(24.10.31)
文字数オーバーしたので、記事を憲法、行政法及び会社法の3つに分割しました。
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皆さん、こんにちは。
リーダーズ総合研究所・講師の板野です。
行政書士試験までの残り15日余りとなって、受験生の手元には受験票が届いているのではないでしょうか。受験票が届くと一層緊張感が高まり、焦りや不安が増長される受験生が多いかもしれません。
そこで、リーダーズ総合研究所では、最後まで諦めない受験生を応援するため、「超直前緊急対策」動画の配信を開始しました。本企画は、受験生の勉強が手薄となりがちな分野を出題予想するものです。多肢選択式を想定した空欄補充問題&解答・解説について、全6回(憲法全3回、行政法全3回)を予定しておりますので、今後、動画配信される都度、本ブログでも紹介していきたいと思います。
加えて、手前味噌ながら昨年度、大変好評をいただきました「会社法」についても、主要テーマ(設立・株式・機関)の出題予想をしていきますので、会社法を捨て科目にしようと考えている受験生も含め、最低限の知識習得用に活用していただけますと幸いです。
受験生の皆さんは、本ブログを弱点補強として、最後の総仕上げとして、本企画を幅広く活用していただけますと幸いです。リーダーズ総合研究所&辰巳法律研究所は、最後まで諦めない受験生の皆さんを応援しております!
憲法
出題分析・対策
過去10年間の出題実績(多肢選択式・憲法)
:人権に関する判例
:統治に関する判例
出題傾向・対策
○最近10年は判例からの出題が100%。しかも、令和元年度以降、大法廷判決から出題される傾向(最近10年でも10問中7問、大法廷判決だけでも判旨を通読した方が良い)
○人権:統治の出題比率は7:3であり、しかも表現の自由に関する判例の出題数が最近10年で5回(ただし、令和元年度以降は人権:統治=3:2)
○最近の択一式・多肢選択式で狙われるのは、①制約を受ける人権の種類・内容と、②規範定立(③結論部の正誤を判断する問題はかつての択一式で頻出だった)
○判例本体だけでなく、裁判官の補足意見など、受験生の学習が手薄と思われる出題もみられる(過去10年で2回【平成29年度・令和4年度】、事前準備は困難なので受験生の法的思考力が試される問題?)
○憲法対策として、近年択一式問題(1問4点)の難易度が高くなっており、多肢選択式での得点(空欄1ヶ所につき2点・1問8点)が求められる
最新判例出題予想ベスト3
令和元年度以降、大法廷判決からの出題が続いていること、統治に関する判例の出題比率が高まっていることを踏まえ、最新判例の中から上記3つの判例を抽出
出題予想
憲法第1回
(動画解説)
(問題編)
問 次の文章の空欄①~④に当てはまる適当な語句を記述しなさい。
憲法は、前文及び1条において、主権が国民に存することを明らかにし、15条1項において、公務員を選定し、及びこれを( ① )することは、国民固有の権利であるとした上で、79条2項において、最高裁判所の裁判官の任命について、衆議院議員総選挙の際に国民の審査に付する旨規定し、同条3項において、投票者の多数が裁判官の( ① )を可とするときは、その裁判官は( ① )される旨規定している。
この国民審査の制度は、国民が最高裁判所の裁判官を( ① )すべきか否かを決定する趣旨のものであるところ(最高裁昭和24年(オ)第332号同27年2月20日大法廷判決・民集6巻2号122頁参照)、憲法は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である(憲法81条)などの最高裁判所の地位と権能に鑑み、この制度を設け、主権者である国民の権利として審査権を保障しているものである。そして、このように、審査権が国民主権の原理に基づき憲法に明記された主権者の権能の一内容である点において選挙権と同様の性質を有することに加え、憲法が衆議院議員総選挙の際に国民審査を行うこととしていることにも照らせば、憲法は、選挙権と同様に、国民に対して審査権を行使する機会を( ② )保障しているものと解するのが相当である。
憲法の以上の趣旨に鑑みれば、国民の審査権又はその行使を制限することは原則として許されず、審査権又はその行使を制限するためには、そのような制限をすることが( ③ )と認められる事由がなければならないというべきである。そして、そのような制限をすることなしには国民審査の公正を確保しつつ審査権の行使を認めることが事実上不可能ないし著しく困難であると認められる場合でない限り、上記の( ③ )事由があるとはいえず、このような事由なしに審査権の行使を制限することは、憲法15条1項、79条2項、3項に違反するといわざるを得ない。また、このことは、国が審査権の行使を可能にするための所要の立法措置をとらないという( ④ )によって国民が審査権を行使することができない場合についても、同様である。
