皆さん、こんにちは。
リーダーズ総合研究所・講師の板野です。
11月3日からの3連休。
行政書士試験の受験生にとっては最後の連休となりますが、地に足を付けて学習に取り組めているでしょうか?
直前期は、不安や焦りからあれもこれもと欲張って手を拡げてしまいがちですが、結果として消化不良を起こし勉強が空回りします。(何度もお伝えしているように、)直前期は重要度・優先度の高いテーマ・論点に照準を絞って勉強に取り組みましょう!
経験上、こうした学習法を心がけていれば、ラスト1週間でも成績は伸びます(伸ばせます)。
そこでリーダーズ総合研究所&辰法律研究所では、受験生が"受験の森"で迷走しないよう、3夜連続で超直前緊急対策(行政法全3回)を配信することにしました。
いずれも行政書士試験では超頻出のテーマを取り上げていますので、この機会にしっかり知識整理して下さい。
さぁ、私が講師として受験生の皆さんをサポートできるのはここまでです。
あとは1人でも多くの受験生の皆さんから"合格報告"が届くのを楽しみにしておきますね!
行政法
出題分析・対策
過去10年間の出題実績(多肢選択式・行政法)
(問題42)
:条文・理論問題
:判例問題
:条文・理論と判例の混合問題
(問題43)
:条文・理論問題
:判例問題
:条文・理論と判例の混合問題
(テーマ別出題実績)
:条文・理論問題
:判例問題
:条文・理論と判例の混合問題
出題傾向・対策
○最近10年は判例からの出題が90%(出題がないのは平成26年度のみ・2問とも判例からの出題が2回)であるが、必ずしも最新の判例が出題されているわけではない
○問題42は条文・理論:判例の比率は65:35、問題43は条文・理論:判例の比率は30:70(条文・理論:判例の出題割合は45:55)
○出題分野(行政指導・行政事件訴訟が頻出)が偏っており、一度も出題実績のない分野(行政計画・行政契約【いずれも行政の作用】、行政不服審査法)がある(行政不服審査法は記述式においても出題されていない)
○理論問題は制度と制度を比較させる問題が多く出題される傾向にある(平成29年度問42、令和元年度問43、令和3年度問42、令和4年度問43など)
○令和元年度以降、条文・理論と判例を組み合わせた問題が出題される傾向にある(令和2年度問題42・令和4年度問題43・令和5年度問題43)
(制度と制度の比較問題)
出題予想
行政法第1回
(動画解説)
(問題編)
問 次の文章の空欄①~④に当てはまる適当な語句を記述しなさい。
行政事件訴訟25条1項は「処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない」と規定しているが、訴訟が提起されたとしても、判決が下されるまでには相当の時間を要することが多い。場合によっては、原告がその間に取り返しのつかない損失を被ることもあり得るので、同法では仮の権利保護について幾つか規定を置いている。従前、同法には厳格な要件の下に執行停止制度が規定されていたものの、仮の権利保護が不十分であるとの指摘を受け、2004年の同法改正により、執行停止の要件を緩和するとともに、仮の義務付け及び仮の差止め制度が新設された経緯がある。
執行停止を申し立てることができるのは「処分の取消しの訴えの提起があつた場合」(同法25条2項)でなければならず、「処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる( ① )を避けるため緊急の必要があるとき」(同法同条同項)に執行停止が認められる。なお、従前、( ① )は「回復の困難な損害」と規定されていたが、あまりに厳格ではないかとの批判を受けて、上述の通り、同法改正時に( ① )と改められた。更に、執行停止は、「本案について理由がないとみえるときは、することができない」と規定する(同法25条4項)。
また、仮の義務付け、仮の差止めについても、「義務付けの訴えの提起があつた場合」、「差止めの訴えの提起があつた場合」でなければならず、「(その義務付けの訴え・差止めの訴えに係る)処分又は裁決がされることにより生ずる( ② )を避けるため緊急の必要があり、本案について理由があるとみえるとき」認められる(同法37条の5第1項・2項)。仮の義務付け、仮の差止めは現状を積極的に改善することになるので、執行停止よりも厳格な要件が求められている。
なお、執行停止及び仮の義務付け、仮の差止めに共通する要件として、「( ③ )に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない」と規定する(同法25条4項、同法37条の5第3項)。更に、「( ④ )は、裁判所に対し、異議を述べることができる」と規定する(同法27条1項、同法37条の5第4項)
現在では、取消訴訟及び無効等確認訴訟については執行停止、義務付け訴訟については仮の義務付け、差止め訴訟については仮の差止めを利用することができ、仮の権利保護手段として広く活用されている。
(解説編)
<図表>-執行停止と仮の義務付け・仮の差止め
(解答編)
①重大な損害
②償うことのできない損害
③公共の福祉
④内閣総理大臣
行政法第2回
(動画解説)
(問題編)
問 次の文章の空欄①~④に当てはまる適当な語句を記述しなさい。
行政不服審査法は、行政上の不服申立てに関する一般法としての機能・役割を担っており、同法上の不服申立てには、審査請求、再審査請求、再調査の請求の3種類を規定している(同法2条~5条)。そして、現行法上、審査請求に一元化されている。審査庁では、標準審理期間を目安として当該不服申立てに基づく審理がなされ、裁断を行うが、審査請求又は再審査請求に対する審査庁の裁断行為を裁決と呼び、再調査の請求に対するものは( ① )と呼ばれる(同法58条・59条)。同法上、裁決として、( ② )裁決、( ③ )裁決、事情裁決及び認容裁決の4種類が規定されている(同法45条~47条)。
処分についての審査請求に理由がない場合には( ② )裁決がなされ、審査庁は、裁決で当該審査請求を( ② )する一方、処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、( ③ )裁決がなされ、審査庁は、裁決で当該審査請求を( ③ )する(同法45条1項・2項)。( ② )裁決と( ③ )裁決との違いは本案審理を拒絶するか否かにあって、( ③ )裁決は本案審理を拒絶する審査庁の判断である。
