1956年製レスポール 再コンバージョン作業 | ブリルベイトのブログ

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Brillbate(ブリルベイト)の作業風景などなどこちらでご紹介しております。作業中の画像などもできるだけアップしていきますので是非ご覧ください。

ジメジメした天気がつづいておりますが、

皆さん体調を崩したりしてませんか?

私事ではありますが、、、

アスファルトに足元をすくわれ転倒落車しまして

鎖骨を骨折しまして不自由な生活を送っております。

いや、ほんと、鎖骨を骨折すると生活が崩壊しますよ。

お気をつけください。

 

さてさて、鎖骨を折りながらも

スプレーガンをがっちり握って作業は進めておりますが、

先日仕上がったギターを一本ご紹介。

56年製のレスポールをコンバージョンさせていただきました。

いや、正確に言うと、、、

コンバージョン済みのレスポールの再コンバージョン作業です。

 

今回は現状のコンバージョンの仕上がりがあまり綺麗でないことと

幾度ものリフレットで研磨され指板が薄くなっておりギターとして健全ではないとのことで、

指板の張替も含めたリビルトをしたいというご要望にお応えすることになりました。

4度のネックジョイントの50sレスポールをメインで使っているオーナーさんの見解としては

ネックジョイント4度のレスポールと弾き比べると

やはり3度の56年だと音の張りが違うとのことで

ネックのジョイントも4度に変更したいと。

さらにはトップのメイプルも張り替えてネックのジョイント部も含めて

できるだけバースト期のレスポール仕様を!とのこと。

 

50sのレスポールに手を入れるわけですから、

オーナーさんも我々も熟考に熟考を重ね

作業手順なども含めてオーナーさんと打ち合わせを重ねました。

(関東在住にも拘わらず、打ち合わせのためだけに4度も名古屋まで来てくださいました。)

 

というわけで、

ようやく作業開始です。

 

先ずは指板を剥がして、、

 

ネックを慎重に取り外し、、、

 

指板製作とネックの補修作業へ

 

ネックの補修と同時にボディの加工と補修作業も進めていきます。

 

トップ材のメイプルは、オーナーさん自ら選んでいただきました。

左右で模様が微妙に違う、、例のバーストの再現です。

 

トップ材の接着が完了。

続いてネックジョイント部を正確に4度に加工。

 

3度から4度へ変更したので1度分隙間が空いています。

 

ネック側も4度に加工して綺麗に隙間なくジョイント。

 

ボディのアーチの加工

ネックを本ニカワで接着して

 

ピックアップキャビティを加工

ようやくギターの形に戻りました

 

塗装工程へ、、まずはウッドフィラーで目止め

 

塗装の吹きあがり。

今回は、オーナーさんのご希望のカラーに仕上げるため

オーナーさんに立ち会っていただきながらカラーリング作業を行いました。

例のバーストを再現したカラーです。

 

組み込み作業で完成です。

 

完成後はバーストオーナーさんにご協力いただき、

バーストと弾き比べて比較検証作業を行いました。

指板を張り替え、メイプルトップを張り替え、

ネックジョイント角度を変更し、、

大がかりに手を入れたにも拘わらず、、

やはり一発で50年代のレスポールのトーンが出るのは、、、ほんと不思議です。

いかにマホガニーの質で音が決まるかってのを実感した次第です。

 

ヴィンテージギターの作業依頼を多数いただく中でも

やはり50年代のレスポールにこれだけの作業を行うのは緊張の連続です。

依頼主はヴィンテージギターを多数所有している方で

耳も肥えているし、50sのレスポールの形状/造形もわかっていらっしゃるだけに

こちらもどこまで50sのスタイルを崩さず再現していくか、、、

やりがいのある仕事をさせていただきました。

 

指板の状態なども含めてギターとして問題があった個体ですが、

今回の作業でストレスなく安心して弾ける楽器に仕上げられました。

貴重な経験をさせていただきました。