(最大判令和4年5月25日民集第76巻4号711頁)
(解説編)
<事件の概要>
本件は、国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使が認められていないことの適否等が争われている事案である。
◎最高裁判所裁判官国民審査法(昭和22年法律第136号)
第4条(審査権)衆議院議員の選挙権を有する者は、審査権を有する。
第8条(審査人の名簿)審査には、公職選挙法(昭和25年法律第100号)に規定する選挙人名簿及び在外選挙人名簿で衆議院議員総選挙について用いられるものを用いる。
※青字(下線)は令和4年法律第86号により追加された(本判例を踏まえて改正され、令和5年2月17日施行されている)
<判例の争点・最高裁判所の結論>
※宇賀克也裁判官の補足意見がある。
▼判決全文はこちら
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/190/091190_hanrei.pdf
<一緒に抑えておきたい判例>
「最大判平17.9.14(在外選挙権制限事件)」
※本件は、国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民に国政選挙における選挙権行使の全部又は一部を認めないことの適否等が争われている事案である
(解答編)
①罷免
②平等に
③やむを得ない
④不作為
憲法第2回
(動画解説)
(問題編)
問 次の文章の空欄ア~エに当てはまる適当な語句を記述しなさい。
憲法は,20条1項後段,3項,89条において,いわゆる( ① )の原則に基づく諸規定(以下「( ① )規定」という。)を設けているところ,一般に,( ① )原則とは,国家(地方公共団体を含む。以下同じ。)の( ② )を意味するものとされている。そして,我が国においては,各種の宗教が多元的,重層的に発達,併存してきているのであって,このような宗教事情の下で信教の自由を確実に実現するためには,単に信教の自由を無条件に保障するのみでは足りず,国家といかなる宗教との結び付きをも排除するため,( ① )規定を設ける必要性が大であった。しかしながら,国家と宗教との関わり合いには種々の形態があり,およそ国家が宗教との一切の関係を持つことが許されないというものではなく,( ① )規定は,その関わり合いが我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものと認められる場合に,これを許さないとするものであると解される。
そして,国又は地方公共団体が,国公有地上にある施設の敷地の使用料の免除をする場合においては,当該施設の性格や当該免除をすることとした経緯等には様々なものがあり得ることが容易に想定されるところであり,例えば,一般的には宗教的施設としての性格を有する施設であっても,同時に歴史的,文化財的な建造物として保護の対象となるものであったり,観光資源,国際親善,地域の親睦の場などといった他の意義を有していたりすることも少なくなく,それらの文化的あるいは社会的な価値や意義に着目して当該免除がされる場合もあり得る。これらの事情のいかんは,当該免除が,( ③ )の目から見て特定の宗教に対する援助等と評価されるか否かに影響するものと考えられるから,( ① )原則との関係を考えるに当たっても,重要な考慮要素とされるべきものといえる。そうすると,当該免除が,前記諸条件に照らし,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えて,( ① )規定に違反するか否かを判断するに当たっては,当該施設の性格,当該免除をすることとした経緯,当該免除に伴う当該国公有地の無償提供の態様,これらに対する( ③ )の評価等,諸般の事情を考慮し,( ④ )に照らして総合的に判断すべきものと解するのが相当である。
(最大判令和3年2月24日民集第75巻2号29頁)
(解説編)
<事件の概要>
本件は、那覇市(以下「市」という。)の管理する都市公園内に儒教の祖である孔子等を祀った久米至聖廟を設置することを参加人に許可した上で,その敷地の使用料(以下「公園使用料」という。)の全額を免除した当時の市長の行為は,憲法の定める政教分離原則に違反し,無効であり、第1審被告が参加人に対して平成26年4月1日から同年7月24日までの間の公園使用料181万7063円を請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして,市の住民である第1審原告が,第1審被告を相手に,地方自治法242条の2第1項3号に基づき上記怠る事実の違法確認を求める住民訴訟である。
