道脇 裕
緩まないネジを発明し、天才発明家と称される男。

 

「頭使っていると糖質を脳が欲する」と言って、
午後の紅茶レモンティーを毎日10本くらい飲む。

 

「電車に乗っていても歩いていてもどんどん考えが勝手に出てくる。
自由に脳に勝手にやらせておくっていう感じですかね」

 

かと思うと、
車とドローンを融合して「カードローン」とか言ったりする。

 

名前を聞いたこともないし、「ネジを発明」って全然魅かれないんだけど、
道脇さんの発言や雰囲気はクリエイティビティに溢れていて、
まさに天才を感じさせた。

とても印象に残ったので以下にまとめる。


一般的なネジはどんなに固く締めても、振動などで緩んでしまう。
ネジの緩みが原因で起きたとされる事故は毎年70件以上、
膨大な労力とコストをかけて定期的な点検がかかせない。

 

道脇は緩まないネジを生み出した。
右回りのナットと左回りのナットを結合させることで、
どんなに振動を加えても、互いのナットが逆の動きをするので絶対にゆるまない。

 

「ゆるまないネジをつくるのが人類の永遠の課題だ」という話を聞いて、
不可能が証明されたのか?
不可能と証明されてないなら不可能とは言えないだろう、
じゃあゆるまないネジを考えようと思った。

 


「常識の外側に答えがある」
人類の活動、
これまで何百億人、何兆人が地球上を歩いたかもしれないけど、
たかだか何百億人、何兆人、
その人たちが積み上げてきたものは、膨大だけど有限。
それが織りなしている者が現代の常識。

すごい専門家がさんざんやって答えがみつからないんだったら、
常識の枠の中に答えがない。
であれば、常識の外のものを持ってきた方が早い

 


「頭は心の道具である」
愛情が大事。
何かものを考えたり、発明したりとかは
頭でやる行為だが、
頭を動かしている原動力、指図しているのは心である。
心が頭を使っている。


「紙にいくつ面がありますか?」
普通は裏と表で2面と答える。
でも、
4辺あれば6面になる。薄いけど。
顕微鏡で見てみたら、糸が絡まっていて、桁外れの面になる。
「面」を「表面」という意味以外で捉えると、
燃えるという側面だったり、書けるという側面だったり。
見る視点を増やすことは非常に重要なこと。
ブレイクスルーを生み出したかったら。

 


子どもの頃、祖母が入れ歯をはずしたとき、
「おばあちゃん、目も出してみて」と言った。
歯を出せるなら目も出せると思ったらしい。


小学校の成績もずば抜けていた。
教科書を配られたら1週間くらいでほぼ終わらせてしまって、
そうすると、授業中はあんまりやらなくていいのかなとか、
だんだん何のために来ているんだろうとか、
疑問になってきた。
この教育システムがおかしいんじゃないかと思ってきた。

小学校5年生のときに、みんなと同じこのシステムに乗っているのは嫌だから僕は降りると言った。
何をしたらいいのか、何のために生きているのか、もやもやと思っている疑問の答えを見つけに行くというような。
新聞配達をやったり、漁師の見習いをやったり、とび職をやってみたりした。

18歳の時、周りの友人が大学へ行く準備をする時期、
自分を探す旅はまだ続いている、
このまま生き続けてもしょうがないんじゃないか、
自分のばかさ加減に嫌気がさした。

いろいろ考えながら紙に書き留めていった。
こんなことをしたらばかを克服できるんじゃないかと。
漢字は知らないから漢字は知った方がいいなとか、
文章力もないといけないなとか、
出来上がったリストを見て愕然とした。
学校カリキュラムそっくりじゃないか。
だから社会は教育カリキュラムを子どもにやらせて、
チャンスを与えるというか、
やりたいことができるようにする基礎作りだったんだなと気づいた。


転機は19歳のとき、廃車レベルの事故を起こした。
ネジが一本なくなっていた。
このとき、自分が生きる意味をみつけた。