成22年度以降、判例に関する問題(肢)は出題されていない)

 

正誤判断問題が主流

(組み合わせ問題(全11問中2問)が少ないので、全肢検討が必要な場合もあり得る)

 

○出題サイクルに反復性・規則性は見出し難い

⇨ 総則、株式の譲渡等からの出題が目立つが、出題テーマを絞り込むのは難しい

 

 出題数ベスト3テーマ(最後はこのテーマ!)

 

第1位は、総則に続いて出題実績の多い「株式の譲渡等」を選定(令和3年度以降出題がない)

 

第2位は、令和4年度に出題された「特別支配株主の株式等売渡請求」を含む「キャッシュ・アウト制度」(平成26年度改正で導入)に関する横断問題を選定

 

(平成26年度改正-キャッシュ・アウト制度)

特別支配株主の株式等売渡請求(令和4年度に出題)

 ⇒ 179条以下(第4節の2 特別支配株主の株式等売渡請求)関連

②全部取得条項付種類株式の取得

 ⇒ 171条以下(第4款 全部取得条項付種類株式の取得)関連

③株式の併合により端数となる株式の買取請求等

 ⇒ 180条以下(第1款 株式の併合)関連

 

第3位は、平成19年度以降一度も出題されていない(未出題)テーマとして、株券(株券発行会社)を選定

 

出題予想問題・解答(株式)

(令和3年司法試験予備試験問題)

〔問題17〕

 譲渡制限株式を発行する株式会社に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。

ア.事前に株式会社の承認を得ることなくその発行する譲渡制限株式を取得した者は、当該株式会社に対し,当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求する場合に,その請求と併せて,当該株式会社が承認をしない旨の決定をするときには当該株式会社又は指定買取人が当該譲渡制限株式を買い取ることも請求しなければならない。(138条1項2号ハ【買取請求を望む場合以外、請求する必要はない】)

イ.判例の趣旨によれば,株券を発行する株式会社の株主が当該株式会社の事前の承認を得ることなくその発行する譲渡制限株式を譲渡する旨の合意をして株券を交付した場合には,当該譲渡は,当該株式会社に対する関係では効力を生じないが,当事者間では有効である。(最判昭48.6.15)

ウ.株式会社は,その発行する譲渡制限株式を相続により取得した者に対し,当該譲渡制限株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。(174条)

エ.譲渡制限株式を他人に譲渡しようとする株主がその株式会社に対して譲渡を承認するか否かの決定をすることを請求した場合において,当該株式会社がその請求の日から2週間又は定款で定めたそれより短い期間内に決定の内容を通知しなかったときは,当該株式会社は,当該株主との間に別段の合意のない限り,譲渡を承認しない旨の決定をしたものとみなされる。(145条1号)

オ.株式会社がある種類の株式の内容として譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要することの定めを設ける定款の変更をする場合には,当該種類の株式を目的とする新株予約権を有する新株予約権者は,当該株式会社に対し,自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。(118条1項2号)

 

 1.アエ(正解)   2.アオ   3.イウ   4.イエ   5.ウオ

 

(令和4年司法試験予備試験問題)

〔問題17〕

 A株式会社(以下「A社」という。)の支配株主であるB株式会社(以下「B社」という。)は、A社の少数株主Cらの個別の承諾を得ることなく、A社を完全子会社にしたいと考え、そのための手法を検討している。次のアからオまでの各記述のうち、誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。

ア.株式の併合、全部取得条項付種類株式の取得及び特別支配株主の株式等売渡請求のいずれの手法を用いる場合も、A社において株主総会の特別決議が必要である。(171条1項、180条2項、309条2項3号・4号、170条の3第1項・3項)

イ.株式の併合又は全部取得条項付種類株式の取得の手法を用いる場合において、一株に満たない端数の処理として、その端数の合計数に相当する数の株式を裁判所の許可を得て競売以外の方法により売却するためには、A社の取締役の全員の同意を得る必要がある。(234条1項2号、2項、235条1項、2項)

ウ.特別支配株主の株式等売渡請求の手法を用いる場合には、A社の新株予約権についても売り渡すことを請求することができるが、株式の併合又は全部取得条項付種類株式の取得の手法を用いる場合には、A社の新株予約権に取得条項が定められていない限り、その新株予約権を当然には取得することができない。(179条2項)

エ.B社がA社の総株主の議決権の10分の7を有し、D株式会社(B社がその総株主の議決権の3分の2を有している。)がA社の総株主の議決権の10分の2を有しているときは、B社は、特別支配株主の株式等売渡請求の手法を用いることができる。(179条1項【D株式会社は特別支配株主完全子法人】)

オ.B社は、A社との間で株式交換契約を締結し、Cらに対価として金銭又はB社の株式を交付することによって、Cらの有するA社の株式を取得することができる。(768条1項2号イ)

 

1.アイ   2.アエ(正解)   3.イウ   4.ウオ   5.エオ

 

(令和4年度司法書士試験問題)

問題28 株券発行会社に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア 株券発行会社において、譲渡による株式の取得について当該株券発行会社の承認を要することを定めた場合には、株券にその旨を記載しなければならない。(216条4号)