◎地方自治法(昭和22年法律第67号)
(住民訴訟)
第242条の2 普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。
三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
<判例の争点・最高裁判所の結論>
※林景一裁判官の反対意見がある
※最大判平22.1.20(空知太神社訴訟)と同様の判断基準を採用
▼判決全文はこちら
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/039/090039_hanrei.pdf
(解答編)
①政教分離
②非宗教性ないし宗教的中立性
③一般人
④社会通念
憲法第3回
(動画解説)
(問題編)
問 次の文章の空欄ア~エに当てはまる適当な語句を記述しなさい。
憲法13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しているところ、自己の意思に反して( ① )を受けない自由(以下、単に「( ① )を受けない自由」という。)が、( ② )に関わる重要な権利として、同条によって保障されていることは明らかである。
生殖腺除去手術は、精巣又は卵巣を摘出する手術であり、・・・、このような生殖腺除去手術を受けることが強制される場合には、( ① )を受けない自由に対する重大な制約に当たるというべきである。
・・・(中略)・・・
そうすると、本件規定(注:「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」3条1項4号)は、治療としては生殖腺除去手術を要しない性同一性障害者に対して、性自認に従った法令上の性別の取扱いを受けるという重要な( ③ )を実現するために、同手術を受けることを余儀なくさせるという点において、( ① )を受けない自由を制約するものということができ、このような制約は、性同一性障害を有する者一般に対して生殖腺除去手術を受けることを直接的に強制するものではないことを考慮しても、( ① )を受けない自由の重要性に照らし、( ④ )なものということができない限り、許されないというべきである。
そして、本件規定が( ④ )な制約を課すものとして憲法13条に適合するか否かについては、本件規定の目的のために制約が必要とされる程度と、制約される自由の内容及び性質、具体的な制約の態様及び程度等を較量して判断されるべきものと解するのが相当である。
・・・(中略)・・・
以上を踏まえると、本件規定による( ① )を受けない自由の制約については、現時点において、その必要性が低減しており、その程度が重大なものとなっていることなどを総合的に較量すれば、( ④ )なものということはできない。よって、本件規定は憲法13条に違反するものというべきである。
(最大決令和5年10月25日民集77巻7号1792頁)
(解説編)
<事件の概要>
本件は、生物学的な性別は男性であるが心理的な性別は女性である抗告人が、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項の規定に基づき、性別の取扱いの変更の審判を申し立てた事案である。
◎性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成15年法律第111号)
(性別の取扱いの変更の審判)
第3条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 18歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
<判例の争点・最高裁判所の結論>
※三浦守裁判官、草野耕一裁判官、宇賀克也裁判官の各反対意見及び裁判官岡正晶の補足意見がある。
※判決文には、「これと異なる結論を採る最高裁平成30年(ク)第269号同31年1月23日第二小法廷決定・裁判集民事261号1頁は変更することとする。」とある(いわゆる判例変更)。
▼判決全文はこちら
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/527/092527_hanrei.pdf
<法改正の動き>
第213回通常国会に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の一部を改正する法律案」が議員立法として提出されたが、衆議院法務委員会にて継続審議中
(解答編)
①身体への侵襲
②人格的生存
③法的利益
④必要かつ合理的
行政法
後日UPする予定
会社法