なお、事情裁決ついて、同法45条3項は、「審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる」が、この場合には、「審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない」と規定する。
また、認容裁決は、審査請求に理由がある場合になされるが、処分(事実行為を除く)についての審査請求が理由がある場合において、「審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する」と規定する(同法46条1項)。そして、「法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において」、処分庁の上級行政庁である審査庁は、「当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるとき」は、( ④ )措置をとる必要がある(同法46条2項)。
(解説編)
<図表>-処分についての裁決の種類
<図表>-認容裁決まとめ
(解答編)
①決定
②棄却
③却下
④当該処分庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずる
行政法第3回
(動画解説)
(問題編)
問 国家賠償法に関する教授Aと学生Bとの会話の空欄①~④に当てはまる語句を記述しなさい。
教授A: 今日は国家賠償法について少し検討しましょう。最初に、国家賠償法1条1項の規定を確認します。
学生B: 国家賠償法1条1項は、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は( ① )によつて( ② )に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」と規定しています。
教授A: 国家賠償法1条1項には幾つか要件を規定していますが、( ② )の判断にあたり、最判平成5年3月11日民集47巻4号2863頁は、どのような判断枠組みを示していますか?
学生B: 同判決は、「税務署長のする所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法1条1項にいう( ② )があったとの評価を受けるものではなく、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき( ③ )を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、右の評価を受けるものと解するのが相当である」として( ② )を否定しました。
教授A: 本判決は、行政処分に関する行政法学上の通説とは異なる判断枠組みを示したわけですが、以後当該判断枠組みが判例法理として確立したと評価されていますね。続いて、最判平成19年11月1日 民集第61巻8号2733頁は、どのような判断を下していますか?
学生B: 同判決は、「・・・( ④ )を作成,発出し,また,これに従った失権取扱いを継続した上告人の担当者の行為は,公務員の職務上の( ③ )に違反するものとして,国家賠償法1条1項の適用上( ② )なものであり,当該担当者に( ① )があることも明らかであって,上告人には,上記行為によって原告らが被った損害を賠償すべき責任があるというべきである」とし、上記平成5年3月11日判決と同様の判断枠組みを示していますが、更に担当者の( ① )についても認定しました。
教授A: その通りです。本判決は、担当者による通達の発出を( ② )と判断するのみならず、( ① )を認定し、国家賠償責任を認容した判例として注目されますね。
(解説編)
<事件の概要>-最判平成5年3月11日民集47巻4号2863頁
本件は、商品包装用等の紙箱の製造加工業者である被上告人が、昭和46年分ないし同48年分の各事業所得につき、奈良税務署長に対し、所得金額を同46年分につき115万5136円、同47年分につき73万1283円、同48年分につき96万8098円として確定申告(ただし、同46年分については、修正申告)をしたところ、奈良税務署長は、同50年3月1日付で、所得金額を同46年分につき217万6541円、同47年分につき137万8565円、同48年分につき646万4320円とする各更正(以下「本件各更正」という。)をした事案である。
なお、被上告人は、本件各更正に対して、異議申立て(当時)及び審査請求を経て、本件各更正の取消しを求める訴訟を提起したところ、1審では請求棄却の判決を受けたが、控訴審では、昭和58年6月29日、所得金額において、同46年分につき128万8909円、同47年分につき86万3547円、同48年分につき157万4701円を超える部分の本件各更正を取り消す旨の一部認容の判決を受け、同判決は、上告がなく確定している。
⇒ 本判決の立場(職務行為基準説)を採る場合、取消訴訟における違法と国家賠償における違法を別個のものと捉えることになる
<事件の概要>-最判平成19年11月1日 民集第61巻8号2733頁
本件は、原告らが,上告人は,原子爆弾被爆者の医療等に関する法律(以下「原爆医療法」という。)に基づき被爆者健康手帳の交付を受けた者が我が国の領域を越えて居住地を移した場合には,原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律(以下「原爆特別措置法」といい,原爆医療法と併せて「原爆2法」という。)は適用されず,原爆特別措置法に基づく健康管理手当等の受給権は失権の取扱いとなるものと定めた「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律等の施行について」と題する通達(昭和49年7月22日衛発第402号各都道府県知事並びに広島市長及び長崎市長あて厚生省公衆衛生局長通達。以下「402号通達」という。)を作成,発出し,その後,原爆2法を統合する形で原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(以下「被爆者援護法」といい,原爆2法と併せて「原爆3法」という。)が制定された後も,平成15年3月まで402号通達の上記定めに従った取扱いを継続したことによって,原告らの原爆3法上の「被爆者」としての法的地位ないし権利を違法に侵害してきたなどと主張して,それぞれ,上告人に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案である。
(解答編)
①過失
②違法
③注意義務
④通達
憲法
会社法