皆さん、こんにちは。
リーダーズ総合研究所・講師の板野です。
先日、JR水道橋駅付近にある撮影スタジオでリーダーズ総合研究所のパンフレット等に使用するための写真撮影を行いました。
山田斉明先生とは頻繁にZoomミーティングしていますが、他の先生方にお会いするのは(私が講師となってから)今回が初めてだったので、御挨拶できて良かったです。
撮影の方は無事に終わりましたが、久々のJR水道橋駅界隈ということもあって、撮影前に駅前の丸沼書店に立ち寄って専門書を数冊購入。
出題予想を兼ねて「行政法」を勉強していますが、法体系を築いた田中二郎先生の「行政法上・中・下巻(下巻は別途購入予定)」を読みたくなって購入。今は受験勉強が忙しくて読み込む時間はありませんので、年末年始の読み物になりそうですね。
さて、出題予想シリーズ「改正民法編」ですが、今回のテーマは「所有者不明土地の解消編」となります。
10月も下旬に差し掛かって受験の足跡がどんどん大きくなっていると思いますが、苦しいのは皆同じ。不安や焦りを跳ねのけるためにも、今はしっかり勉強に取り組みましょう!
改正民法第5弾所有者不明土地の解消編
改正民法「所有者不明土地の解消」に係る出題の特徴
(傾向)
●改正法施行直後の令和5年度に実施された他資格試験において出題されている。
●行政書士試験において、相隣関係や共有について暫く出題がないので、要注意論点と思われる。
最近の民法改正(所有者不明土地の解消関係)
(1)相隣関係の見直し【優先順位1】
①隣地使用権(209条関係)
(他資格での出題実績)
・令和5年司法試験予備試験問題[民法]第4問肢オ
②継続的給付を受けるための設備設置権・設備使用権
(213条の2条、213条の3関係)
③越境した竹木の枝の切取り(233条関係)
(他資格での出題実績)
・令和5年司法試験予備試験問題[民法]第4問肢ウ
(出題予想問題)
⇒ 令和5年司法試験予備試験問題[民法]第4問
(2)共有の見直し【優先順位2】
①共有物を使用する共有者がいる場合のルール、共有物の管理の範囲の拡大・明確化(民法249条2項・3項、民法251条1項、252条1項後段・3項・4項関係)
(他資格での出題実績)
・令和5年度司法書士試験問題(午前の部)第10問肢オ
②所在等不明共有者がいる場合の共有物の変更・管理(251条2項、252条2項1号、252条の2第2項、262条の2、262条の3関係)
(他資格での出題実績)
・令和5年度司法書士試験問題(午前の部)第10問肢ウ
③賛否不明共有者がいる場合の共有物の管理
(252条2項2号関係)
④共有物の管理者(252条1項、252条の2関係)
⑤裁判による共有物分割(258条関係、258条の2関係)
(他資格での出題実績)
・令和5年度司法書士試験問題(午前の部)第10問肢イ
⑥所在等不明共有者の不動産の持分の取得・譲渡
(262条の2、263条の3関係)
(出題予想問題)
⇒ 令和5年度司法書士試験問題(午前の部)第10問
(3)財産管理制度の見直し
①所有者不明土地・建物管理制度(264条の2~264条の8関係)
②管理不全土地・建物管理制度(264条の9~264条の14関係)
③相続財産の保存に必要な処分(897条の2関係)
④相続の放棄をした者による相続財産の管理(940条関係)
(他資格での出題実績)
・令和5年司法試験問題[民法]第33問肢ウ
⑤相続財産の清算(936条、952条、957条1項、958条関係)
(他資格での出題実績)
・令和5年司法試験問題[民法]第35問肢イ・オ
※「相続財産の管理人」から「相続財産の清算人」への名称変更
(4)相続(遺産分割)に関する見直し
(898条2項、904条の3関係)
他資格の問題にチャレンジ!
令和2年司法試験問題
〔問題4〕
相隣関係に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
ア.土地の所有者が、その所有地の水を通過させるため、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用するには、その所有者の同意を得なければならない。(221条1項)
イ.土地の所有者は、雨水が隣地に直接注ぐ構造の工作物を設けてはならない。(218条)
ウ.土地の所有者は、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その竹木の所有者の同意を得なければ、その根を切り取ることができない。(233条3項)【改正論点】
エ.境界標の設置の費用は、相隣者が土地の広狭に応じて分担する。(224条)
オ.土地の所有者がその境界付近に存する建物を修繕するため必要な範囲内で隣地を使用する場合、隣地の所有者は、それにより損害を受けたときは、その償金を請求することができる。(209条4項)【改正論点】
1.アエ 2.アオ 3.イウ 4.イオ 5.ウエ
(解法のポイント)
●肢イ・ウの正誤判断で解答できる問題
⇒ 肢イを○と判断した時点で正解肢は「3」「4」に絞られ、肢ウが×と判断できるので、正解肢を「4」と選択できる
●相隣関係に関する問題は暫く出題されていないので、本問や改正論点表を通じてしっかり復習しましょう!
正解:4
令和4年司法試験問題
第10問 A、B及びCが各3分の1の持分の割合で甲土地を共有している場合の法律関係に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア Aは、B及びCの同意を得なければ、自己の持分を放棄することができない。(206条【共有物の持分権の内容は所有権】)
イ 甲土地につき共有物の分割の裁判を行う場合には、裁判所は、Aに債務を負担させて、B及びCの持分全部を取得させる方法による分割を命ずることもできる。(258条2項2号)【改正論点】
ウ Cが所在不明である場合において、Aが甲土地にその形状又は効用の著しい変更を伴う変更を加えようとするときは、Aは、裁判所に対し、Bの同意を得てその変更を加えることができる旨の裁判を請求することができる。(251条2項)【改正論点】
エ AがBに対して甲土地の管理費用の支払を内容とする金銭債権を有する場合において、BがDに甲土地の持分を譲渡したときは、Aは、Bに対してその債権を行使することができなくなる。(254条)
オ Aが甲土地を駐車場として使用させる目的でDのために賃借権を設定する場合には、賃貸借の存続期間の長短にかかわらず、B及びCの同意が必要である。(252条4項)【改正論点】
1 アエ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 ウオ
(解法のポイント)
●肢イ・ウの正誤判断で解答できる問題
⇒ 肢イを○と判断した時点で正解肢は「3」「4」に絞られ、肢ウが○と判断できるので、正解肢を「3」と選択できる
●共有に関する問題は令和元年度(記述式)以降出題がないので、本問や改正論点表を通じてしっかり復習しましょう!
正解:3