イ 株券発行会社の株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、当該株券発行会社その他の第三者に対抗することができない。(130条2項)

ウ 株券発行会社の株式に係る株券を喪失した者は、裁判所の除権決定により、当該株券を無効とすることができる。(223条、228条1項、233条【従来は公示催告手続に基づく除権判決を得た場合のみ株券の再発行を請求できたが、平成14年の商法改正により株券喪失登録制度に変更】)

エ 株券の交付を受けた者は、悪意又は重大な過失がある場合を除き、当該株券に係る株式についての権利を取得する。(131条2項)

オ 会社法上の公開会社である株券発行会社の株主は、当該株券発行会社に対し、当該株主の有する株式に係る株券の所持を希望しない旨を申し出ることができない。(217条1項)

 

1 アエ(正解)   2 アオ   3 イウ   4 イエ   5 ウオ

 

出題分析・対策(機関)

 過去10年間の出題実績(択一式)

 

 実は機関総則に関する知識だけで解ける!

①1肢の正誤判断のみで正解できる問題(全3問)

・平成27年度行政書士試験問題39(肢2)

・平成30年度行政書士試験問題39(肢3)

・令和元年度行政書士試験問題40(肢3)

 

②2肢の正誤判断で正解できる問題(全1問)

・令和4年度行政書士試験問題40(肢ウ・エ)※下記

 

③正解肢を2択まで絞り込める問題(全2問)

・平成28年度行政書士試験問題39(肢1・3・5)

・令和3年度行政書士試験問題39(肢ウ)

 ※400条の知識があれば正解できる問題

・令和5年度行政書士試験問題40(肢1・2・3)

 

(令和4年度行政書士試験問題)

問題40 会計参与に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア 公開会社である大会社は、会計参与を置いてはならない。(326条2項)

イ 公開会社ではない大会社は、会計監査人に代えて、会計参与を置くことができる。(328条2項)

ウ 会計参与は、株主総会の決議によって選任する。(329条1項)

エ 会計参与は、公認会計士もしくは監査法人または税理士もしくは税理士法人でなければならない。(333条1項)

オ 会計参与は、すべての取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。(376条1項)

 

1 ア・イ   2 ア・エ   3 イ・オ   4 ウ・エ(正解)  5 ウ・オ

 

(解法のポイント)

マイナー論点の「会計参与」であるが、役員等の選任の条文知識(329条~338条、肢ウ・エ)を使えば、会計参与プロパーに関する条文知識(374条~380条、肢オ)がなくても正解を導けた問題

 

 出題傾向・対策

毎年度1~2問出題(令和元年度以降2問出題される傾向)

 

全て条文に関する問題(平成26年度の出題以降、判例に関する問題(肢)は出題されていない)

 

正誤判断問題が主流(組合せ問題(全15問中5問)が少なく個数問題も出題されるので、全肢検討が必要となり得る)

 

機関で出題される問題は基本論点が多い(実は、機関総則(機関設計及び役員等の選任及び解任)の知識があれば正解できる問題が50%以上)

 

出題予想問題・解答(機関)

(令和4年度司法書士試験問題)

問題31 取締役に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア 会社法上の公開会社でない株式会社においては、取締役が株主でなければならない旨を定款に定めることができる。(331条2項)

イ 監査等委員会設置会社において、監査等委員である取締役が5人いる場合には、そのうちの3人以上は社外取締役でなければならない。(331条6項)

ウ 成年被後見人及び被保佐人は、取締役となることができない。(331条1項)【改正論点】

エ 監査等委員会を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。(332条7項2号)

オ 株主総会の決議によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合であっても、その後の株主総会において当該取締役について定められた報酬を無報酬と変更する旨の決議がされたときは、当該取締役は、無報酬とすることに同意していなくても、報酬の請求権を失う。(最判平4.12.18)

 

 1 アイ   2 アエ   3 イウ   4 ウオ(正解)   5 エオ

 

(平成27年司法試験予備試験問題)

〔問題21〕

 取締役に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。

ア.特別取締役のうち,少なくとも1人は,社外取締役でなければならない。(373条1項2号)

イ.代表取締役は,3か月に1回以上,自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならないが,あらかじめ他の取締役の全員に対して取締役会に報告すべき事項を通知したときは,取締役会への報告を省略することができる。(372条2項、363条2項)

ウ.取締役が自己のために会社とした取引によって会社に損害が生じたときは,その取締役は,任務を怠ったことがその取締役の責めに帰することができない事由によるものであることを証明しても,その取引に係る任務懈怠責任を免れることができない。(428条1項、356条1項)

エ.監査役設置会社においては,取締役が法令に違反する行為をするおそれがある場合でも,その行為によって会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときでなければ,監査役は,その取締役に対し,その行為をやめることを請求することができない。(360条3項)

オ.社外取締役を株主総会の決議によって解任するには,正当な理由がなければならない。(339条1項)

 

 1.アイ   2.アオ   3.イウ   4.ウエ(正解)   5.エオ

 

  憲法

 

  行政法